『Late Shift (レイトシフト)』は2019年にPC用として、Wales Interactive(開発はCtrlMovie)から発売されました。
全編実写動画の犯罪サスペンスゲームであり、非常に多くの分岐を楽しめる作品でした。
<概要>
ゲームでは、わけがわからないままオークションの盗難事件に関与したとされた数学専攻の大学生マットが、自身が潔白であることを証明しようとします。
プレイヤーはゲームの中で一連の選択肢に直面し、単純に見えるいくつかの決定が、結果を大きく左右します。
『シャーロック・ホームズ』(2009年映画)の作者によるストーリーの中で、プレイヤーは180個もの選択に直面し、心揺さぶられるストーリーを体験します。
車を盗む?走って逃げる?おとなしく協力する?
めちゃめちゃにする? ストーリーの進行とともに、プレイヤーは指定された時間内に選択しなければなりません。
動画はHDで制作されています。プレイヤーは映画、ゲーム、インタラクティブな物語の3つが組み合わさった特別な体験ができます。
すべての選択はあなた次第
●複数選択による物語体験:1話のメインストーリーから枝分かれする複数の物語と7つの結末。
●実写版によるインタラクティブなサスペンスHD映画。
イギリスロンドンにて撮影。
●180種類を超える選択、後戻りはできません。
●トビアス・ウェバー監修の映像、2009年の映画
『シャーロック・ホームズ』の作者により作成されたストーリー。
●主演:ジョー・ソワーバッツ(マット役)、
安部春香(メイ・リン役)および2005年の映画『オリバー・ツイスト』に出演したリチャード・ダーデン(サミュエル・パー役)。
なお、本作の発売自体は2017年ですが、日本語版が出たのは2019年になります。
<ゲームジャンル>
今だとFMV(フルモーションビデオ)と呼ばれるジャンルになります。
ひと昔前だと、インタラクティブムービーと呼ばれていましたね。
私なんかだと、インタラクティブムービーの方が馴染みがあるので、そっちの表現の方が好きなのですが、FMVは文字数が少なくて済みますので、便宜上、今後はFMVと記載していきます。
さて、このFMV、ゲームジャンルというよりは、見た目の特徴に従った分類になります。
例えばポリゴンを使ったゲームを3Dゲーと言うような感じで、FMVは、実写を用いたADVになります。
そのため、FMVとは言っても、ゲームジャンルという観点からは、実は様々な物がありえることになります。
90年代の海外のADVの中には、実写やムービーを扱った作品も多数存在していました。
その辺りは、私の過去の記事を読んでいただければ、少しは分かるように思います。
実写ムービー系の作品はいろいろあったのですが、基本はやはりADVという作品が多かったです。
海外のADVの主流はポイント&クリック式ADVであり、それを実写で作った作品とかですね。
あとは、90年代半ばにMYST系ADVが流行し、その中でキャラが実写だったというケースも多々存在していました。
国内の実写ムービーを用いたADVにしても、面白い作品の多くは、実はゲーム部分も凝った作品でした。
例えば『悪逆の季節』(1994年)とか、『es 心の闇に深入りするな』(2001年)とかがあります。
日本のADV市場においては、ノベルゲームが増えていったことにより、読み進めながら、途中で選択肢を選ぶことで、その後の展開が変わるという作品が増えていきました。
それを常に動き続けるムービーで行ったのが、『ダブルキャスト』(1998年)をはじめとした、「やるドラ」と呼ばれた作品たちなのでしょう。
「やるドラ」は好きでよくプレイしていましたが、ムービーはムービーでも、アニメーションなんですよね。
私は実写系の作品も大好きだったことから、「やるドラ」の実写版みたいな作品をずっと待っていたのです。
つまり、実写でありつつ、映画みたいにずっと動き、ノベルゲームのように選択次第で後の展開がかわる作品で、面白いと思える作品ですね。
しかし、なかなかそういう作品は出てきませんでした。
インタラクティブムービーであれFMVであれ、名前は何でも構わないのですが、そうした実写ムービー系の作品は90年代に少なからず存在し、中には名作傑作と呼べる作品もいくつも存在したのですが、分岐する映画みたいなジャンルについては、これと言いきれる作品がなかったのです。
上記のとおり、日本ではムービーではなくノベルでしたし、海外だとP&CかMYST系の作りになってしまうので、実写ムービーの分岐系作品が盲点になってしまっていたように思います。
Steamの功績はいろいろあり、その最たるものが、洋ゲーを気軽に日本でもプレイできることになったことなのでしょう。
私がよく海外のADVをプレイしていた頃は、そもそもソフトを入手すること自体が困難でしたからね。
そして、他にも功績はいろいろあるのですが、その一つとして、盲点になっていた実写ムービーの分岐系作品に再度焦点が当てられ、いくつか作品が出てきたことが挙げられ、本作はその代表作に該当するのだと思います。
<感想>
さて、前置きが長くなりましたが、本作は、ジャンル自体が私のずっと待ち望んでいたものでした。
例えば分岐するノベルゲームにしても、大きく2種類あります。
1つは、近年のノベルの多くに見られるような、分岐はルート選択程度の最低限で、メインストーリーを読み進めることを主目的とした作品です。
そしてもう1つは、細かくプレイヤーに選択させ、選択による展開の変化を楽しむことを主目的とした作品です。
後者は、90年代に多かったタイプで、ゲームブック型と説明されることもありました。
ノベルゲーに関しては、製作者の作りたいものの内容により、どちらのタイプもありだと思います。
しかし、実写ムービー系の作品の場合、前者のような構造にしてしまうと、映画とほとんどかわらなくなり、それではゲームとしてやる意味がなくなりかねません。
実写ムービー系については、後者のゲームブック型の方が、個人的には適していると考えます。
本作は、ゲームブック型の実写ムービー系作品であり、180個もの選択に直面し、選んだ内容により、細かくその後の展開がかわっていきます。
動き続ける動画の中、次から次へとアクシデントに遭遇し、どんどん展開がかわっていくことから、プレイをしていて常に刺激があって楽しめました。
このジャンルについては、ストーリーの良し悪しよりも、絶えずプレイヤーに選択を迫り、それにより次から次へと展開が変わっていくことの方が、私は重要だと思いますし、本作は少なくともその点は非常に良かったと思います。
プレイ中は、これは傑作かと思ったものですが、残念ながら欠点もありまして。
再プレイの際に、前に見た部分をスキップしにくいのです。
同じところを何度も見ることになりますので、コンプリートにこだわる人だと、ストレスを感じてしまうでしょう。
90年代であれば若干のマイナスで済んだかもしれませんが、この時期の作品となると、マイナス幅も大きくなってしまいます。
<評価>
総合では名作といえるでしょう。
90年代に発売されていたら、傑作もありえたかもしれないですし、上記欠点がなければ、同等の評価をしていたでしょう。
その点は少し残念ではありますが、それを差し引いたとしても、十分に名作と呼べる出来だと思いますし、同系統を代表する作品だと思いますね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2025-11-24 by katan


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