家出した俺の娘が公衆トイレで神様を募集しているらしい!?

2015

『家出した俺の娘が公衆トイレで神様を募集しているらしい!?』は、2015年にWIN用として、劇団近未来から発売されました。

新しくも懐かしいような、そんな魅力の詰まった作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはマップ選択式ADVになります。

あらすじ・・・
トイレ援交を楽しむダメサラリーマンの才遠は、約15年振りにかかってきた元妻からの電話で、自分の娘が家出したことを知る。
娘とも15年近く会ったことはなく、すっかり顔も思い出せなくなっていたのだが、最近トイレで援交をした少女が自分の娘のように思えてならない。
「だとしたら俺は、実の娘とセックスしたことになっちまう――」
とにかく少女ともう一度会おうとするが、一期一会が基本のトイレ援交。
少女との再会は、予想以上に困難を極めて……。果たして少女との再会は叶うのか――?

<感想>

何となく、90年代前半のアダルトゲームを連想したのは、私だけなのでしょうか。

本作の主人公は妻に見限られたにもかかわらず、いまだに娘くらいの年齢の女の子との援交を楽しむという、非常に駄目駄目なオッサンです。
そしていつものように援交をしていると、その女の子の名前が娘と同じハナコと知ります。
ここまでなら単なる偶然の一致で終わるのですが、別れた後、連絡が途絶えてから15年近く経った元妻から、久しぶりに電話がかかってきます。
そして、娘のハナコが家出していると知らされます。
はたして、あのHしてしまったハナコは自分の娘なのだろうか。
そうなると自分は近親相姦をしてしまったのだろうかと、背徳感を抱きながらも主人公はハナコを探すことになります。

本作はエロの比重が高い作品であり、人によっては抜きゲーと感じる人もいるかもしれません。
まぁ、基本的にはその様な認識でも良いのでしょう。
それでいてちょっとしたミステリー風というか、ゲーム序盤にハナコ探しという目的が提示されますので、序盤から核となるストーリーを意識することができます。

いわゆるシナリオゲーとかでも、これは特に学園を舞台にした作品に多いのですが、近年は本題に入るまでが長い作品が多いです。
ゼロ年代以降は特にそうで、目的もハッキリしないままに何時間も日常シーンを繰り返すのは、個人的には無駄でしかないと思うのですけどね。
90年代のPC98時代までのアダルトゲームの場合、序盤に目的がハッキリしますので、続きはどうなるのだろうと気になり、プレイ意欲が沸いてくるのです。
つまりシナリオゲーと言われつつも、物語における「起」の部分が失敗していると思える作品が多い中で、本作は端的に方向性を示しているわけで、これは好印象と言えます。

本作は低価格商品だし、小粒な作品なんでね。
またエロも多いことから、凄く読み応えのあるストーリーが用意されているというわけではありません。
だからストーリーにしか興味がない人がストーリー目当てにプレイしたら、少し肩すかし気味に感じるように思います。
もっとも、シナリオゲーだからエロ不要であるとか、抜きゲーだからストーリー性は不要というのは極端であり、エロの多い作品にだってストーリー性を求めても良いでしょうに。
本作は短いながらにもストーリーが二転三転し、ラストまで「意外性」を保ちながらも楽しませてくれます。

この飽きさせずに楽しませるという点に関しては、ストーリー以外の部分も影響しているのでしょう。
本作はマップ上から移動先を選ぶタイプのADVであり、移動した先ではキャラとの会話により選択肢を選ぶことになります。
最初に移動できる範囲は狭いのだけれど、いろいろ情報を得ていくことで行動可能範囲も広がります。
ゲームとしては特に目新しいシステムがあるわけでもないし、単純にゲーム性が高いというわけでもありません。
しかし、RPGのような行動範囲の広がっていく楽しみと、ストーリーが進行していく過程がリンクすることで楽しさが増すわけで、本作のシステムは直接的にゲーム性を増していないにしても、間接的にストーリーの面白さを増すことには貢献しているのでしょう。
こういうストーリー性を補強するという意味でのゲームデザインも、90年代前半のアダルトゲームらしさを連想させます。

それとこれは、厳密にはもう少し前になるのでしょうが、本作に登場する女の子は援交している子ばかりということで、出会う度にHをすることになります。
出会った女の子とHしながら局面を打開していくという流れは、80年代から90年代初めにかけて良く見かけられた流れだなと思いました。

核となるストーリーや目的意識だけでなく、そこにちょっとしたゲーム性や随所に挿入されるエロによって、最初から最後までだれずに一気に楽しむことができたのでしょう。
こうした構造から90年代前半のアダルトゲームを連想し、それで懐かしいような気持にもなったわけですね。

もっとも、だからと言って本作は、決して古臭い作品というわけではありません。
私は援交とかに沿革に詳しくはないのですが、サポ待ち女子という女の子らが登場し、物語自体は極めて現代的です。
出会う度にHしまくるという昔のエロゲ的展開は、相手が普通の女子高生の場合には、どうしても違和感が残ったものです。
しかし、本作のようなサポ待ち女子が中心となることで、かつてのような違和感はなくなりました。
昔からあったゲーム構造を現代的にアレンジすることで、そこに新鮮さを感じさせつつ従来の違和感も解消したわけで、まさに温故知新というか、端的に上手いなと思ったものです。

<評価>

キャラも個性の全然違うヒロインらが上手く立っていますし、もちろんエロも十分ですし、そこに上述した点も加味され、様々な要素がコンパクトに上手く纏まっていたなと。

私自身は辛口のつもりはなく、むしろ甘い方だとすら思うのだけれど、大作と呼ばれる作品でもいろいろ今は偏っていまして。
それで良作に届かない作品も多いのですが、本作は小粒なのだけれど、ミニマムの、本当に最小限のところで、自分の中の基準を全て満たしていったような作品でした。
ある意味、お手本のような作品とも言えますね。

名作と評するほどに明確な特徴はないのですが、それでもトータルとしては個性的な作品と言えますので、総合でも良作とします。
小粒ではあるものの個人的にはかなり気に入った作品でしたね。

ランク:B-(良作)


家出した俺の娘が公衆トイレで神様を募集しているらしい dl

Last Updated on 2024-09-23 by katan

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