『Filsnown ~光と刻~』は1995年にPC98用として、Leafから発売されました。
ブランド2作目となるRPGで、今振り返れば豪華な組み合わせでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはフィールドタイプの2DのRPGです。
神々によって作られた剣フィルスソードが封印されてから2000年・・・って感じで始まるファンタジーものになります。
3人の女の子が主人公であり、レズ分が多めというのが特徴となるでしょうか。
リーフは本作と同じ1995年にデビューしたのですが、デビュー作は麻雀ゲームでした。
そのため個人的には、本作が実質的なデビュー作って印象が強いですね。
<感想>
さて、ゲームの印象については、実はかなり薄かったりします。
レズが多いことは特徴として挙げられるものの、この時期には他にもっと良い作品もありましたからね。
WINDOWSの時代になって下火になっただけであって、PC88とPC98時代には、レズものは定番ジャンルで数も多かったですから。
また、RPGとしても94・95年というのは豊富な時期であり、アダルトゲームのRPGという枠内で考えたとしても、他に面白い物が幾つもありました。
そのため、どうしても印象が薄くなるのです。
覚えているのは、むしろマイナスな印象でして。
本作は95年の8月の発売であり、この年には『同級生2』がありましたからね。
『同級生2』をやるために皆HDDを購入しに走ったと思うので、HDDを持っていないという人は大分少なくなったと思うのですが、当時はHDDが1GBで5万円前後とかしたので、年々安くなっていたとは言え、やっぱり気軽に買えるものでもなかったです。
今だと、安いノートPCも買えちゃいますからね。
だからHDDに余裕がない場合はフロッピーのまま遊ぶ作品もありましたし、本作もフロッピーで遊んだ人もいたでしょう。
そして本作をフロッピーでやると、ちょっと移動したり戦闘の度にディスク交換を強いられ非常に面倒だったのです。
まぁ、実害を被った人は少なかったかもですが、この辺がまだ新興ブランドらしいところなのでしょうね。
もっとも、サウンドは良かったですね。
リーフに対しては、ビジュアルノベルだの何だのという言葉に引きずられ、次第にグラフィック部分やシナリオ部分しか語られなくなっていきますが、初期のリーフの特徴として皆が褒めていたのはサウンドだったと思います。
他の部分の意見は分かれても、サウンドの良さだけは鉄板みたいな感じで。
特に本作では、後にkeyのサウンドを担当する折戸伸治さんがいたので、リーフとkeyをつなぐものという観点からも、折戸伸治さんのサウンドを堪能するという観点からも、意義があったのでしょう。
ぶっちゃけ本作の魅力はサウンドしかないってくらいでしたから。
<評価>
ゲームの中枢部分が弱いことから、総合でも凡作としておきます。
今更扱うまでもないと思い、最初は書く気もなかったのですけどね。
その後のリーフということで少し思うところがあったものですから。
ノベルで有名になったものの、リーフ自体はPC98時代にデビューしていますし、本作の様なゲーム性のある作品を作っていたんですよね。
その辺が、WINDOWS時代に参入しノベルしか作れないブランドとの、根本的な違いでもあるのでしょう。
ノベルしか作れない、技術のないブランドは、読ませることにのみ力を注ぐことになります。
しかしリーフは違うわけで、PC98時代からのブランドらしく、何かしらのゲームとしての工夫を加えようとしています。
実際、初期のビジュアルノベル3部作にしても、テキストが画面全体を覆うという部分が共通するだけで、ゲームデザインは全て異なるのです。
ゲームとしての物語の見せ方を工夫しようとする姿勢を持ち、それは同時に私にとっても好感の持てるものだったのですが、皮肉にも作品を支持するユーザーの多くには興味のない話だったようでして。
その後のリーフの目指す物とは反対に、シナリオだけが求められるような時代になっていきます。
ユーザーの支持(特に同人関係者)があったからブランドが成長したはずなのに、ユーザーが支持する部分とブランドの目指す方向性が当初から大きく異なっており、その齟齬は作品ごとに大きくなっていくようで、その違和感がとても不思議でもあり印象深かったものです。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-11-01 by katan
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