『さくら、咲きました。』は2012年にWIN用として、SORAHANEから発売されました。
『AQUA』に続く、ブランド第2弾になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
『臨時ニュースをお伝えします。今日も桜が満開でしょう――』
テレビから流れる、いつもと変わらないニュース。春という名前の時間が、今日も流れていた。
「さーくん。部活、なくなっちゃったんだっけ?」
昨日、2238年度の始業式と入学式が行われた。そして、部活始業の日でもあった。
「なんかよくわかんねーけど……廃部になってた」
田舎町の学校の水泳部だからって、あんまりな扱いだ。
「だったら、生活部に入らない?楽しいよ!」
つばめの表情は、この時を待ってました!と、いわんばかりの笑顔だった。
「めーは、いつも生活部のことを話するけどさ。一体、どんな部活なんだ?」
「うーんと、簡単に説明すると……生きる活力を探求する、楽しい部のことだよ!」
まったく訳がわからなかった。
「わたしたちってさ、トコシエだよね。だから、とことん楽しく生きなきゃダメなんだよ」
老化のない世界、トコシエの世界。永久にこの命が続くんだから、それはきっと……
「楽しくかぁ、そうかもしれないな」「そうかもしれない……じゃなくて、そーなんだよっ!」
俺たちはまだ、生まれたばかりなのかもしれない。この長い長い、命の中で。
「めー、時計見ろ!ぼやっとしてたら、もう時間だぞ!」
「本当だっ、もうこんな時間!おかあさん、行ってきます!」
「めー、待て!俺をおいてくなっ!」
この永遠にも似た春の中で、この咲き誇る桜の下で。俺たちは春をする――
<感想>
ブランド2作目ですね。
デビュー作である『AQUA』がとても良い作品だったことから、それで本作に興味を持った人も多かったかと思いますし、実際、私もその中の一人でした。
本作をパッと見て、最初に思ったことは、背景が綺麗だなということでした。
ヒロインも十分可愛いのですが、それ以上に背景が綺麗なことは印象的でした。
本作には、上記のグラフィック以外にも良い点はあり、その最たるものがシステムなのでしょう。
特にシナリオプレーヤーは、本当に便利なシステムです。
まぁ時間のある学生とかには、あまり必要がないかもしれませんが、社会人とかには本当にありがたいので、他所の作品にも標準化してほしいくらいです。
それにしても・・・少し余談になってしまいますが、『AQUA』及び本作では、演出も優れていましたし、シナリオプレーヤーをはじめとして、システム面が大きな強みでもあったわけでして。
それだけに、本作の後に出た『はるかかなた』には、一体何が起きたのかと思ってしまいましたよ。
例えば、システム部分が弱いブランドが、システムに関し外部のソフトを利用するというのであれば、まだ話は分かります。
しかしこのブランドは、その部分が長所なわけですから、外部のソフトを使用する意味がないと思うのです。
絶対的な強みであったシナリオプレーヤーを捨てて、外部のソフトを使用して、その結果がバグまみれなわけですから、全く意味が分かりませんよね。
というわけで、結果的には、シナリオプレーヤーを搭載した作品も、現時点ではこの作品が最後となります。
システム及びグラフィックが良いということで、残るはストーリーとなるのですが、問題はこの部分なのでしょう。
本作はSF要素の混ざった、死生観を扱った作品になります。
それなりには面白いのですが、話の規模が大きいわりに、設定とか少し大雑把であり、作り込みが甘かったように思います。
このブランドの作品は、序盤はスローに進みつつ、終盤で盛り上がっていきます。
『AQUA』の時も、序盤とかはスローでしたが、それ以上に終盤が盛り上がり、粗とかもいろいろあったはずなのに、勢いで一気にもっていかれた感がありました。
本作も悪くはないのですが、端的に言うと、前作ほどの勢いがなかったということなのでしょう。
<評価>
総合ではギリギリ良作としておきます。
前作ほどでないにしても、十分楽しかったですからね。
それにしても・・・シナリオプレーヤーは標準化して欲しかっただけに、この作品で止まってしまったことは、今となっては非常に残念ですね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-02 by katan