『ガーディアンエンジェル』は2003年にPS2用として、データム・ポリスターから発売されました。
これ作った人は菅野さんのファンなんかなぁ~
プレイしながら漠然とそう感じた作品でした。
<感想>
『YU-NO』をプレイしたことのある人の中には、またADMSみたいなシステムのあるゲームがやりたいって思った人も多いでしょう。
本作では、進行状況がマップで表示され、先が詰まったらビュレットと呼ばれる物を使用して過去に戻れます。
若干複雑になっているものの、基本的にはADMSと同じ方向性の構造をしています。
そのため、こういうのが好きな人には向いているでしょう。
また、本作は、最初は1つの視点から始まりますが、プレイを進めるうちに最大6人まで主人公が増えていきます。
それぞれの視点で物語が進行する点で、マルチサイトやザッピングといった要素も含んでいるわけです。
これまた菅野さんが『DESIRE』や『EVE』等、昔よく使った手法ですよね。
さらに本作では、場所移動の際に街を表すマップが表示されます。
どこでイベントが起こるか最初は分からないのですが、カーソルを移動させるとレーダーが反応していきます。
このレーダーが一番大きく反応した場所にイベントが用意されているのです。
本作は2003年の発売ですが、このシステムは、2004年に発売された『ミステリート』の「ディテクティブチャージシステム」に似ていますよね。
もっとも、両者には異なる点もあります。
まず、本作の場合、実際にキャラを歩かせる必要がないということです。
したがって、本作の方が『ミステリート』よりも煩わしさがなく、プレイヤーは純粋にイベント探しに集中できるのです。
加えて、イベントはマップ上に複数存在しています。
見つけたイベントをすぐに見る必要はなく、マーカーでチェックだけしといて後回しにもできます。
つまり、どういう風に進行・攻略をしていくかはプレイヤー次第なんですね。
2001年に構想が発表された当時の「ディテクティブチャージシステム」は、ひとつの事件をさまざまな方法で解決できるという画期的な推理システムを目指しており、現場に残された遺留品から犯人を推理しても良いし、先に容疑者を特定してその人物のアリバイを探る方法で捜査を進めることも可能というものでした。
しかしながら、実際に発売された時の『ミステリート』のシステムは、別物になっていました。
本作も、この『ミステリート』の初期構想の域にまでは達していないでしょう。
しかし、実際に発売された『ミステリート』よりは、『ミステリート』の初期の構想に近い物になっていたかと思います。
過去の菅野さんの作品で使用されたシステムを掛け合わせて、それに新作でやろうとしたことも混ぜてみた。
つまり、『DESIRE』と『EVE』と『YU-NO』に『ミステリート』も掛け合わせてみた。
本作のシステムをみると、何かそんな感じがしませんか?
時空を超えるというストーリー展開も加味すると、尚更そう感じちゃうんですよね。
それで、冒頭のような感想に至るわけです。
久しぶりにゲーム性を考えていろんなシステムが導入された、ADVらしいADVを見た気がしましたね。
ADVのゲーム性とかシステムに関して興味がある人には、ぜひともやってもらいたい作品の1つと言えるのではないでしょうか。
かように、既存の菅野作品の集大成にプラスアルファした様な作品ですからね。
keyで言えば、もう一工夫されて発売された『クラナド』みたいなものです。
そう考えると、何かとんでもない大傑作みたいに思えてきますよね。
でも、プレイすれば納得してもらえると思うのですが、面白いことは面白いものの、何か妙にチープ感が漂っていてね。
例えとして適切かどうかはわかりませんが、それなりの腕を持った絵師が模写した名画みたいな感じなんです。
出来は良いけど、本物とは違うよなって感じで。
抽象論過ぎるので少し具体的に言いますと、優れたゲームデザインで名作として語り継がれる作品って、ほぼ例外なく狭義のゲーム性も優れているんです。
長くなるからここでは省略しますが、コマンド選択式でもP&C式でも何でも構わないですが、同じシステム内でも出来の良い物と悪い物は当然あるのです。
本作はいろんなシステムが導入されていてそれなりには楽しいけれど、イマイチ煮詰めきれてないんですよね。
若干の解り辛さや操作の手間は、それだけでプレイの意欲を奪いかねないですし。
私のように多少の手間は構わないよって人はともかく、ノベル慣れしてADVにゲーム性は不要と考える最近の人には辛いかもです。
また、ADVの要であるストーリーですが、まずは簡単なあらすじから。
主人公は私立探偵なのですが、ある事件で魂と肉体が分離してしまいます。
霊体となった主人公は「守護天使」となり、娘が事件に巻き込まれるのを防ぐべく過去と現在を行き来します。
最初は単純な事件かと思えたのですが、様々な人々の思惑が絡み合い、数百年前から続く壮大な物語へと展開していくって感じです。
基本的には過去と現在を行き来するタイムリープ物ですね。
ただ、時間だけでなく世界・空間まで越えちゃうので、パラレルワールドや平行世界といった要素も大きいです。
また、事件が絡んでくるのでミステリー的要素もありますね。
それと、主人公は娘を守る霊体ということで、娘たちに直接関与することは出来ません。
後ろから眺めている、傍観者なのです。
いろんな要素が詰まった本作ですが、おそらくこの傍観者として進行する構造が、プレイヤーには一番新鮮に感じられるかと思います。
以上の様に、本作は多くの人が好みそうな様々な要素が詰まっていますし、壮大な物語として規模が膨らみながらも設定は良く練られ、伏線も上手く昇華されて非常に良く纏まっていると思います。
それ故、基本的には良く出来ていると思うのですが、本当の一流作品らと比べてどうなのかと聞かれると、やっぱり何かちょっと物足りないんですよね。
何だろうな~?
