『MeltyMoment -メルティモーメント-』は2014年にWIN用として、HOOKから発売されました。
原画である「らっこ」さんの引退作ということでも注目された作品でした。
<概要>
細かいシステムについては後述しますが、基本的にはノベル系のADVになります。
あらすじ・・・
9月の下旬──残暑の終わりが見えてくる季節。
俺は仲間たちと一緒に暮れなずむ土手をのんびりと歩く。
「終わった終わったー。ったく、試験なんてやらずにずっと夏休みなら良いのに」
「1日中お昼寝してられるもんね。わたしもたけちゃんと一緒に・・・あっ、でも、秋なのに夏休みは変じゃないかな?」
「そういう問題じゃないでしょ・・・・・・。でももうじき文化祭もあるし、しばらくは遊んでいられそうよね」
「我が学園伝統の初秋の水泳大会もあるしなっ。アルバム委員としては腕が鳴るぜ!」
仲の良い友人と過ごす、いつもと変わらない毎日。
そんな日常の帰路が、小さなきっかけで徐々に恋路へ変化する。
そのきっかけは何だったのか。きっとそれは、普通の日常の中でいくつも散らばっているできごと。
例えばふと視線を上げ、君と目が合った瞬間。例えば本を取ろうとして、手が触れ合った瞬間。
例えば君が初めて笑顔を俺に向けてくれた瞬間――。
ふとした瞬間におとずれる様々なきっかけで、俺たちの時間はいろどられていく。
<感想>
公式に「恋するきっかけいぱいの純愛学園ラブコメADV」とあるように、内容的には恋愛ないし純愛ものになりますね。
たぶん、多くの人はシナリオであるとか、キャラであるとかに興味があるのだろうけれど、その辺の詳しいところは他所に任せます。
個人的にはシナリオやキャラに関しては、いつものHOOKって感じであり、可もなく不可もなくといったところでしょうか。
私自身はブランドのファンってほどでもないので、これが普通のノベルゲーであれば間違いなくスルーしていたでしょう。
本作が気になったのは、むしろシステム面でして。
公式にも説明が記載されていますが、ヒロインが移動、イベントが変化する「時間差マップ移動」、ヒロインの心情が語られ、マップ移動に応じて変化する「ガーリートーキング」、ヒロインとの会話の「間」をシステム化した「リアルタイムクリック」、自分だけの名場面を記憶する「メルティボタン」といったシステムが、本作に導入されているのです。
各システム自体は、決して斬新というわけではありません。
でも私は、昔、『同級生』とか好きだった人間ですからね。
いろんなシステムの組み合わさった作品はそれだけで楽しみになりますし、斬新でなくとも従来の作品より進化し完成度が高まることもありますし、複数のシステムが絡みあうことで化学反応を起こし、新たな面白さを提供する場合もあります。
それで気になったというわけですね。
ただ・・・実際にプレイした感じでは、思った程ではなかったのかなと。
それぞれのシステムが練られているわけでもなく、複数が連鎖することで新たな方向性を見出すでもなく。
何より本作における一番の問題点は、そもそも使用・有効活用されている場面が少ないので、精々オマケ程度の印象しか抱けず、普通のノベルゲーとプレイ感覚があまり変わらないことにあります。
キャラやグラフィックだけに期待して満足したって人はいるでしょうが、システム部分との融合にも期待したという私みたいな人だと、少し期待外れに感じてしまうかもしれないですね。
<評価>
期待していたものは得られなかったのは少々残念ですが、読むだけでなく何か変化を加えようとする姿勢は好きですし、本作の各システムはプラスにならないだけで、決してストレスに感じるものでもなく、マイナスにはなりません。
したがって、個人的には凡作としておきますが、システム部分に過度に期待せず、気に入ったキャラがいるようであれば、普通に楽しめる作品だと思いますね。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-10-22 by katan