『MISSING PARTS2 (ミッシングパーツ2)』は、2002年にドリームキャスト用としてFOGから発売されました。
ミッシングパーツシリーズの2作目で、全6話の内の3話と4話が収録されていました。
<感想>
このシリーズは、シリーズ全体を通しては間違いなく傑作と考えます。
ただ、出だしである1作目は随所に甘いところがあり、せいぜい佳作止まりかなって感じの作品でした。
当初から3までが予定されていましたが、1の時点では、これ全部買う必要あるのかなって疑心暗鬼でしたね。
その疑いを払拭して一躍名作の仲間入りを果たせたのは、この2作目があったからでしょう。
まずは定価が1000円下がりました。
1本当たり2話という構成であるところ、2話分のボリュームをあわせてもそれほど多くのプレイ時間がかからないことから、前作に対しては若干コスパが悪いように感じていました。
本作では、その定価が下がることで、ボリュームに対してのコスパ問題は解消されました。
次に、グラフィックに磨きがかかりました。
21世紀に入ってからの新しいADVの演出方法の1つに、1枚絵を拡大縮小して効果的に見せる方法があります。
この手法の認識度が広まったのは2004年の『Fate』あたりでしょうが、本作はそれに先駆けて使用していましたからね。
元々FOGのCGは綺麗だったのですが、これによって更に優れた物になっていきました。
また、ゲーム部分も進化しました。
ゲームシステムが変則的なコマンド選択式ADVという基本路線は同じなのですが、前作は初作品ってこともあってか、どうもこなしきれてなかったんですよね。
一見同じようでも、コマンドの作り方などの基礎的な部分が、本作でかなり洗練されたかと思います。
ところで、本作のシステムはコマンド選択式のADVになるのですが、上記のとおり変則的で若干工夫がなされています。
具体的には、本作には行動による時間経過の概念があるのです。
そのため、普通のコマンド選択式にありがちな、コマンドを全部試すといった方法は取れません。
また、プレイヤーの行動によってエンディングも少し分岐しました。
各話は前の話のランクAを元に進んでいますので、プレイ時には出来るだけ最高ランクを目指すのが望ましいでしょうね。
本作におけるこのシステムは、概ね好評を得ていたようです。
昔似たようなシステムのゲームがあったんですけどね、そのゲームは結構叩かれたりもしたんですよ。
つまり、今はコマンド選択式の悪い面ばかりが注目されてしまうので、本作のように全部試すような手段が取れない手法は好まれます。
しかし、昔の選択式が当たり前だった頃は、全部のコマンドを試して返ってくる反応を楽しむっていうのも、ADVの楽しみ方の1つだって考える人も多かったんですね。
だから、本作のような選択回数が制限される手法は、必ずしも好まれたわけでもなかったのです。
この違いはADVに対する認識の違いから生じたものだと思うのですが、昔叩かれていたものが今では受け入れられているってのも、考えると中々に興味深いものですね。
そして、何といってもキャラでしょうね。
元々このシリーズは活き活きとしたキャラが魅力の作品ですが、前作は紹介の意味合いもあって大人しめでしたからね。
本作から主要人物が存分に動き出した感じでした。
特に3話に登場する涼雪は、各話に出てくるヒロインらの中でも人気だったはずです。
涼雪の出てくる3話抜きには、本作の高評価は語れないでしょう。
大雑把にはこんなところでしょうか。
全ての面で前作を上回ってくるという、ゲームとしては珍しいパターンでしたね。
おそらく1話と2話だけをやった人の中には、もういいやって投げかけた人もいるかと思います。
しかし、できれば我慢して3話をやってもらいたいですね。
劇的に進化する3話からが、本当のミッシングパーツシリーズの始まりですから。
ストーリーについても、初代より大分良くなりましたね。
冒頭で、本作はシリーズ第2弾であり、第3話と第4話が収録されていると書きました。
このシリーズは基本的に1話ずつでも完結します。
それぞれのエピソード単位でも面白いのですが、6話全体を通じて大きな一つのストーリーを構成していますので、結局は全部やらないと駄目でしょうね。
なお、PS2版は2作品で区切っているので、1~3話と4~6話って構成です。
そのため、PS2版では3話と4話が別になっているんですよね。
収録作のうち、第3話「託されたペーパーナイフ」 は人気の高いエピソードで、単体の出来なら5話と双璧なのかなと思います。
ゲストヒロインの涼雪はゲストヒロインの中でも1番人気かもですし、シリーズの中でもターニングポイントとなった重要なエピソードと言えるでしょう。
第4話「傷ついたテディベア」 は、シリーズ内での重要度から考えればあまり重要ではないかもしれません。
単体の出来もそれ程でもない気もします。
ただ、ゲストヒロインのまどかは幼女なので、ロリ好きには欠かせないエピソードでした。
直前の第3話が重いストーリーだったところ、逆にこの第4話は癒される感じで、気分転換的な意味合いもかねており、組合わせのバランス的にも調度良かったかと思います。
<評価>
総合でも十分名作といえるでしょう。
個別的評価となると、当然最後の纏めであるMP3が最高ってなります。
しかし、MP3は、その分ストーリーが重かったりしますからね。
纏めに入っているから、キャラ同士の絡みを悠長に楽しむって雰囲気も無くなっていきますし。
そう考えると、キャラの活き活きした姿や魅力が存分に楽しめたって点では、このMP2が一番良かったように思われますね。
ランク:A(名作)



Last Updated on 2025-03-23 by katan
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