現実が見えてきたので少女を愛するのを辞めました。

2020

『現実が見えてきたので少女を愛するのを辞めました。』は、2020年にWIN用として、かえるそふとから発売されました。

これまでプレイしてきた野々原幹さんの作品の中でも、もしかしたら一番良い作品かもしれませんね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・「だから俺は少女を愛するのを辞めた」
田中は限界に達した。
田中はこれまでの人生を、年の離れた少女にばかり執着して生きてきた。
現実の世界でも、二次元の世界でも、彼が愛したのは少女だった。
だが、それもここまでだ。田中の魂がうめきをあげる。
たったいま、生涯108回目の<<少女>>への告白は無惨に散った。
一度も成功したことなどなかった。
一度も性交できないまま、108回目の真心を手酷い罵倒の言葉で剔られた。
「もう、この生き方にピリオドを打ってもいいんじゃないか?
そうしなければ絶対に幸せになんてなれっこない。
奥さんを手に入れて、家族を手に入れて、この心をあたたかくしなければ俺は死んでしまう……」
これまでの性的嗜好に関わるものすべてを投げ捨て、田中は婚活をした。
そこで出会ったのは、108 回の傷心をすべて包みこんで癒やそうとするかのような女性、愛宮麻衣だった。
「……この人、なんでこんなに俺のことわかってくれるんだろう?」
この人となら、俺は<<真人間>>になれるんじゃないか。
誰からも後ろ指さされることなく、罵倒されることもなく、幸せな家庭を持つ夫になれるんじゃないか。
だけど――。田中は迷った。
とてもいい人だけど――。とても魅力的だけど――。
性的対象としてチンポが反応したわけじゃない。
そんなんで結婚なんかしていいのか?
田中はその迷いに目を背けた。現実を見つめるために。
俺は過去を捨てた。俺はもう、今までの俺じゃない。
やれる……やらなきゃいけないんだ。
そう心を固めて、田中は――愛宮麻衣を妻にした。
だが、運命は田中の眼前に禁断の果実を意地悪くぶらさげた。
愛宮麻衣には、それはそれはかわいらしい二人の娘がいたのである。

<感想>

かえるそふととしては、ブランド第2弾になります。
もっとも、原画の野々原幹さんは、20年も炉利ゲーを作ってきており、固定ファンも多いと思います。
私は、当初は特にファンというわけでもなかったのですが、『姪少女』(2008年)の変態性に魅力を感じ、それ以後は新作を追いかけるようになりました。
長い間、たぬきそふとから発売していたのですが、前作から、かえるそふと名義での発売になっています。

上記の『姪少女』の他にも、途中何作かは良い作品もあったものの、全体的な傾向としては、次第に変態性が薄れていき、作品の魅力を感じられなくなっていきました。
後半の方は惰性でプレイしていた時期もあります。
そのため、かえるそふとになったことで一区切りし、もうここの炉利ゲーをプレイするのは止めようと思ったのですが、どうも評判が良さそうだったことから、本作をプレイしようと思った次第です。

本作が過去作と大きく異なる点は、妻になる女性がいることです。
そしてこの女性、愛宮麻衣の存在が本作の一番の肝であり、彼女がいたことが作品全体に大きくプラスに作用しています。
過去の作品では、主人公が変態で、その変態主人公が年端も行かない女の子に手を出すという構造が多かったです。
それに対し本作は、登場人物はヒロインらも含め、みな変態ではあるのですが、その中でも愛宮麻衣が突き抜けてヤバいのです。
主人公の変態性を愛宮麻衣がそれ以上の変態性で受入れてしまうので、作品全体が破綻せずに進行していきます。
また、このヤバい女が親であれば、娘たちが変態に目覚めても当然だよねと思わされてしまうような、妙な説得力があるんですよね。
これまでは主人公側が変態であることが多かったですが、それを女性側にシフトし、そこに妻となる女性を一番ヤバいキャラとして入れることで、変態的な関係性を破綻なく描くことに成功したのでしょう。
本作の試みは、とても良かったと思います。

主人公は、結局、炉利を諦めることはできなかったので、ある意味タイトル詐欺でしょうけどね。
でも、このヒロインとこのブランドの作品ですから、プレイヤーも全員、炉利ゲーを期待していたでしょうし、何の問題もないのでしょう。
一度、炉利を諦めようとした主人公が、葛藤しながら炉利に戻り、新たな家族を作り上げていくという流れも、読んでいて良かったと思います。
炉利好きのためのヌキゲーに見えるかもしれませんが、ストーリーも十分楽しめる内容と言えるでしょう。

グラフィックについては、数作前から、E-moteを使用しているので、立ち絵はとても良く動きます。
ヒロインらの可愛さが強調され、ここは良かったです。
ただ、イベントCGは普通の静止画なので、ここはもう少し工夫の余地があったかと思いますね。

<評価>

たぬきそふととして炉利ゲーを作り始めてから、これまでに多くの作品が発売されてきました。
その野々原幹さんの作品の中でも、本作は代表作と言えるでしょう。
少なくとも私は、これまでの中で、本作が一番良かったと思います。
もう一つ突き抜けたところがなかったことから総合では良作としておきますが、イベントCGを工夫していれば、おそらく名作としていたでしょうね。

とても満足できましたので、次回作にも期待したいですね。

ランク:B(良作)


駿河屋

Last Updated on 2024-08-07 by katan

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