『サノバウィッチ』は2015年にWIN用として、ゆずソフトから発売されました。
お気に入りボイスを含め、キャラだけでなくシステムも充実した作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
保科柊史は、とある秘密を抱えていた。
それは『他人の気持ちを感じ取れる』という不思議な力を持っているということ。
彼のクラスメイト・綾地寧々。彼女もまた、誰にも言えない秘密を抱えていた。
それは『自分の意思に関係なく発情してしまう』ということ。
2人はただのクラスメイトでしかないはずだった。
だがある日、柊史は不慮の事故から衝撃的なシーンを見てしまう。
彼が見てしまったものはなんと、発情した寧々のオナニーシーン!
そんなショッキングな事件を経て、2人の距離は急接近。
互いの秘密を共有する仲になり、彼は知る。
寧々が発情してしまう理由と、『魔女』と呼ばれる存在を――
時と場合を無視して発情する寧々に、密かに行われる『魔女』の活動。
それらに引き寄せられるように集まる、後輩・先輩・転入生。
静かだった日常は慌ただしいものへと変化して、柊史に淡い期待を抱かせる。
「ここから何かが始まるのかもしれない」
<感想>
本作は、いわゆる萌え系の作品になるのだろうけれど、萌え系はあまり記事として扱うことがありません。
キャラへの思い入れとかを書く人が多いのかなと思うけれど、自分はそういうのを書く気がおきないものですから。
萌えても、自分の心の中にだけ、そっとしまっておくタイプですしw
そのため、何かしら書きたいことがある場合にだけ扱うって感じです。
さて、ゆずソフトと言えば、こぶいち&むりりんの原画が第一なのでしょう。
両名の絵は元々は大好きだったのですが、最初は陵辱系のエロエロの作品を作っていたのに、ゆずソフトになって萌えゲーになり、エロさが弱くなりました。
また、当初より原画が少し微妙に感じたことから、次第にあまり興味がなくなってきていたのです。
だからゆずソフトの新作というだけでは興味が沸かなかったのでしょうが、今作はキャラが可愛く見えて、それで興味を抱いたのです。
その点が、これまでのゆずソフトの作品との、主観面における違いになります。
本作は演出やシステム面が非常に充実しており、業界でもトップクラスにあるでしょう。
可愛い原画が細かく動くことでキャラの魅力が更に増し、快適なシステム周りでストレスなく楽しめるわけで、人気の拡大していくブランドは、この辺もぬかりがないです。
システムに関しては、お気に入りボイスがあります。
これはキャラのセリフで気に入ったものと登録できる機能です。
今回、記事を書く気になったのは、この機能があったからなんですね。
お気に入りボイスは、女性向け作品をプレイする人は分かると思いますが、女性向けノベルでは完全に標準とまではいかないものの、何年も前から搭載した作品が幾つもあります。
したがって、少なくとも現在の女性向け作品の世界では、搭載したからと言って新しいとは思われないでしょう。
しかし、男性向け作品では非常に珍しい機能であり、ユーザーに新鮮なものとして受け取られることもあるようでして。
お気に入りボイス自体は、良いシステムだと思います。
本作は女性向け作品の良いところを取り入れたわけで、こういう他所の良いところは素直に取り入れ改善していく姿勢も、とても良いことだと思います。
だからゆずソフトの制作姿勢自体には好感が持てます。
ただ、長くゲームをやっていたことによる偏見みたいなものから、複雑な気持ちにもなるわけでして。
90年代までは、そもそも女性向け作品がほとんどありませんでした。
ゼロ年代前半になって、BLや乙女といった女性向けノベルが出てきましたが、システム周りは同人に毛が生えた程度の作品も多く、男性向けノベルの標準よりも格段に劣っていた作品が大半でした。
ノベルゲーは完成したのだ、もう発展の余地はないなどと、愚かな戯言を繰り広げるユーザーの存在の上に胡坐でもかいていたのか、男性向けノベルの進化は少しずつしか進みませんでした。
その一方で、女性向けノベルのシステムは、男性向けに追いつけ追い越せと言わんばかりに進化していき、男性向けにはないような機能や発展もしていきました。
お気に入りボイスなんてのも、その代表例と呼べるのでしょう。
お気に入りボイスが新しいと感じられること自体、女性向けゲームのユーザーからすれば失笑ものでしょうに。
かつては真似られるだけであった男性向けノベルは、いつの間にか真似ていく立場へと、即ち追われる側から追う側へと変化していったのです。
アダルトゲームがかつてはオタク市場の先端だったという意見に対しては、ここでは深入りしませんが、オッサンの思い出補正にすぎないのであり、私は結論から言うと当該意見には賛成できません。
しかしそれでも、ノベルゲームという一分野においては、一時は最先端にいたと思うのですけどね。
ところが今は、男性向けアダルトゲームの専売特許のようなノベルでさえ、必ずしも先端ではないのだということなのです。
まぁ、いろんなところで切磋琢磨して、それぞれの良いところを吸収し、それでゲームが面白くなるのであれば、ユーザーにはプラスにこそなれマイナスにはなりませんし、本来は良いことなのでしょう。
ただ、昔を知っていると何だか寂しくも感じてしまうということですね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-09-21 by katan