これはテキストに問題があったんですかね。
別に難解でもなく、くどくもなく、読みやすくプレイもしやすいのですが、蛭田節や菅野節みたいなプレイヤーを魅了する何かが足りない気がして。
元となる設定や世界観は良かったのだから、文章力の高い人に書かせてたらもっと化けてたのかもしれないですね。
加えて、グラフィックの問題がありますね。
よく古臭いと言われますが、昔だってこんなデザインが流行った時代はありませんよ。
90年代半ばの3流ギャルゲーで見かけられたようなキャラデザです。
まぁ、密かに私的には結構好みな絵柄ではあるんですけどね、
私の好みを除けば、どうしても時代錯誤じみたチープさが漂います。
本作がマイナーなのも、間違いなくこのキャラデザが最大の要因でしょう。
テキストと相まって、萌えなんてものはかけらもないですからね。
二次元絵に抵抗のある人は元から買わないでしょうが、萌え目当てでギャルゲーを買う人にも見向きされにくいでしょう。
そういう意味では、一体どこに焦点を当てて作ったのかが謎です。
中身は硬派な、いたってまともなADVなだけに、何とも勿体無かった気がしますね。
音声も有名人をかなり使っているんですけどね、何か合ってないというか、違和感があるわけでして。
そもそも、野田順子に金月真美って、絶対「ときメモ」の影響でしょw
<評価>
総じて、再三繰り返してますように、どこかしらチープ感が漂っているのですよ。
よく出来ているはずなのにイマイチのめり込めないような、そんなとても勿体無い雰囲気の漂う作品でした。
そういうわけですので、総合でも傑作とまでは言いません。
ただ、魅力的な要素も多分に含まれていますし、長所だけなら傑作級の作品ということもあり、十分名作といえるでしょうし、もっと多くの人に知られていて然るべき作品でもあったと思うのです。
確かに、ハッタリを利かしたトリックとか萌える展開のように、当時のノベルゲーマーにうけるような要素はありません。
今風のノベルゲームが好きでたまらない人や、「ADV=ノベル=ストーリーと絵が全て」と考えるような、評価にシステムデザイン面を含めない人には向いてないでしょう。
そのため、今となっては万人受けしないのは確かですが、この類のゲームってPS時代までは必ず一部で熱烈なファンがいたものです。
PS2になってからこうした類のゲームは減りましたが、ここまで埋没するのはユーザーの側の好みの変化が大きいのだと思います。
あと3年早く、せめてPSの時代に発売されていたなら・・・
本作の受けた扱いはもっと違ってたんじゃないかなって、そう思わざるを得ないのです。
ランク:A(名作)

Last Updated on 2025-07-13 by katan


コメント
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とふです、初めまして。
以前からちょくちょく見てたんで、個人的には若干違和感もありますけど。
ガーディアンエンジェルはPS2のADVでは一番好きですね。
シナリオ的にもシステム的にも面白かったですし。
ただ声が残念で、早口というか、120%位に早送りした感じになってるんですよね。
意図的だとすれば、テンポや声のイメージを変えたかったんですかねー。
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> とふです、初めまして。
はじめまして、コメントありがとうございます。
> ただ声が残念で、早口というか、120%位に早送りした感じになってるんですよね。
確かに、そんな感じでしたね。不思議に思っていました。
ミスって早口になってしまうというような方たちではないと思いますし、そうなるとやっぱり意図的に早くしたんですかね。