『ウウウルトラC』は2020年にWIN用として、ADELTAから発売されました。
昭和(70年代)×ヒーロー×大怪獣×BL、昭和アバンギャルドな怪獣ドラマ。
唯一無二の世界観を、総CG枚数1400枚以上ともいわれる、圧倒的ボリュームで彩った、珠玉の逸品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
昭和45年3月。
東京は祖師谷に住む正太郎は恋人・狐塚君と二人暮らし。
世間では人の怪獣化が感染症として認知され、受け入れを促す一方で不穏な空気が漂っていた。
正太郎は正義に憧れるその一人。
しかし、怪獣の血を浴びたことにより日常は一変する。
怪獣、ヒーロー、巨大ロボット、3人の主人公たち。
昭和の遺物を巡るアバンギャルドな特撮ドラマ。
<感想>
やってくれたな~
率直な感想としては、そのひと言に尽きます。
昭和45年という時代を舞台とし、そこに特撮ヒーローネタとBLを混ぜ、唯一無二の独自の世界観を作り上げることに成功しました。
もう脱帽するしかないです。
エロゲ、すなわちアダルトゲームという市場を振り返ると、一番多様性があったのはPC98時代になります。
あの時代、PC自体がまだ普及しておらず、その中で更にアダルトゲームという制限が加わると、一部の限られた層だけのものだったといえるでしょう。
アングラな雰囲気もあった当時の市場においては、エロさえ入れれば、何をやっても構わないという風潮がありました。
まぁ、本当にユーザーもそう考えていたかは若干怪しいですが、少なくともそういう認識の製作者は結構いたように思います。
本作をプレイして、ふと思い出したのは、PC98時代の『Tonight 終末の夜』(1994年発売)でした。
余談ですが、『Tonight 終末の夜』は、特撮ネタのノベルゲーになります。
ノベルゲーが96年からとか言い出す人は、この作品とか知らないんだろうなぁ。。。
こういう作品、ライアー辺りはまだやれそうな気もしますが、一般論としては、今のエロゲ市場ではまず出せないのでしょう。
本作は、特撮ヒーローネタをやりつつ、そこに昭和45年の雰囲気を取り込み、更にBLを混ぜ、しかも3人の主人公による3つのエピソードを通じて多角的に表現し、独自の世界観を見せつけてきました。
こんな作品、他社からは出せないです。
本作が女性向けの同人サークルの作品だからこそ出せたのでしょう。
本作が凄いのは、世界観やキャラの魅力だけではありません。
本作の総CG枚数は1400枚以上ともいわれ、他の作品をはるかに上回る大量のCGが用いられています。
しかも、単に枚数が多いだけではありません。
本作はシナリオと原画が同じ人ということもあって、CGの使い方が上手いというか、CGがストーリーに上手くマッチしているのです。
CGの枚数が多いだけでなく、それらがストーリーと融合することで、作品の持つ魅力が更に増しているのでしょう。
作品のボリュームが増えることにより、シナリオ担当と原画家が異なる作品が今は大半を占めます。
ただ、理想論としては、作品の完成度を高める観点からは、同じ人が兼任をするか、少なくとも、作品全体をきちんと統括できる人が必要なのでしょう。
個人的な2020年の18禁ゲームの上位作は、どれもシナリオ担当と原画家が一緒で、かつ完成度が高いことから、あらためて認識しました。
映画でもアニメでも、脚本が誰かより、まず監督に注目が行くと思うのですが、エロゲ業界では、ユーザーにそういう意識が低いように見えます。
しかし、今後は、プロデューサー、総責任者が誰なのかという観点はもっと大事にしていった方が良いように思いますね。
また、OPも良かったですね。
アニメのOPを意識したような作りになっており、これを見ているだけでテンションが上がってきます。
<評価>
個人的な好みの話をするならば、実は私は、本作が必ずしも大好きとまでは思っておりません。
BLが好きというわけでもないですし、特撮ネタも好きというわけでもないので、好みや個人的なツボからは、ちょっとずれてしまうのですよ。
ただ、私の好みなんて関係ないわけで、ここまでやられてしまっては、もう傑作と言うしかないでしょう。
したがって、総合でも傑作とします。
本作は、シナリオ担当と原画家が一緒という点や、CG枚数が多い点等からも、2020年を象徴する作品と言えるようにも思いますし、ぜひともプレイしてもらいたい作品ですね。
ランク:AA-(傑作)
Last Updated on 2024-09-15 by katan
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