英雄伝説4 朱紅い雫

1996

『英雄伝説4 朱紅い雫』は1996年にPC98用として、日本ファルコムから発売されました。
なお、タイトルは「あかいしずく」と読みます。

ガガーブトリロジーの2作目となるRPGで、シリーズで最も好きな作品でしたね。

<概要>

94年に発売された『白き魔女』に続く、ガガーブトリロジーの第2段になります。

もっとも、発売当時にはガガーブトリロジーという言葉はなく、舞台となる世界は共通しているものの、各作品間でのつながりは薄いものでした。
そのため、本作オリジナル版に関しては、『白き魔女』をやっていれば、あのキャラが~という驚きはあるものの、本作だけでもストーリーを楽しむことに支障はありません。

<感想>

RPGって最近は必ずしもそうでなくなってきたかもしれませんが、基本的に勧善懲悪な作品が多いですよね。

10年以上前の80年代や90年代のRPGなんて、勇者様が悪い魔王みたいのを倒して世界が救われた、めでたしめでたしなんてストーリーが吐いて捨てるほどありました。
だからこそ、少年少女が普通に旅をする前作の『白き魔女』が、斬新に見えたりしたものですが・・・ここら辺は『白き魔女』の方を読んでください。

さて、『白き魔女』は斬新な設定ではありましたけど、結局賢い若者が子供並みにお馬鹿な大人を相手するという、これまたRPGのお約束な傾向は一部で残っていました。

何かね、もうお馬鹿な大人相手の勧善懲悪物にはウンザリでして。
だからこそ『朱紅い雫』のシリアスな展開に、おもいっきり惹かれたんですよね。

二つの宗派が争い、傷つけあってきた世界。
その争いのために8年前に生き別れてしまった妹のアイメル。
主人公アヴィンはアイメルを探すべく、親友のマイルを連れだって旅へと出発します。

しかし、アイメルとはすれ違ってばかりで中々会えず、ようやく追いついたと安堵した瞬間、敵対する宗派の手によりアイメルはかえらぬ人に・・・

そこからまぁ、宗教とは何か、神とは何か~ってなるわけですが、98版の場合、敵対する宗派=悪とはしなかったんですね。
自分の属する宗派だって、第3の宗派から見れば悪なわけで。
単純な勧善懲悪物だと思ったら、大間違い。

その後も、非常に重たいヘビーな展開が続いていきますからね。
何よりお馬鹿な大人が出てこないし。
こういったストーリーは家庭用ゲーム機では中々出てこないですから。
PCゲーもやってて良かった~って心底思った瞬間でしたね。
このストーリーだけでも一見の価値はあると思います。

ここで一つ注意点があるのですが、上記のシナリオはWIN版でかなり変更されています。
その最たるものが、敵対する宗派を悪とした勧善懲悪ものになったことなのです。
これだと、上の説明とはまるで異なってしまいますよね。
WIN版しか知らない人だと、こいつ何言ってんだと不思議に思ったかもですが、そういうことなんです。
ここは本作の中でも特に自分の好きな所だっただけに、WIN版での変更はちょっと・・・って感じですね。

ただWIN版はガガーブトリロジーとして、『白き魔女』『海の檻歌』とのリンクが強化されていますので、新規でやる人はそれはそれでWIN版でも構わないのかもしれませんけどね。
また、単純な勧善懲悪ものは、誰にでも分かりやすく、一般向けといえるでしょう。
だから一概には否定しないのだけれど、個人的にはかなり複雑ではあります。
本作ならではの良さは残しておいてほしかったですね。

キャラは前作のジュリオ・クリスの様な可愛らしさは弱いです。
キャラ萌えの人には辛いかな・・・
でも総じて大人な人ばかりなんで、落ち着いて見ていられましたし、自分は好きでしたね。

