『From M』は2002年にWIN用として、BLACKRAINBOWから発売されました。
この年を代表する寝取られゲーの中の1本ですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
あらすじ・・・
主人公は、知り合いである大学病院の理事長の依頼で、その病院の警備を任されることになった。
だが、一人の男『村越医師』の出現で、仕事はただの警備だけでは済まなくなっていくのだった。
病院内の女性たち、そして愛する者。
知らないところで、巧妙に展開されていく罠。
違和感、そして異変。
はたして主人公は『村越医師』を止めることはできるのか…。
<感想>
ヒロインの処女性、ないし主人公だけのものだという感覚は、アダルトゲームの歴史から考えるならば、必ずしも最初から根付いていたものでもありませんでした。
目を付けていたヒロインが酷い目にあうなんてのは、昔になればなるほど日常茶飯事だったように思います。
したがって、大事な人が犯られるという意味での寝取られ(NTR)は、90年代までにも多数の作品に存在したものでした。
もっとも、90年代までのNTRの場合、ミステリーなど基本となるストーリーがあり、その中の1つの展開として、或いは1つのルートとしてNTRが存在するのであり、NTRだけを目的にした作品というのは、ほとんど皆無に近いように思います。
事前に寝取られゲーと銘打ってNTRだけを集めた作品が発売され、それが目に見えて活発になったのは、2002年からだったのでしょう。
2002年には『TRUE BLUE』もあり、当時は『TRUE BLUE』と『From M』は押さえておけって感じでしたからね。
どっちを優先すべきかは、好みにもよるでしょう。
2chとの連動による歴史的意義とかを重視すればTBだろうし、個人的にもTBの方が絵が好みで楽しめました。
本作は、絵があまり好みでないというのもありますが、とにかく寝取る側の村越の個性が強すぎたもので。
笑えるライトな感じの寝取られゲーを求めるなら、圧倒的に本作に軍配が上がるのですが、暗さ・重さのような雰囲気を求めるのであれば、あまり本作は適さないのでしょう。
特化ゲーという言葉は私もよく使ってしまうのだけれど、この言葉は実は様々な誤解を招きかねません。
様々な要素が含まれていたエロゲから、あれも駄目、これも駄目と、少しずつ削っていって偏った一部分が残ったのが今日なので、特定の部分にこだわり抜いて作られた作品ばかりではないからです。
特化ゲーが増えたから細分化されて、いろいろ増えたという表現をする人もいますが、それは単に言葉に引きずられた勘違いでしかありません。
まぁそのようなことは以前にも書いてますので、寝取られゲーに関して少し異なる視点から書いてみたいなと。
TBなんかにしてもそうなのですが、昔のゲームのあの寝取られシーンが良かったねとか、そういう評判の良い寝取られ要素を寄せ集めたのが、この当時の寝取られゲーだったのでしょう。
そのため、新しさはなかったのだけれど、カタログのような網羅性を備えた作品が出てきたと。
カタログとしての寝取られゲーは確かに網羅性がありますが、事前に寝取られゲーと告知することで、従来の作品にあった驚きや衝撃は失われました。
従来の魅力がなくなった代わりに得た網羅性も、何作か出ればシチュがかなり出そろい、意味がなくなってしまいます。
そうなると、また新たな魅力を見出さなければなりません。
そこでNTR好きの間で重視されるようになっていったのが、寝取られる過程の描写の良さになります。
同じシチュでも、書き手によって良さは全然違いますから、どれだけ丁寧に上手く描けるかが大事になってくるのです。
ゼロ年代前半の寝取られゲーに対しては、私は基本的に、以前の寝取られ要素を寄せ集めただけという印象が強いです。
ただ、ここで寄せ集めて整理できたことは、その後の寝取られ作品の在り様に大きな変化をもたらしたわけで、2002年におけるTBや本作の存在というのは、一つの分岐点としての意味合いを有していたように思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2025-04-09 by katan