『ジュエリー・ハーツ・アカデミア -We will wing wonder world-』は、2022年にWIN用として、きゃべつそふとから発売されました。ブランドらしさはありつつも、少し傾向をかえてきた作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・──フリギア王立ジュエリー・アカデミア──
そこは『意志(ジェム)』と呼ばれる不思議な宝石を研究する学園。
主人公ソーマ・ジェイスはアカデミアに眠る『賢者の石』を探るべく、エージェントとして『クラス・ダイヤ』への潜入を試みる。
しかし……彼が配属されたのは謎の新設学級『クラス・ペガサス』だった。
ペガサス組に揃ったのは目的も国籍もバラバラな6人の少年少女。
彼らはしばしば反発し合いながらも、やがて世界を脅かす危機に直面することになる。
『石喰い』──それは、ノヴァ大陸全土を石化せんと迫る謎の災厄。
その最前線に位置した彼らは、元凶の組織《メデューサ》との闘争に巻き込まれていき……?
「いくよみんな──わたし達の全力を、思いっきりぶつけてやろう!」
果たしてソーマはミッションを達成できるのか。
そして、大陸を喰らう石化の脅威に打ち勝つことはできるのか。
世界を羽ばたく意志と絆の冒険譚──ここに輝く。
<感想>
今回も仕掛けが用意されていますので、ライターの冬茜トムさんらしさは出ており、
ファンなら楽しめる内容は保たれているのかなと思います。
特にキャラは、過去作よりも良い感じでしたので、序盤は好印象でした。
ただ、過去作もミステリーラノベみたいな内容でしたが、本作では、エロや恋愛要素がオマケっぽくなり、そのかわりに戦闘要素が加わったことにより、作品全体の構造として、過去作よりも、より一層、厨ニラノベ感が強まったように感じました。
問題は、この変化が単なる方向性の変化だけで済まなかったことなのでしょう。
まず、本作の序盤は学園を舞台とし、そのエピソード等にしても、キャラゲーのような感じになっています。
また、良いキャラもいたので、そのまま普通にキャラゲーに徹していても、おそらく評価されたように思います。
しかし、本作は、恋愛やエロがオマケっぽい扱いになっていることから、キャラゲーを期待した人からは、消化不良のような、中途半端な内容に見えてしまします。
近年はエロゲとして一定のエロがないと満足しないユーザーも多いことから、本作の構造には否定的な方も一定数出てくるのではないでしょうか。
次に、本作で加わった戦闘要素ですね。
ストーリー終盤でこの色合いが濃くなってくるのですが、ここは単純に出来が悪かったです。
同じ様な展開が続くので、読んでいて飽きてきますし、グラフィックや演出も貧弱なので、戦闘要素が魅力の他社作品と比べると、どうしても見劣りしてしまいます。
ストーリーのオチにしても、いまいち腑に落ちないですし、全体的に終盤にいくほど盛り下がるようなタイプの作品で、途中までの楽しさが吹き飛んでしまいました。
結局のところ、かえた部分がことごとく中途半端になっており、ストーリーとキャラデザがマッチしていない等の根本的な部分も含め、全体的にチグハグした印象を受けました。
作品としての完成度は、過去作と比較しても、低いといわざるをえないように思いました。
キャラが良い味を出していただけに、もったいなかったです。
<評価>
ブランドらしさは垣間見えることから、ファンであれば楽しめる可能性はあると思います。
ただ、個人的には、あえてプレイするまでもなかったかなというのと、ブランド過去作と比較しても、優先度は高くないかなということもあり、総合では凡作とします。
方向性をかえること自体は良いことだと思うのですが、もう少しきちんと練る必要があったように思いますね。
ランク:D(凡作)
駿河屋
DL版
Last Updated on 2024-04-20 by katan