『モンティパイソンのホーリーグレイル』は1996年にWIN用として、ポニーキャニオンから発売されました。
オリジナルは『Monty Python And The Quest For The Holy Grail』で、その日本語移植版になります。
<総論>
時代的に「モンティパイソン」って何それ?って人もいるかもしれませんので、まずはその紹介から入った方が良いのでしょう。
「モンティパイソン」は、元々イギリスBBC放送のTV番組であり、『空飛ぶモンティ・パイソン』と名付けられていました。
内容的にはアーサー王伝説を題材としつつも、ブラックジョークで原型がないまでにパロディにした作品でした。
この番組は、低予算ながらもその抜群の個性で大ヒットし、その後もライブ、映画、アルバム、書籍、舞台劇等へと活躍の場を広げます。
日本でも、76年に吹き替え版が放送されたみたいですね。
今回は一応ゲームの話なのですが、その名のとおり、映画の『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』の映像を用いて、ゲームとして発売された作品でした。
もっとも、ゲームの方は、現在ではほとんど入手不可能な状態です。
他方で、オリジナルの映画版はDVD版だけでなく、BD版も昨年発売されています。
だから興味のある人はDVDとかの本編の方を探してみた方が良いでしょう。
・・・一応動画サイトとかでも見かけますので、それを見てみて面白かったらDVDとかを買ってみるのが良いかと思います。
私はオリジナルの方は全く知らず、大分後になって少し見たのですが、初めて見たときは笑いましたからね。
元々低予算な中で制作したというチープさすらも当初から味わいになっているだけに、逆に今でも色褪せることなく通じてしまう不偏の面白さがありますから。
まぁ私はあまり詳しくないので、詳しくはディープなファンのサイトか何かで見てもらうと助かります。
<感想>
上述のように本作は映画版の『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』をイメージし、ゲーム化された作品でした。
制作は7th Levelで、94年にもモンティパイソンのゲームを作っています。
もっとも、そちらの方は、私の知る限り日本語化はされていないはずです。
本作には、映画内の映像がほとんど収録されているみたいなので、基本的にはファン向けのコレクターズディスクという側面が強いのでしょう。
だからゲーマーというよりは、モンティパイソンのファンの方に知名度が高い作品かもしれませんね。
私がこの作品を知ったのは・・・何だったかな~?
店頭でたまたまだったかな。
それでパッケージを見て、何だこの変なのはと思い、家で雑誌を見たら載っていたって感じだったかな・・・
詳しくは覚えていないのですが、いずれにしろ現物も雑誌でも確認していましたので、日本語版が出ているのだけは知っていました。
ただ、諸事情でその時はスルーしていました。
私はモンティパイソンのファンってわけでもないですし、この時期はMYST系を中心に移植された海外のADVも豊富でしたからね。
やるものが一杯あったので後回しになっていたのです。
そのため、その時はスルーしたのですが、後に海外のサイトでどこでも絶賛されていたのを知り、そんなに面白いのかと思い、それで手を出した作品でした。
内容的には、聖杯を求めて中世イギリスの各地を探ることになるのですが、凄く良い意味で馬鹿ゲーですw
パッケージからして、「BEST CD‐ROM GAME OF 932A.D」と、ふざけてますしね。
そんなだから、店頭でパッケージを見て、何だこれって思ったわけですし。
ゲームジャンルとしては、インタラクティブムービー系のADVとなるでしょうか。
映画でも用いられた実写のムービーが用いられ、オリジナル吹替えメンバーにより音声もあります。
画面内のあちこちをクリックすると、いろんな反応が返ってきますので、基本的にはそれら映像や音声を堪能しつつ、合間にミニゲームを楽しむ作品となります。
旅の合間に挿入される5つのミニゲームはどれも個性的で、例えば画像にあるような、テトリス風の死体遺棄ゲームであるとか、魔女を探すために柱に括り付けられた女性に順に火を放つゲームであるとか、処女の尻を叩くゲームであるとか、おもいっきり悪趣味ですよね。
でも、間違いなく個性は一級品です。
だって、テトリスのブロックは勝手に動かないし、しゃべらないでしょ。
死体遺棄ゲームは、ブロック代わりの死体の中に、たまに生きている人も混ざっていて、それが動いたり生きてるってしゃべったり自己主張するのですよ。
ルールは誰しも知っているテトリスのはずなのに、これは絶対ビックリしてしまいます。
金銭事情もあって手放してしまったのであまり詳しく書けませんが、もう一回やってみたいですね~
今一番やり直してみたい作品かもしれません。
ファンなら間違いなく楽しめる作品でしょうが、ファンでなくても十分に異様な世界を堪能できる良質なADVでした。
こんなぶっ飛んだ作品は、そうあるものではありません。
この時代のCD-ROMコンテンツには夢があったし、ユニークなものも多かったなと、妙に懐かしくなります。
その中の一つの方向性として映像作品の素材を活かした物があり、国産の物にはハズレも多数あったことも否定できないのですが、本作は少ない大成功事例の一つと言えるのではないでしょうか。
<評価>
総合では、暫定的に良作としておきますが、再プレイしたら爆上げもあるかもしれません。
それくらい、異質な作品であったことは間違いないのでしょう。
もちろん、上記の評価はシリーズのファンでない私の評価にすぎませんので、シリーズのファンであれば、もっと楽しめることでしょう。
海外のあちこちのサイトで絶賛されていたのも頷ける作品だと思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-11-20 by katan
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