トゥルーハート

1994

『トゥルーハート』は1994年にPC98用として、カクテルソフトから発売されました。

ADVとしては、当時珍しいファンタジー世界の作品であり、通好みな作りの作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

舞台となるのは、リーク王国という架空の国であり、中世ヨーロッパ風の世界観になります。
つまり、よくRPGであるような世界観ですね。
その国の王子であるジェラールが主人公であり、戴冠の儀を控えたジェラールの7日間の奔走を描いた作品でした。

<感想>

ゲームは本来、この世界観やストーリーはこのゲームシステムというように、自動的に決まるわけではありません。
しかし、世界観とシステムの相性というものはあり、どうしても偏ってしまいがちです。
例えば、推理ゲームであればADVとなり、中世ヨーロッパ風ファンタジーならRPGという感じですね。
中世ヨーロッパ風ファンタジーの作品自体は、90年代にたくさんあったのですが、そのほとんどはRPGであり、ADVというのは珍しいように思います。
本作はファンタジー作品でありながら、コマンド選択式のADVであり、その点がまず珍しかったですね。

もっとも、当然ながら、珍しければ良いというものではありません。
本作は、ストーリー自体は平凡でして。
だからストーリーだけにしか興味のない人とかだと、本作をプレイしても楽しめないように思います。

また、本作は目パチや口パクはあるので、その点はがんばっているのですが、可愛いキャラの多いカクテルソフトの作品にしては珍しく、キャラに少し癖があるように感じたわけでして。
その点で、同じカクテルソフトの作品の中でも、印象が薄くなりがちなのかなと思います。

ここまでだと、あまり良いところがないようにも見えますし、実際、初心者には良さが伝わりにくいタイプの作品だと思います。
ただ、この作品、ADVのゲームとしての良し悪しを判断できるような、目の肥えたプレイヤーがプレイすると、いろいろ見るべきところがあるように思うわけでして。

例えば、本作はコマンド選択式のADVなのですが、上手く作ってあるコマンド選択式のADVって、何度も選択することが楽しくなるように作られています。
ここまでなら、いろいろ該当する作品はあるのですが、
問題はその先で、もうそのコマンドは選択する必要がないよとなった場合、プレイヤーにそれが分かった方が確かに便利ではあるのですが、だからと言って単純に色で区分けなんてしたら、興醒めするだけです。
没入感が失われますし、総当たりのただの作業になりかねません。
次はこうすべきなんだよと、プレイヤーをそれとなく誘導するような、そこまでテキストでフォローしている作品って、本当に限られていますし、そこまでできている作品は、本当にコマンド選択式の作り方を熟知しているなと思えます。

本作は、実は、その辺が上手くできているのです。
だから分かる人には分かるというか、通好みな作品なんですよね。
それ以外にも、ちょっとしたところに他と異なる要素があったりして、その全てが良いとは言いきれないのですが、これはどういう意図で設けられたのだろうかと、ゲームデザインに対する問題提起になりうるものなんですよね。
だから初心者とかよりも、ADVに熟知した人の方が、本作をプレイしていろいろ考えさせられるように思うのです。

<評価>

これまでにも何度も記載していると思うのですが、私は完成度より独自性を重視することから、結果として、プレイ本数が多いにもかかわらず、初心者と同じような評価をすることが多いです。
そのため、本作についても、あまり高い評価にはならず、総合でも佳作とします。

ただ、上記のとおり、本作は通好みな作品です。
初心者よりもベテランユーザーの方が楽しめると思いますし、本作を高く評価する人は、コマンド選択式ADVがどういうものなのか、その本質を理解できている人ではないでしょうか。

ランク:C(佳作)


Last Updated on 2024-10-15 by katan

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