Fate/stay night

2004

『Fate/stay night』は2004年にWIN用として、TYPE-MOONから発売されました。

TYPE-MOONの商業デビュー作にして大ヒットした作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
七人の魔術師(マスター)、七騎の使い魔(サーヴァント)
生き残るのは、ただひとくみ・・・・。
「───一つ言い忘れた事がある。僕はね、魔法使いなんだ」
火災によって孤児になった主人公は、そう語る男の養子として引き取られた。
その養父の死から三年。
町には不可思議な事件が起こり始め、主人公はマスターと呼ばれる魔術師たちの戦いに巻き込まれる。
だが養父から受け継いだ魔術はただ一つ。
主人公は魔術師としてあまりにも未熟なまま、マスターの一人として“儀式”に身を投じる事になるのだが───。

<グラフィック>

ゼロ年代後半に入りますと、同人ゲームの中にも優れた作品が何本も登場し、私も、傑作と認定した作品がいくつかあります。
しかし、ゼロ年代前半までの同人ノベルゲーで傑作判定した作品となると、わずかに1本だけとなり、それが2000年に発売された『月姫』になります。
その『月姫』を作ったTYPE-MOONが遂に商業進出。
速報で知ったときには、つい興奮せざるを得ませんでしたね。

私はTYPE-MOONの一番の魅力は原画にあると思っています。
誰が何と言おうと武内崇さんの絵が好きなんですよ。
ぶっちゃけ、本作だってセイバーというキャラがいなけりゃ、良作と判断したかすらも怪しいですし。
そのくらいセイバーはめっちゃツボで、いわゆるアルトリア顔が好きなのでしょう。
それだけで十分元が取れるってものです。

原画が好きなだけでなく、今回はグラフィックの演出面も非常に強化されていましたね。
ここが同人時代の『月姫』から一番進歩したところでもあるでしょう。画面の拡大・縮小って技術は既に他社の数作品で用いられていましたが、バトルで用いたことで大きなインパクトにつながりました。
ここまで派手に使った作品も無かったでしょう。
そう考えると、本作の持つ意味合いも大きいですね。

それから、どうしても派手な演出や、キャラの可愛さとかに目がいきがちですが、実のところ、要所要所で一枚絵がきちんとシーンを描けているのが大きかったかなと思います。
後のバトル系ノベルで、演出が良いとされている作品でも、きちんとシーンを描けていないものも多く、そういう作品をプレイするたびに、本作の良さを再認識するというものです。

また、音声が無かったのは残念だけれど、主題歌も凄く好きでした。
この点は、発売時期も大きいでしょうね。
本作の発売された2004年であれば、このくらいのボリュームのある作品であれば、音声がなくても不満が出にくかったでしょう。
しかし、もしあと1~2年、発売が遅れていたら、結構不満も出ていたように思います。

総じてキャラ・グラフィック面では、同時期の他作品を確実にリードしていたでしょうね。
その意味では、本作は2004年を代表する作品と呼べるのではないでしょうか。

<感想>

というわけで、キャラやグラフィック面では非常に満足した本作。
しかしながら、ストーリーやゲームデザインは少々物足りませんでした。

『月姫』の時から少し気にはなっていた設定の垂れ流し。
その傾向は本作で更に強まり、ただ眠くなるだけでした。

一部の設定でパクリ騒動もありましたし、それ自体はそこまで騒がなくても良いとしても、少なくともライターの引き出しのなさは露呈しました。

また、そこまでは構わないとしても、問題は、その肝心のストーリーがね・・・
自分で出した設定を後からひっくり返し、それをまたひっくり返す。
どんでん返しというのは、辻褄が合った上で、最後に切り札として用いるからこそ効果があるのです。
こう何度もひっくり返しては、ただの後出しジャンケンにすぎません。
どうせまたひっくり返されて意味が無くなるんだろうって思うと、設定の文章なんか阿呆臭くて読む気が失せてきます。
ノリが完全にインフレ気味の格闘モノの少年漫画なんですよね。
勢いで楽しめているうちは良いのですが、それが冷めてくるときついですね。
題材的に若年層には受ける内容かもしれませんし、だからこそセールスにもつながったかもしれませんが、ストーリーとしては正直駄目な部類でしょう。

