『できない私が、くり返す。』は2014年にWIN用として、あかべぇそふとすりぃから発売されました。
タイムリープを扱った作品であり、中島大河さんがシナリオを手掛けた最初の作品ということで、プレイしてみた作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・――これが『時を巻き戻す時計』
言葉のとおり、いくらでも同じ時間を巻き戻し、くり返すことができる。
難しい言葉を使うと、時間跳躍……タイム・リープかな。
今の記憶を持ったままで、過去に戻ることができるんだ。しかも、なんのリスクもないまま、ね。
……でもね、いくら過去に戻れても、意味はないんだ。
だって、過去で何をしたところで、未来が変えられるわけじゃないんだから。
少なくとも私はそうだったし、私の前にこれを持っていた人も、そうだって言ってた。
確定した未来は変わらない。そのことだけは覚えておいて。
たとえば、近い将来に死ぬ人は、どんな大手術をしても必ず死んじゃう、とかね。
それを理解した上で、この時計をどう使うのかは、キミの自由だよ。
それでも変えようとしたら、どうなるかって?
……変えたいと思うその心意気は、個人的に好きだよ。
そもそも、私も最初はそうだったしね。
まあ、満足するまで挑戦してみればいいんじゃないかな。
そのうち、ちょっとは変わるかも――なんて、ありえないと思うけどね。
<感想>
発売当初はスルーしていた作品でした。
ただ、その後の中島大河さんの作品をプレイして面白かったので、それなら最初の作品から順にプレイしてみようと思ったわけです。
キャラデザも好みですし、OPも良くて、序盤はわりと良い感じで進みます。
ただ、これ、ゼロ年代前半のシナリオゲーみたいな作品なんですね。
どういうことかというと、サブヒロインのルートを全部クリアして、ようやくメインのルートに入ることができるのです。
こういう構造の作品って、すべてのルートを強制されるわけですから、当然のことながら、すべてのルートが良くないと満足できません。
しかし本作の場合、メインヒロインのルートに比べて、サブヒロインのルートが弱いわけでして。
途中でだれる展開もあるうえに、サブのストーリーが弱いとなると、どうしても途中の満足度が下がってしまいます。
ましてや、本作はタイムリープを扱った作品です。
タイムリープを扱うのであれば、核となるメインストーリーをしっかりと中心に据えて、そこから派生していく形にした方が良かったでしょうに。
タイムリープという扱う題材と、ゲームデザインの組み合わせが悪く、どういう意図で制作したのか疑問に思ってしまいます。
これであれば、サブヒロインのルートはすべて削って、メインヒロインの詩乃のストーリーだけにした方が、ずっと面白い作品になっていたのではないでしょうか。
内容面については、タイムリープとなると、過去をかえることで未来もかわるというのが通常です。
本作は、そこに異議を唱え、未来はかわらないという、新しい方向性に挑んだ作品であります。
その新しいことに挑もうとする姿勢自体は個人的には好きなのですが、残念ながら、やりたいことが上手く表現できていなかったのかなと。
このライターの作品の多くに言えることなのでしょうが、着目点は良いのだけれど、それを実現する能力が少し足りていなかったと、個人的にはそのように感じてしまいました。
<感想>
部分的に良い場面とかありますので、単純にストーリー目的の人であれば、良作相当なのでしょう。
ただし、タイムリープという点にこだわりのある人だと、佳作相当にまで下がってくると思われます。
更に、単純にストーリーだけに注目するのではなく総合的にみる場合、特にゲームデザインにも注目するような人だと、凡作相当にまで下がってしまうように思います。
私は一番最後に該当しますので、本作の評価としては凡作とします。
良い部分もあっただけに、いろいろ勿体ない作品でした。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-10-22 by katan