『SeaBed』は2016年にWIN用として、paleontologyから発売されました。
雰囲気の良い、百合ミステリーでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
過ぎ行く時はとてつもなく深い海の底に沈み続けている。
ときに浮かぶあの日の景色と匂いは揺れて泡のように消える。
心療クリニックの精神科医楢崎は、人がものを忘れる仕組みについて研究していた。
人はなぜ忘れるのか、大事なことを忘れない方法はあるのか。
彼女はある患者の心の奥深くを探るうちに、深い深い海の底へと辿り着く。
都内に事務所を構えるデザイナー佐知子は、取り憑かれたようにものを作り続ける。
同僚の心配も他所に、仕事を続けた彼女は心を病み過去の恋人の幻が見えるようになる。
彼女は恋人の跡を追って暗く長いトンネルを見つける。
療養所で暮らしている貴呼は、幼稚園からずっと一緒だった同性の恋人とどのように別れたのか思い出せない。
彼女は恋人に似た女性と出会い、徐々に思い出を取り戻していく。
記憶の扉を開き続けていく彼女は、最後に冷たく静かな部屋へと足を踏み入れる。
それぞれの目的の元、過去を求めさまよう三人が行きつく場所は何処か。
三つの物語は淡々とした日々の中で静かに進行し、やがて同じ場所へと還っていく
<感想>
本作のストーリー上のジャンルとしては、百合+ミステリーになります。
それにちょっとした旅行記的な要素が加わった感じですね。
これらが組み合わさった物だけでも数が少ないことから、多くの人が新鮮な気持ちで楽しむことができるでしょう。
ただ、上記の要素が組み合わさったことで、本作ならではの魅力が生み出されたことも確かなのですが、様々な点で惜しさも残る作品だったのかなと。
まず本作の魅力の一つは、百合にあります。
百合といっても、典型的な商業百合ではないので、そういうのを求めると、少し地味に見えるかもしれません。
どういうことかと言いますと、本作の場合は、主人公たち2人の23年間を描いた作品であり、二人が二人でいることが極めて自然なのです。
そういう、二人がいて当たり前な自然さが魅力なのであり、人によってはこれは究極の百合の形ではあるのだけれど、最近の百合ゲーや漫画にあるような典型的なものを求めると、少し違うと思われてしまうわけですね。
その点の注意は必要なのですが、ライターの描写力や、個々のエピソードから考えると、二人の積み重ねた年月を順に描いただけでも、おそらく良い百合作品になっていたことでしょう。
しかし本作では、そこにミステリー要素が混ざり、時系列が分かりにくくなったことで、単純な百合としての魅力が発揮しきれなかったと。
また、ミステリー要素にしても、ラストが曖昧なので、ミステリーにラストの爽快さを求めると、そっち方面でもすっきりしない可能性があります。
つまり、百合単体で制作していれば、ピンク色の80くらいの強さになれたのに、ミステリー色等が混ざったことで、紫色に変化して、でも強さは80のままみたいな、いろいろ混ざって方向性は変われど、面白さ自体には変化がないみたいな印象なのです。
全体としての面白さは変わらないのかもしれませんが、百合なら百合、ミステリーならミステリーで、何か特定の部分を求め、その点だけを追求するなら、もっと面白くなれたのではという疑問も出てくるわけですね。
それと、本作はラノベ1本分の値段です。
その値段で、ラノベ1本分以上のテキスト量があり、もちろん、内容的にも十分な面白さを有しつつ、グラフィックやサウンドが加わるわけですからね。
しかも、CG枚数は、ミドルプライスの作品くらいありますし。
したがって、何よりもコスパを重視するのであれば、本作は十分に、名作と言うに値するといえるでしょう。
ただ、個人的には、引っかかるところもありまして。
本作は、画面全体にテキストが表示される、いわゆるビジュアルノベルになります。
しかも、CGの表示にあたり、特に配慮もなされていません。
そのため、せっかくのCGがあまり活かせておらず、魅力を存分に発揮しきれなかったように思います。
<評価>
ストーリー構成にしろ、グラフィックにしろ、良い部分も十分にあるのですが、もう少し他の方法もなかったのかなと、もやっとした何かひっかかる部分もありまして。
したがって、総合では良作とします。
もっとも、上記のとおり、非常にコスパの良い作品です。
この手のジャンルが好きならば、少なくとも買って元の取れる作品ですので、おすすめだと思いますね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2024-09-08 by katan


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