脱出するのは犯した後で ~閉じ込められた少女とオヤジ~

2012

『脱出するのは犯した後で ~閉じ込められた少女とオヤジ~』は、2012年にWIN用の同人ソフトとして、ソクラテスから発売されました。

待っていたのは、こういうゲーム。
こういうゲームがもっと増えて欲しいものです。

<概要>

目を覚ますと、見知らぬ洞窟に閉じ込められていたオヤジと少女。
プレイヤーはオヤジとなって洞窟からの脱出を目指そうとするが、とにかく少女が可愛くて気になって仕方ない・・・。
どうせなら密室という状況を最大限に利用して、脱出前に少女を犯せ!

ちなみに、当初はダウンロード版だけでしたが、現在はパッケージ版も発売されています。
もっとも、パッケージ版のタイトルは、『脱出するのは頂いた後で』に変更されています。
パッケージ版を検討する方はご注意下さい。

<感想>

上記のあらすじの通り、主人公である中年のおっさんが目覚めたら、そこは洞窟の中であり、側には少女が寝ています。
まず洞窟から脱出しなければならないということで、物語上のジャンルとしては脱出系になります。

もっとも、本作はアダルトゲームですし、洞窟という閉鎖空間に少女と2人きりですからね。
当然のことながら単に脱出するのではなく、最初はその気はなかったものの、つい手を出してしまうと。

ストーリーはシンプルですが、基本的にグラフィックとゲーム性と雰囲気を楽しむ作品なので、やりたいことを端的に表現したと捉えれば、これはこれで良いのかなと。

<グラフィック>

ソクラテスは3DCGムービーが一番のウリであり、今作もグラフィックの質は非常に良いです。
この分野に関しては、今は商業よりも同人の方が良いですね。

まぁ肝心のヒロインがあまり可愛くないのが若干問題でもありますが、逆にそれがリアルっぽさにもつながりますので、むしろこっちの方がそそられるという人もいるのではないかと。
少なくとも単に可愛いだけの作品とは異なる、独自の雰囲気をかもし出すことには成功しています。

通常時はMYST系ADVのようなCGが表示されているのですが、Hシーンはムービーになります。
ムービーは39分もありますので、1260円という価格からすれば十分すぎる量でしょう。

<ゲームデザイン>

これまでのソクラテス作品はムービー集だったのですが、今作はMYST系のADVとなっています。

具体的には画面中をあちこちクリックし、謎を解いたり石版を集めながら進むことになります。

そこで冒頭の文章にかかってくるのですが、こういうMYST系ADVのような謎解き物のアダルトゲームをずっとやりたかったので、個人的には非常に嬉しかったですね。
私はROOTの『LUNA CAGE』の発売を何年も待ち望んでいたくらいですから、こういう作品はもっともっと増えて欲しいです。

まぁ肝心の謎解きはそれほど凝ったものでもありませんし、それ以上に操作性が悪いですからね。
仮にこれがエロシーンなしの一般PCゲーであれば、おそらく物足りないと言っていたのでしょう。
しかし本作にはエロシーンがありますので、トータルでの満足度は十分なのかなと。

あまり難しくしてもエロに辿り着けないとなりがちですから、どうしてもここのバランスは難しくなりますね。
なお、本作の段階でも難しいと思う人もいるでしょう。
もっと単純にパズルに興味がないって人もいるでしょうし。
そういう人用にムービーだけ見られる機能もついていますので、謎解きが嫌な人でも楽しめるようになっています。
個人的にはきちんとゲーム部分もプレイして欲しいですが、作り手の意思を押し付けるのではなく、どう楽しむのかにつきユーザーに選択権を与えるこういう配慮は好印象ですね。

<評価>

総合では佳作としておきますが、価格を考慮するのであれば良作と言っても構わない気もします。
まぁ、この内容でも、もう少し操作性が良ければ、それでも良作扱いだったでしょうね。
ただ、謎解きそのものはギリギリ及第点なので、エロを求めない人を満足させられるほどではありません。
その点は次回以降の課題として残るでしょうね。

アダルトゲームにもっとゲーム性をという意見は随所で見かけますが、ゲーム性という話になると、何でRPGだのSLGだのと、すぐに異なるジャンルに話が飛んでしまうのかと、いつも疑問に思ってしまいます。
アダルトゲームの大半はADVですが、ADVにだって内部に幾つものジャンルがあり、ADVとしてのゲーム性を備えた物もあります。
ADVから別のジャンルへと極端に走るのではなく、まずADV内部でのADVとしてのゲーム性を高めろと私は思うのですが、現在はゲーム性云々を語る人にも、そういう視点が乏しいのが現状のようです。
まぁ、ADVと言っても実質ノベルゲーだけという状況になってからも、既に15年以上が経っていますからね。
プレイヤーの方にもノベルゲーしか楽しみ方を知らない人が増えているでしょうし、仕方ない面もあるのでしょうけれど。

また、もう出尽くしたなんてことを言い出す人もいますが、本作のような作品はまだまだ少ないですし、まだやれることも一杯あるでしょうに。
私が望んでいるのに形になっていない方向性の作品も幾つもあります。
本作は同人の中でも売上は良いし、世間の評価も高いです。
単に私が望んでいるだけでなく、こういうゲームの需要だってまだまだあるはず。
この路線が増えることは個人的には非常に望ましいので、次回以降も頑張ってもらいたいものです。

ランク:C(佳作)

Last Updated on 2024-11-27 by katan

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