『LOVE&DEAD』は2008年にWIN用として、ライアーソフトから発売されました。
実にライアーらしい作品であり、どこか98時代のB級作品のような懐かしさも感じられる作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
概要・・・『行殺 新選組』、『平グモちゃん─戦国下克上物語─』の岩清水新一が贈る、不条理B級学園青春スプラスティック・ラブ&ホラーコメディ。
3人の男性主人公の中から一人を選び、ヒロインたちと交際していく学園ラブコメディーホラーAVG。
選択肢分岐式ADVとしてはライアーソフト最大級、89種類のマルチエンディングシナリオでは、ライトなビジュアルとは裏腹に衝撃の展開が目白押し。
さらにエンディングによっては他の主人公のシナリオにも影響が!?
サスペンスシーンや残虐描写は、カトゥーンアニメーションによりデフォルメ化し、リアルなグロテスク描写が苦手な人にも安心かも。
<感想>
私が本作をプレイしたのは結構後だったので、細かい経緯は知らないのですが、もともと3つのシナリオが発売されていて、それをオムニバスとして1つの作品にしたのが本作になるようです。
そのため、本作ではまず最初に、どの主人公のシナリオを読むかを選択することになります。
さて、実際の中身についてですが、端的に言うならばライアーらしいなと。
ライアーソフトは、時代によって作品の傾向がかわりますし、私が名作と判断した作品にしても、全然毛色が異なっていたりします。
ただ、ライアーらしい作品と言われて真っ先に思い浮かべるのは、やっぱり初期の代表作である『行殺 新選組』なのです。
『行殺 新選組』はネジのぶっ飛んだバカゲーでしたが、本作も『行殺 新選組』に負けないようなバカゲーとなっております。
本作の企画原案である岩清水新一さんは『行殺 新選組』も製作していますから、本作は『行殺 新選組』の流れを汲んだ作品とも言えるのかもしれません。
2008年頃のライアーソフトというと、桜井光さんのスチパンシリーズが人気となっていましたし、ライアーの看板シリーズになっていたと思います。
私自身も、興味や関心は、もっぱらスチパンシリーズに移っておりました。
それで私は、最初、本作をスルーしていたのですが、たぶんそういう人、他にもいたと思います。
そのため、本作はどうしてもマイナーな印象が強いのですが、今振り返ってみると、これこそライアーらしい作品だと思うんですよね。
また、本作は、単なるバカゲーでもなくて、ストーリーがいろんな方向に発展していくわけでして。
特定のジャンルではなく、様々なジャンルが含まれていて、ごった煮なんですね。
こういうどこに向かっていくか予想できないようなストーリーは、おそらくゼロ年代のエロゲユーザーはあまり得意でないだろうなと思います。
他方で、PC98時代のB級作品っぽさも感じさせられることから、98時代からのユーザーは結構好きそうだよなと思ったりもするわけでして。
というか、少なくとも私は結構好きです。
選択肢が次から次と出てきて、それによりストーリーがどんどん分岐していく、そうした本作の構造は、90年代のノベルゲーに多かった構造になります。
たくさん分岐して、それだけストーリーも多方面にわかれ、それに対応すべく、本作のEDは、実に89もあるようです。
そんなにED数のある作品は、近年では本当に少ないです。
ゲームブックと評された昔のノベルゲーのような構造をしている本作は、90年代までのノベルゲーが好きだった人ならば、おそらく気に入るのではないでしょうか。
他方で、本作が元はオムニバス的な構造であることから、作品全体のまとまりは薄いこと、懐かしさは感じられても、言い換えると新鮮さや独自性には欠けること等から、主観的には好きであっても、作品としては、あまり高い評価になりにくいのかなとも思います。
<評価>
本作は、90年代までのゲームブック的なノベルゲー、しかも98時代のアダルトゲームのような何でもありの内容を、グラフィックや演出等において現代の技術で蘇らせつつも、きっちりライアー風味に仕上げた作品といえるでしょう。
他方で、どこかしらチープさが漂うなか、懐かしさは感じられても本作ならではの魅力は乏しいとも考えられることから、必ずしも高得点にはなりにくいわけでして。
そのため、総合では一応良作としておきます。
まぁ、ゼロ年代からのエロゲユーザーには、あまり刺さらない類の作品かなとも思いますが、どこか懐かしさの感じられる本作は、個人的には評価以上に好きでしたね。
ランク:B-(良作)
駿河屋
DL版
Last Updated on 2024-04-18 by katan
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