逆王道

2013

『逆王道』は2013年にWIN用として、つるみくから発売されました。

学園王道ものを、つるみくが作ったらこうなった。
端的に言えば、そういう作品。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

毎朝起こしに来る幼馴染に、パンをくわえながら曲がり角で衝突する転校生。
普通ならそこから学園王道ものエロゲが始まるのだけれど、つるみくの場合は陵辱・調教が始まってしまうと。

なお、本作の主人公は『姦白宣言』の主人公の息子になります。
ストーリー的にはプレイしていなくても全く支障はないのだけれど、『姦白宣言』をプレイしていると思い入れが少し異なってくるのかなと。

<感想>

死んだと思っていた父親から電話がかかってきて、雌奴隷の商品を作るべく学園牧場化計画をやらされることに・・・ってのが、大雑把なあらすじになります。

基本的な流れは普通の学園恋愛ものと似たようなもので、朝は幼馴染が起こしに来たり、転校生がパンをくわえながらぶつかってきたりするわけですね。
そして各ヒロインと出会い、少しずつ仲良くなっていって、普通なら恋愛に発展するという段階になったところで、作戦発動により陵辱・調教となってしまいます。

それ以外には特に奇をてらった作品でもないですし、シチュとしては輪姦とかもあるのですが、つるみくとして考えるならば、むしろぬるい方と言えるでしょう。
また、過去作にあった閉じ込めてからの調教パートのようなものもなく、いつものつるみくの作品のファンでいつもと同じようなものを望むのであれば、今回は少し物足りなく感じてしまうかもしれません。

ただ、個人的には、プレイしていて、あぁ~これだよ~と思ったものでした。
つまりね、ちょっとここで質問ですが、近年の陵辱ゲーは進化したという人と、逆に衰退したという人の両方を見かけることがあります。
じゃあ、どっちが正しいのでしょうか。

私は、どっちも正解なのだと思います。
単にどこを見ているかの違いだけであって。
エロボイスやグラフィックの差分の量などは、確実に進化し増えていっています。
シチュもマニアックなものが増えていきましたしね。
だから「場面」で考える人には進化しているように見えると思います。

しかし逆に、個人的にはこれが、現在の陵辱ゲーが単に抜きゲーとしか思われない要因でもあると思うのですが、ストーリーであるとかキャラの作り込みという点に関しては、以前より手抜きになりどんどん弱くなっているように思います。
つまり「場面」でなく一連の「流れ」で考える、特別なシチュではなく、思い入れの沸いたキャラを陵辱することに喜びを見出す人には、近年の陵辱ゲーは衰退して見えるってわけですね。

私も後者の側に属します。
いくらシチュだけ過激になっても、出てきて即犯られるだけでは、屠殺場の豚と変わらないよって思ってしまうのです。
シチュが増えた過激になったと言っても、豚の処理方法が増えたにすぎず、そこに何の感慨もわきません。

本作は、確かに過激なシチュは存在しません。
「場面」を重視する今の陵辱ゲーの多数派とは異なるのでしょう。
しかしながら一年という長い期間をかけて、普通の学園恋愛ものに近いキャラ立てを行うことで、相対的に今の他の陵辱ゲーより対象への思い入れができました。
陵辱ゲーは低価格商品が主流になっていますので、当然プレイ時間も短いものが多いです。
そのため出てきてすぐ陵辱みたいに、並のキャラ立てすらできていないのも多いですしね。
これだけでも大分違うのです。
また期間が物語内で一年なので、性急に無理に動いているのではなく、計画を練りじわじわと罠にかけている感じがする点も良好でした。

まぁ、私が本作の雰囲気にマッチしたというのも大きいですけどね。
やたらハイテンションな友人らがパロネタ漫才をぶちかますような、近年の学園もののノリはあまり好きではないもので。
本作くらいに少し落ち着いた方が、そしてくどすぎずにテンポ良く先へと進める方が、個人的にも好みなのです。

加えて、EDも期待されるものは一通りあると思います。
ハーレムルートに、各ヒロインとのハッピーエンド。
逆に各ヒロインを商品として差し出した場合のハードなエンドと。

<グラフィック>

キャラデザはいつも通りですね。
個人的にはかなり好きな絵柄です。

つるみく作品としては、本作からワイド画面になりました。
また本作はスカトロシーンやフィストファックなど、過激なシーンを見ないように設定することもできます。

陵辱ゲーで過激なシーンを飛ばしてどうするんだよと思ってしまうので、こういう機能は普段は全く使用しないのですけどね。
断面プレビューの非表示だけは、ありがたかったです。
いや、ようやくヒロインを脱がせたのに、せっかくの裸をわけのわからん断面図で隠してどうするんだよと思ってしまいますから。
同人とかでは断面図を入れた作品が多いように見えますが、あれって今流行ってんのかな?
個人的には入れるなとは言わないから、非表示機能とか、或いは画面端に演出として見せる程度にして欲しいものです。
こっちは女体が見たいのであって、断面図が見たいわけではないのですから。

それと、全裸立ち絵好きとしては、オマケで立ち絵、表情、背景を選択できる機能は嬉しかったです。
こういうのこそ、早く全ゲームで標準化して欲しいのですけどね。

<評価>

変わった設定に激しいシチュを求めるつるみくの従来のファンからは、賛否が分かれても仕方ないのかなとも思います。
従来の方向性を好む人に批判されるのも納得できますし、この路線としても、まだまだやれることはあるだろうと、物足りなさが残ることも確かです。
特にストーリー展開に関しては、ここをこうした方がというのが幾つかありますし。
しかし学園もので、きちんとキャラを描いて陵辱する作品を、こういうのを待っていたという人もいると思うわけでして。
本作はそういう人に向けた作品であり、少し甘いかなとは思いますが、最近は案外こういうのもないよなということ、及び素直に楽しめたということで、ギリギリ良作としておきます。

ランク:B-(良作)


逆王道
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Last Updated on 2024-11-05 by katan

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