全体的に『月姫』で少し気になっていた部分、潜在的な欠点が、改善どころか改悪されて戻ってきたように感じました。
これでは、何のための商業化なんだかサッパリわかりません。

また、設定では様々な数値が出てきます。
これがまた、何の役にも立ちません。
本作は小説でなくゲームなのだから、何かしらゲームとしての要素と組み合わせることも出来たでしょう。
中世ヨーロッパを舞台とした冒険物の多くが、RPGとして出されている意味を考えるべきです。
その点で、ゲームデザイン的にも疑問を感じてしまいました。

もしノベルゲームに拘りたいのなら、そして、あくまでも文章で勝負すると言うのであれば、安易な数値による格付けをするのではなく、その文章表現によって強さをプレイヤーに感じさせるべきでした。
結局のところ本作はそれが出来ないから、安易に数値で誤魔化したとしか思えないのです。
また、それがあるから、本作のテキストも、どれだけ好意的に解釈しようとしても、良いとは言えないのです。

何のために商業化して、ゲームという媒体を選んで本作を発売したのか。
私にはサッパリ理解できませんでした。
『月姫』で見せた態度に深く感銘を受けていただけに、その落胆もまた激しかったです。

とはいえ、勢いで終盤まで楽しめはしましたからね。
文句が続いたわりには、本作自体の評価はわりと高めです。
ただ、ライターの底の浅さが露呈してしまった気がして、この作品は評価できるけど、次の作品には興味が持てないなって感じでしょうか。

<評価>

まぁ、全ての欠点もセイバー萌え~の前には霞んでしまう、というのは言い過ぎかもしれませんが、グラフィックやキャラという長所で欠点部分を補えますので、総合では良作だと判断します。

そういうわけでセイバー萌えな私は十分楽しんだし、同じくキャラに魅力を感じる人は買いだと思うのですが、そうでない人には佳作止まりかそれ以下もありえるなと思いますね。

ランク:B(良作)

Last Updated on 2026-02-01 by katan

コメント

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    Fateは面白くなかったですねえ。
    katanさんの仰る通りです。どうせ後でひっくり返るのだからと
    バカバカしくて世界に入り込めませんでした。
    さらに、私はセイバーには萌えられなかったので散々です(笑)

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    私はセイバーにかなり萌えたので、最初は名作って書いたんですけどね。
    後から、それは全ての欠点を消すほどのものなのかと思い、訂正しました。
    キャラに萌えられなければ、当然もっと印象は悪くなったでしょうね。
    好きな人は好きなのかもしれませんが、私にはあのテキストは評価できないです。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    よく分かります。すぐ前提をひっくり返すので、冷めた部分が大きかったです
    能力の上手い使い方というより、例外を創造して乗り切るシナリオがキツイ
    まぁ、でもグラフィックの動かし方、演出の良さは評価できましたが
    ちなみに私は当時から桜一択でした。不幸萌えですね

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > ちなみに私は当時から桜一択でした。不幸萌えですね
    私の同僚でFGOからはまった20代の女性も、桜が好きと言っていました。
    FGOのキャラ人気をみても、様々な好みに応えられる多くのキャラがいるというのが、
    この作品の一番の強さなのかもしれませんね。

  5. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    私もfateダメでした。
    セイバーには萌えられたけど、士郎のキャラが自分には無理でしたね。
    自分はこれで型月から離れました。

  6. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >kendiさん
    これで離れられたのは、むしろ良かったかもですね。
    私はなまじキャラが好きだったので、FGOとかも手を出してしまいましたし

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