羊たちの憂鬱 ~コンクリートに映る影~

2002

『羊たちの憂鬱 ~コンクリートに映る影~』は2002年にWIN用として、フェアリーテールから発売されました。

M向けなどマニアックな要素が盛り込まれた、独特な雰囲気の作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「ホント、今日の裕人は最高!
女の子みたいによがっちゃって。」
どうして夏来は、こんなコトするんだろう…?
どうしてボクは、夏来の言うとおりにするんだろう…
主人公の裕人は、幼なじみである夏来に性的虐待されていた。
かつて純真だった夏来を拒絶できないものの、‘虐待’から逃れたい裕人はクラスメイトの由美とつきあい始める…。
4人の羊たちの歪んだ青春を描く『羊たちの憂鬱 コンクリートに映る影』。
主人公の出した一つの答えとは?

<感想>

主人公に幼馴染がいて・・・ってのは、エロゲではよくあるシチュだと思います。
ただ、本作が他とは異なるのは、ヒロインは病的なまでにSな傾向があり、主人公はヒロインに性的な虐待を受けているということです。

というわけで、本作は、M向けのゲームといえ、それがベースにあることは間違いないのでしょう。
今でこそM向けゲーも増えてきましたが、当時はまだ特化作品は少なかったです。
特化作品があったとしても、90年代までは、主人公がSという作品の方が多かったですからね。
主人公がMという作品は少なかったので、この作品でM向けゲーに出合い、それではまったという人もいたのではないでしょうか。

また、本作は、単にM向けというだけではありません。
三角関係というか、人間関係もいろいろこじれますし、男同士というシチュもあります。
つまり、人によっては強烈な印象を与えるけれど、好き嫌いも分かれそうな要素が、幾つも含まれているのです。
凄く偏ってはいるけれど、ある意味では青春でもあり、それを水彩風の独特の絵柄で表現することにより、ゲーム全体としても、独特な雰囲気に仕上がっています。

さて、ここまで書くと、何だか面白そうに思えます。
確かに、この設定でしっかり作り込めば、かなり面白い作品になっていたかもしれません。
ヒロインらが良い味を出しているだけに、いくらでも面白くなりえたと思います。
ただ、じゃあ面白かったのかとなると、必ずしもそうとも言い切れない部分がありまして。
というのも、全体的に薄味でテンポが悪いように感じるのです。
ライターは、かつては良い作品も作っていたし、本作も含め、短時間でも良いキャラを作りあげるのだけれど、学園ものの日常シーンについては、ちょっと向いていなかったのかなと。
或いは、一本道にして、ロープライスで出していれば、高い評価を得ていたかもしれません。
当時はフルプライスの作品ばかりということもあり、それに合わせて無理やりボリュームを増し、それで間延びした感じでもあるからです。
いずれにしろ、妙に味のある作品というのは、おそらく皆感じるのでしょうが、それだけに余計にも惜しい作品でした。

なお、他の要素としては、本作には音声がありません。
2002年となると、音声付きの作品も増えていますので、その点で物足りなさを感じた人もいるかもしれませんね。
特にフェアリーテールの過去作には音声が付いているわけですから、余計にもものたりなく感じます。
また、本作における水彩風の塗りのCGは、独特な雰囲気があることは間違いないのですが、グラフィック全体が良いかとなると、少し違うようにも思うわけでして。
本作を中小ブランドが出したのであれば、粗削りだけど光るところもある作品として納得しやすいのですが、全体的にフェアリーテールらしさは感じられない作品かもしれませんね。

<評価>

総合では佳作としておきます。

知らずに買ったら男同士のシーンがあったぞ、ふざけんなよって人もいると思いますので、おそらくプレイした人の平均点は伸びにくい作品だと思います。
つまり好き嫌いの分かれやすい作品ってことですね。
個人的には、いろいろ惜しいなというか、勿体ない作品だなという印象ですが、他方で、妙な味わいのある作品であることは間違いなく、そこが刺さる人も一定数いるでしょう。
本作に関しては平均点みたいなもので判断するのではなく、その特徴から自分に合っているか判断した方が良いでしょう。
M向けの作品が好きで、なおかつ、いろいろ濃い要素が混ざったのが好きならば、プレイしてみても良いかもしれませんね。

ランク:C(佳作)


DL版

Last Updated on 2025-04-29 by katan

コメント

タイトルとURLをコピーしました