『はつゆきさくら』は2012年にWIN用として、SAGA PLANETSから発売されました。
いわゆる四季シリーズの最終作になります。
<概要>
四季シリーズの最終作となっていますが、各作品につながりはありませんので、本作からのプレイで問題はありません。
あらすじ・・・
「河野初雪」は、白咲学園3年生。進学校には珍しい不良生徒。
卒業が危ないと言われ、今日も嫌々授業に顔を出す。今年最初の雪が降った12月。
初雪は旧市街の一画で、真っ白なドレスを着た美しい少女に出会う。
雪に降られながら、少女は一匹のウサギを探して街をさまよっていた。
一夜の不思議な出会い。そして数日後。
学園にドレスの少女、「桜」が転校してくる。最後の冬へ、初雪を連れて行くために。
めぐる春夏秋冬。終わる1095日。やがて冬を越えて、春が訪れる頃。
ついに積もることのなかった雪の思い出を抱いて、少年は立ち尽くす。
『初雪から桜まで卒業おめでとう』
<感想>
学園恋愛ものに、非現実的な要素をまじえたもので、拍子抜けするくらいに、前評判からすると、びっくりするくらいに、いたって平凡な作品でした。
何となくゼロ年代前半的な作風に、ちょっとだけエロを増やしましたみたいな。
キャラとかは個人的には好きなのですが、全体的にゼロ年代前半のような古臭さが感じられるんですよね。
一周まわって、またこういうのが好まれるようになったのでしょうか・・・
基本的に初心者向けの作品だと思うのですが、若干注意することもあるのかなと。
基本は萌えなのですが、必ずしもハッピーエンドではありません。
意中のヒロインがいてハッピーな終わりを望むのであれば、あまりおすすめできないでしょう。
そういう意味ではキャラゲーを求めている人向けではないということで、必ずしも万人向けではないのでしょう。
じゃあゼロ年代前半の作品が大好きな人にはどうなのかと言うと、尖った部分がないマイルドな感じになっていたり、細部は気にするな的な構造だったりで、どうにも中途半端なのですよ。
深く掘り下げるでもなく淡々と進行するから、アクの強い作品を求めると薄い平凡な作品に感じてしまうわけでして。
まぁだからこそ逆に、今風って感じもしたのですけどね。
結局のところ、ゼロ年代前半的作品を今風にアレンジしたということで、萌えに留まらず若干のストーリー性も欲しい人には満足しうる一方で、萌えだけを求める場合やストーリーだけを求める場合には、
どっちつかずな作品に見えてしまうということなのでしょう。
ただ、一点だけ良かったと思うことは、あまりストレスがないことですね。
これは作品の構造とも関係するのですが、重複する部分が少ないのです。
私はいろいろゲームもやってきたのですが、今では嫌われることの多いコマンド入力式や選択式も、今でも楽しめます。
ロード時間が長いのも、ある程度は大丈夫です。
しかし、最近の長時間に及ぶ既読スキップだけは耐えられません。
スキップ時間もプレイ時間とするならば、楽しめている密度がかなり下がりますからね。
限られたプレイ時間の中で、今日はスキップして終わりとか、やってられませんもん。
また、実質的に重複していたり、複数ライターによる齟齬・違和感も好ましくありません。
その点、本作は既読スキップや重複を強いられる場面はほとんどないですし、ライターも一人であるために違和感もありません。
だから無駄なストレスを感じることなく楽しめるのです。
恋愛ゲーとか萌えゲーの大半は平凡とか、或いは似たように感じてしまうのですが、同じような作品間で優劣の差が生まれるとするならば、案外こういう部分なのでしょう。
この点において、本作は他の同系統の作品より優れているのです。
<システム>
ゲームジャンルはノベル系のADVで、たまにマップ上から移動場所を選択するタイプです。
最初にプロローグがあり、その後も最初と最後のルートが固定されているので、いきなり好きなキャラから攻略ということはできません。
分量のあるプロローグが実質的な共通ルートであり、2週目はスタートから始めれば良いので、いきなり個別ルートに入っていけるイメージですね。
ストレスなく楽しめるので、これは好印象です。
攻略はマップ上に表示されたキャラを追えば良いので楽でしょう。
無駄に悩ませることなくシナリオに集中させようという作品ですね。
<グラフィック他>
グラフィックやサウンドなど演出面は普通なのかなと。
それなりに頑張っているかもしれませんが、他所の優れた作品ほどではないと。
個人的にはワイド画面であることが活かせていないとか、立ち絵と言わないまでもフェイスウインドウぐらい欲しいキャラがいて、ちょっと物足りなさの方が強かったです。
ただ、OP曲はfripSideで、歌っているのはKOTOKOなので、この時点で刺さる人には刺さるように思いますね。
<評価>
どの要素も明確に欠点と言える部分はないのですが、逆にどの要素も普通すぎる作品。
ハッピー至上主義みたいな人には合わない点で今の万人向けとは言いませんが、基本的には初心者向けなのでしょう。
初心者だからといって、必ずしもハッピー至上主義ではないでしょうからね。
そういう人向けなのでしょう。
マニアックな作品や長所短所入り乱れた偏った作品ばかりでも、新規はやりにくいでしょうからね。
こういうストレスの溜まらない配慮された作品があること自体は、入門作という観点からは良いと思います。
ただ、ここを訪れる人は結構ベテランの方も多いように思いますが、その方々が何か新しく得られるかを期待するのであれば、プレイする必要性は全くありませんと言っておきます。
初心者向け入門作品としての有用性は認められるのですが、個人的には非常に印象の薄い作品でもありまして。
プレイ直後に書かなければ、すぐに忘れて何も書けなかったでしょう。
人によっては主人公が受け付けないという可能性もありますが、それ以外はここが気に入らないという部分も特にないのですが、あえて自分がプレイする必要はなかったな、元が取れたとは思えないなということで、総合では凡作としておきます。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-11-26 by katan
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