まぁ、一部の腐女子の間では、アヴィンXマイルのBL的な雰囲気が人気のようですけどね・・・
あ、ちなみにこの要素もWIN版の方が強いです。

<グラフィック>

グラフィックは昔懐かしのドット絵。
RPGにおけるドット絵の表現に関しては、ファルコムが日本一だったと考えます。
指先に至るまでのキャラの動きが、非常に細かい。
PCゲーをやると、家庭用ゲーム機のドット絵が如何に稚拙かと感じます。
まぁ、ディスプレイの解像度が違うから、当然と言えば当然なんですけどね。
でも、ドット絵を本当に堪能したいのであれば、やっぱりPCゲーをやるべきだし、その中でもファルコムのドット絵技術は最高だったということですね。

翌年以降、RPGは3Dポリゴンの時代に入ります。
ファルコム自身も、PC98のRPGは96年の本作と『ブランディッシュVT』が最後ですし。
そういう意味では、本作はドット絵では最高の作品の1つではないかと思います。
ただ、マップが使いまわしだったのだけは非常に残念でしたけどね。

<サウンド>

サウンドは、ファルコム初のMIDI音源対応。
ファルコムのサウンドは当時業界最高でしたからね。
もう満足でしたとしか言えないような・・・

<ゲームデザイン>

ゲームシステムに関して、本作はアイメルに追いつくまでは、わりと一本道っぽいですが、以後はフリーシナリオでかなりの数のフリーシナリオを自由に選べます。

ゲーム部分だけを切り取って考えるのなら、最初からフリーシナリオを混ぜた方が良いのでしょうけどね。
でもね、序盤って、アイメルに追いつこうと必死で、一刻を争っているわけです。
それなのに、もしちんたら寄り道したり他のエピソードに手を出したら、少し矛盾していますよね。
物語上は切羽詰まっていても、他方でのんびり寄り道できるというのも、RPGの古くから続くお約束なのかもしれません。
確かに遊ぶ上では助かる場合もあるのですが、物語とゲーム部分がきちんと融合していないですよね。
古いRPGの多くに対し、私はそうした部分が気になっていたものです。
本作の構造は物語の設定にもマッチしているので、好印象でした。

後半はフリーシナリオが100本以上あり、ストーリー性もあるけど自由度も高いって作品は好みでしたね。

戦闘はタクティカルコンバットシステムです。
ただのボタン連打より好きで自分好みではありましたが、難易度は高めでした。
どうやら、世間一般ではマゾゲーで通ってるようです。
自分はそれほどにも感じなかったけど・・・どうも少数派らしいです。
当時の私は一番高難度のゲームに慣れていた時期だったので、それで気にならなかったのでしょう。
ヘタレた今なら、きつく感じてしまうかもしれませんね。

ちなみに本作は、主人公の使う魔法の属性を最初に決めることができます。
白魔法とか黒魔法とか精霊魔法とかですね。
とりあえず私は、召喚獣とか大好き人間なので、風の精霊魔法使いで始めました。
だって、風の精霊魔法使いとかって、憧れるじゃないですか。

しかし、とりあえずハッキリ言えることは、精霊が役立たずなのは間違いないかと。。。
精霊も見た目は楽しめるので良いのですけど、もし、少しでも楽に進めたいのなら、白魔法あたりを選択すべきでしょう。
ここの選択次第で難易度は大分かわってくると思います。

<評価>

一般的に批判されてる部分が自分は全く気にならなかったってのもあり、どの部分も非常に満足できたRPGでしたね。
総合でも、十分に名作といえるでしょう。

特に私がこれまでのRPGに抱いていた疑問等を解消してくれた作品ということで、非常にポイントが高いです。
主観的には自分の中でも、最上位クラスの作品ですね。

手を出しやすいのはWIN版でしょうが、上記のとおりの内容ですので、可能な限りPC98版をやって欲しいかなと思います。

ランク:AA(名作)


PC-9801 3.5インチソフト英雄伝説4 朱紅い雫

Last Updated on 2024-11-15 by katan

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