『ジーザス2』は1991年にPC88用として、エニックスから発売されました。
80年代のADVを牽引し続けてきたENIXのPC88最後の作品でした。
<前置き>
最初は書く予定がなかったのだけれど、残しておかないと自分が忘れてしまいそうなものですから。
そのため、他人が読むというより、今回は自分向けの側面が大きいです。
ADVにおいて「~の時代」みたいな表現は、大抵は信者による捏造であり、嘘だらけなことが多いので、私は好きではありません。
とはいえ、80年代のADVに関しては、やっぱり20本近くを世に送り出したENIX抜きには語れないように思うのです。
RPGなど、どのジャンルもそうなのですが、最初はゲーム性重視から始まって、次第にストーリー重視であるとか、演出・グラフィック重視に転じていきます。
ADVでもそういう状況が生じたのですが、派手な演出を重視する路線へと転じていった路線の先陣を切った代表作が、エニックスの『ジーザス』(1987)だったのでしょう。
高い技術力でアニメーションを加えながら、すぎやまこういちさんのサウンドで盛り上がりましたからね。
その『ジーザス』の続編が発売されたのは91年。
続編の発売間隔が短かった当時にあって、4年というのは異例です。
しかもPCのゲームもほとんどがPC98などに移行していますし、発売時にして既に時代遅れの感すらあります。
発売が遅れたのには理由もあったようで、どうも内部の対立で前作のシナリオ担当が降板し、結局、別の人がシナリオを担当したのです。
実は、ややこしいのはここからで、新しいシナリオ担当は、元の設定を活かしたまま作りました。
他方で、前作の担当は、ジーザス2用に用意していた当初の案を使い、ビクター音楽産業から『プロンティス』を発売します。
そのため、ほとんど同じストーリーの2つの作品が出来上がったのです。
グラフィック・サウンドなど全体の作りでは『ジーザス2』が上ですが、『プロンティス』の方がわずかに先に発売されましたので、『プロンティス』をプレイしたユーザーからすると、同じようなシナリオのゲームをまたやるはめになったわけでして。
ENIXは、ドラクエでRPG界の雄のような存在になっていましたから、もうADVには興味なかったのかもしれませんし、こけても大したダメージはないのかもしれません。
だからメーカーよりユーザーのダメージの方が大きかったように思いますが、いずれにしろENIXのADVという1つの時代が、予想外の結末を迎えてしまったということです。
<概要>
あらすじはWIKIより引用させてもらいます。
「前作の事件から4年後、地球の地中海からストーリーは始まる。
事件は政府による巧妙なマスコミ操作により事故と報じられ、エイリアン(ハレー彗星からのモンスター)侵入の事実は伏せられていた。
前作でコメット号から切り離されていたコンテナが地球に落下し、落下地点近くを何故か航行していた客船カリスト号はコンテナを引き上げたが、船員エンドール・イアルテは不審なものを感じていた。
同じ船に主人公・五色和也は親友の佐伯真治と共に、モナコで開催予定のビーグル3WDのレースに出場する為に乗船していた、コンテナ落下の衝撃で気絶し、目覚めた彼がデッキに行くと、船員が突然死しているのを発見する。
主人公達はやがてエイリアンを巡る巨大な陰謀に巻き込まれていく。」
<感想>
SF作品としては前作よりもSFっぽかったので、そこは良かったと思うのですが、やっぱり全体的な印象がね。
グラフィックやサウンドもPC88としては最上級でしたが、少し出るのが遅すぎって感じでしたし。
まぁ、画質の面では物足りなさも出てきてはいますが、背景が動いたり芸は細かいんですよね。
そういう意味では私好みではあったのですけれど。
ADVから一般の大手が去ってアダルトゲーム中心になって、こういう部分は退化してしまいましたからね。
また前作は演出重視になったとは言え、それは一番の特徴が演出にあったというだけで、ゲーム性も結構工夫が凝らされていたわけでして。
今作はコマンド選択式のADVという字面上の表記こそ同じなものの、本当に演出だけの悪い意味での演出重視作品になってしまい、ゲームとしての面白みが減ってしまいました。
<評価>
総合では佳作としておきます。
ストレスなくサクサク進みますし、決して悪い作品ではないのですが、発売時期も相まって存在自体が地味な印象になってしまった作品でしたね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-08-23 by katan
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