『星の丘学園物語 学園祭』は1998年にPS用として、メディアワークスから発売されました。
短期集中型恋愛SLGとして、完成度の高いゲームでしたね。
<感想>
本作が発売された当時は、恋愛を扱った育成SLG、いわゆる恋愛SLGは山ほどありましたからね。
大した特徴のないもので出来の良いのは良作、出来の悪いのは凡作で大まかにくくって考えがちです。
『星の丘学園物語』も出来は良いのですが、ゲームシステム自体には、育成SLG+ADVという中間的な構造を有してはいるものの、特別変わっている特徴まではないのでしょう。
そのため、通常の私ならば無難に纏めた良作の一言で終わるのですが、何にでも例外はあるものです。
中身を見てみますと、舞台はタイトル通り学園祭です。
というか、その前の準備期間ですね。
主人公は転校生で、学園祭を成功させるべく、さまざまな部活の手伝いをしながら、ヒロインたちとの交流を重ねていくというものです。
単なる恋愛ものなら、ベタすぎて新鮮さがありません。
そこに学園祭というワンクッションを挟むことで、新鮮な感覚が生まれました。
もっとも、他の要素をいれるにしても、その数が多すぎるとかえって内容が薄れるし、焦点がぼやけてしまいます。
長い学園生活のなかでも学園祭という、一番盛り上がりうる短期間に照準を絞ったことは大成功でしたね。
テキストによるストーリーらしいストーリーはないはずなのに、プレイによって学園祭を成功させようという感覚が、はっきりと伝わってきました。
学園祭は誰しも盛り上がったものだと思いますが、男子校や女子高の方ですと、共学で男女が一緒にというシチュエーションは憧れですよね。
また、ゲーム部分はオーソドックスでしたが難易度が低めでしたので、何回もプレイして全キャラクリアをしようという気になれました。
とはいえ、ゲーム部分とストーリー部分だけなら、やっぱり良作止まりだったでしょうね。
本作はそれに加えて、グラフィックが綺麗だったんです。
それと、攻略対象のヒロインが、非常に多かったです。
メインだけでも10人いますし、サブを加えるとその倍近くになります。
キャラデザが好みなこともあって、当然好きなキャラも一杯出てきます。
ヒロインが4・5人程度なら良作止まりだったんでしょうが、これはもう物量で押し切られた感じですね。
それでいて、学園祭ということで統一感も保っているわけですからね。
これはもう、名作と言うしかないでしょう。
オリジナリティ重視の私ですら名作と感じるくらいですので、完成度重視の人なら、より高く評価するでしょうね。
ギャルゲーと呼ばれるジャンルは、当初は育成SLGがほとんどでしたが、次第にADVとの混合形態に移っていき、しまいにはノベル系のADVがほとんどという状況になっていきます。
本作は複合的な気もしますが、一応育成SLGでの後期の作品になるでしょう。
完成度の高い良質な恋愛SLGはこれ以後ではほとんどないわけで、そういう意味では今でもプレイする意義のある作品かもしれませんね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-12-22 by katan
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