『神戸恋愛物語』は1989年にPC-88用として、ザインソフトから発売されました。
足りない部分も多かったかもしれませんが、当時まだ珍しい恋愛ものであり、雰囲気は良い作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
常人の理解を超えるleafの超先生のテキストの代名詞として、感感俺俺という言葉があります。
しかし、今振り返ってみると、超先生なんてまだまだ可愛いものです。
80年代に結構多くのゲームを出していたザインソフト。
制作されたゲームの多くはRPGでした。
当時のRPGなんて、ろくにストーリーなんてなかった作品も多いです。
そのため、ストーリーやテキストに注目がいかないことも多かったのですが、そのあまりに個性的過ぎる表現ゆえに、ゲーム性以上にテキストが注目されたブランドでもありました。
<感想>
そのザインソフトが作ったADV。
うん、それだけで凄そうな雰囲気が漂っています。
誤字脱字…そんなものを気にしては駄目です。
文法?…そんなものも気にしては駄目です。
考えたら負けです。
考えるのじゃなく感じるのです。
常識に囚われてはいけません。
これは新種の文学なのです。
幸いにも、ジャンルはコマンド選択式の恋愛ADV。
社会人主人公の恋愛ものなんて、当時は当然として今ですらあまりありません。
ゲームも比較的サクサク進むのでストレスもたまりません。
グラフィックは神戸の街を実写取り込みで描いており、地元の人はニヤリとできるだろうし、そうでない人も神戸のお洒落な感じを楽しむことができます。
パッケージからして、他にはない雰囲気を醸し出していて、良い感じですしね。
つまり壊滅的なものはテキストの表現だけで、他はわりと新鮮さや個性を持った作品でもあったことから、雰囲気に身を任せてしまえば結構新鮮な感覚で楽しめるのですよ。
ベクトル的には、一応私好みとも言えるんでしょうね。
そのとても新鮮な雰囲気の下、理解不能で個性的なテキストを堪能する。
それが正しいのです。
またありがたいことに、ボリュームも少なめでした。
危なかったですね?
今風に10時間以上のゲームだったら、己の日本語に自信がなくなっていくところでした。
<評価>
何とも不思議な作品でしたね。
本作に対し、粗を探して低い点を付けるのは簡単なのですが、逆に何年経っても記憶に残るというのは、ある意味とても凄いことです。
ザインの作った実写ゲーなんて、存在だけでも希少価値があります。
その存在感を最大限に評価して、一応佳作ととしておきたいと思います。
ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2024-06-18 by katan
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