『フィットネスリゾートからの脱出』は2015年にWIN用として、色写から発売されました。
「まったり~」と題された脱出ゲーの第2弾であり、更に魅力が増した作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはポイント&クリック式ADVになります。
あらすじ・・・
主人公伊織と、義理の妹である双子の莉央、瑛莉は、仲良しが高じ過ぎて、兄妹3人で恋人という変わった関係を築いていた。
夏休み、3人はとある海辺のフィットネスリゾートホテルに来ていた。
名目上は陸上の強化合宿という今回の旅行だが、実際はホテルのオーナーからある条件のもと、無料で招待されたのだ。
その条件とは『モニターとしてホテルが企画する脱出ゲームに参加する』というもの。
ゲームはもちろん楽しみだが、だがそこはやりたい盛りの3人のこと。
本当に楽しみなのは…。
<感想>
P&C式のADVで脱出ものということで、基本的にはあちこちをクリックして反応を楽しみつつ、アイテムを取得したり謎を解きながら進める作品となります。
P&C式ADVは海外では長く主流だったものの、国内では数が少なく、現在は同人やフリーゲームで脱出ものとして、わずかながらに存続しているという状況なのでしょう。
そして一つのP&C式ADVとして見た場合、謎解きなどの難易度の高さとか歯応えという観点からは、本作もそれなりに楽しめると思いますし、現在の国産の枠の中では良い出来だとも思えます。
他方で、このブログを訪れる人の中には洋ゲーのADVもやるとか、古いP&C式も好きだったという人もいるでしょうし、その割合は他所のアダルトゲームを扱うサイトよりも高いと思います。
もしそういう人が、私の面白いとの一言だけを信じてプレイしたとしたら、少しもの足りなく感じてしまうのではないでしょうか。
つまりフリーの脱出ゲーとかよりは楽しめるけれど、過去の偉大なP&C式の名作と比べると、操作性も含めた総合的な完成度はまだまだ足りないというわけですね。
特に操作性の辺りは、やっぱり同人ゲーだなと思ってしまいますし。
だからもし、P&C式は好きだけど特にエロゲ自体には興味はない、また独自性より完成度を重視するというのであるならば、私は本作をすすめることはしないでしょう。
でも反対に、P&C式は好きで、エロゲにも関心がある人で、完成度より独自性を重視する、新鮮な感覚で楽しめるかを重視するならば、この作品をやってもらいたいなと思いますね。
そもそも本作は「まったりキャッキャウフフ系脱出ゲーム」とありますが、脱出ゲームという部分にこだわると、いわゆる普通の脱出ゲーと異なるので、違和感を覚えてしまうかもしれません。
そもそも設定からして、脱出しなければならないという作品ではないですし。
それは前作の『脱出はSEXのあとで』も同様ですね。
だから脱出ゲー+エロと考えるのは、間違いなのでしょう。
大事なのは「脱出」という部分ではなく、「まったり」という部分なのです。
恋人同士が初めて訪れた場所で、興味津々にいろんなものをいじってみる。
それはごく普通の自然な行動であり、それを画面クリックという方法で表現することも、ゲームデザインとして十分にありと言えるのでしょう。
フリーゲームとかではP&C式と脱出ゲーが半ばセットになっているので、それで脱出ゲームと表現したのかもしれませんが、別に両者がセットである必要はありません。
洋ゲーでも、脱出ものでないP&C式なんて幾らでもありますし。
だから本作も「まったりキャッキャウフフ系P&C式ADV」で良いと、個人的には思うのですけどね。
まぁ、脱出ゲーファンにも興味を持たせようと、セールス的な観点も考慮して名付けるのならば、脱出ゲー扱いでも構わないのかもしれませんが。
とりあえず名称はなんであれ、本作は女の子らと一緒になってあちこち触りながら進むゲームです。
これはこれで一つの方向性としてありだし、今回は一緒に行動する女の子が二人になり、クリックしたときの反応とかも前作より格段に増して面白くなっています。
もちろん室内にあるアイテムだけでなく、女の子らをクリックして反応を楽しむこともできるわけで、この辺も前作より進化してきています。
作品の持つ方向性としては前作と同様と言えるのでしょうが、前作では荒削りでまだまだ未成熟だったのに対し、今作になり完成度が増すことで、ようやく独自の路線として確立してきた感じですね。
<評価>
まだ足りないと思う部分もあることから、総合では佳作としておきます。
ただ、独自性を感じられる作品が中々出て来ないジャンルだけにね、サークルとしての独自の方向性を打ち出し、他所にはない独自路線を歩み、一つの新たなジャンルとして確立していっているのは、これはもう単純に凄いと思います。
そういう意味も含めて、プレイする価値の高い作品と言えるでしょうね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-09-23 by katan
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