『ノラと皇女と野良猫ハート2』は2017年にWIN用として、HARUKAZEから発売されました。
前作と全然違っていて、今作は大分面白くなりましたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
ノラがネコになるという事実が発覚してから、数週間。
桜ヶ淵に夏が来た。
海の家のアルバイトでがっつり稼ごうとするノラやその仲間たち。
ところが突然、辺りが雪の世界に包まれる。
その元凶は、冥界からやって来たとある少女。
パトリシアに対抗心を燃やす彼女は、忘れさられた氷の国からやってきた皇女・アイリスだった。
アイリスは得意の魔法でノラたちの学園を氷漬けにしてしまう。
果たしてノラたちは一体どうなってしまうのか。
<感想>
本作は、前作の共通ルートの続きから始まるアナザーストーリーになります。
基本的にギャグ系の作品なので、仮に前作を知らなくても楽しめるといえば楽しめるのですが、前作をやっておいた方がキャラへの愛着は深まるでしょうね。
少なくとも、前作の体験版とかやって、各キャラの設定くらいは把握しておいた方が良いのかなと思います。
さて、私は前作に対して、演出等を評価し一応佳作とはしていたものの、ハッキリ言うと、主観的には全然楽しめませんでした。
邪魔でしかないナレーションや括弧書きの説明は、私には苦痛でしかありませんでしたからね。
私個人の主観を除いて考えるとしても、ノベルゲーであることを否定するかのようなあの構造は、絵と音との相乗効果から成るノベルゲーとしては、まったくもってダメだといえます。
だからまぁ、続編である本作に対しても、最初は全く眼中にありませんでした。
しかし、ある時、ふと体験版をやってみたんですね。
そしたら、上記の前作の欠点が、なくなっているのです。
ギャグ自体は前作も楽しめるものでしたし、演出も良くテンポも良い作品でしたから、欠点さえなくなれば普通に面白いのですよ。
それで本作にも、手を出す気になったというわけですね。
まぁ、体験版部分だけ良くて、その後に変なものが混ざり込んでくる心配はあったのですが、その心配は杞憂に終わりました。
ギャグ部分は最後まで面白かったです。
個性的で楽しいキャラばかりなので、好きなキャラも多いところ、その中でも個人的には、ユウラシアとノブチナが好きでしたね。
特にユウラシア。
あの斜めに傾いている立ち絵と、呂律が回っていないかのように下手にも見えそうな声が、妙にツボにはまりまして。
なんかもう、凄く気に入りました。
ストーリーは、ルートによって結構格差がありました。
上記のとおり、ユウラシアはキャラとしては大好きだし、サブキャラの時は最高に良い味を出しているのですが、本人が中心になると、かえってくどく感じてしまうし、個別ルートもストーリーは悪かったので、ちょっと残念でした。
逆にノブチナルートとかは楽しめましたが、これもちょっと注意は必要ですね。
つまり、例えば抜きゲーだと思ったら、思いのほかストーリーが良かった的な感じで、ハイテンションなギャグゲーだと思ったら、予想外にストーリーも普通に楽しめるってものなんですね。
だから、ストーリーが良いと聞いて、ストーリーだけを期待して手を出すと、なんかわりとありがちじゃねと、物足りなく感じてしまう可能性は高いです。
また、接見時の描写とか、かなり適当ですから、リアリティを気にする人とかも向いていないです。
さらに、ノブチナルートは良いとしても、それはノブチナの物語であって、主人公の活躍がそんなでもないので、主人公という観点を大事にする人も、いまいちしっくりこないかもしれませんね。
あと、前作の後日談的なものもありますが、かなり短いです。
前作の大ファンで、前作ヒロインが好きで、それが目当ての人だと、扱いの小ささに不満を抱いてしまうかもしれません。
総じて、ストーリーは、一部良いルートはあるけれど、全体の完成度は低いと言わざるをえないのでしょう。
もっとも、書き出すと足りない点が目立ちますが、キャラの魅力、テキストのテンポの良さに、演出の良さも加わりますので、勢いで最後まで一気に楽しめる作品であり、その点においては、近年の作品の中でもトップクラスと言えるように思います。
ちなみに、本作には、一部でミニゲームもあります。
ミニゲームの出来自体はともかくとして、レースで走っている最中に会話が流れているのは、なんか楽しくて良かったです。
私、こういう要素は大好きなので、もっと取り入れてほしいですね。
<評価>
完成度が必ずしも高くないこと、続編でありつつ完結編でもないという、若干のマイナス要素もありますが、それを含めてもギリギリ名作と言えるのでしょう。
理屈抜きに、ただ単純に楽しかったです。
2017年を代表する作品の一つと言えるでしょうね。
はと作品は、実は同人時代から幾つもやっていて、光るものもあると思いつつも、いつも何かしら障害となる大きなマイナスがあり、トータルでは楽しみ切れない作品ばかりでした。
そういう意味では、今回は大きなマイナス要素がなくなり、初めて心から楽しめたように思います。
この水準を保てるのであれば、今後にも期待できますし、次回作も楽しみになってきますね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-08-14 by katan
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