エルドラド伝奇

1985

『エルドラド伝奇』は1985年にPC88用として、ENIX(エニックス)から発売されました。

漫画家の槙村ただしさんが制作にかかわった作品であり、発売当初はアダルト要素で逆に損した印象もありましたが、ストーリーもグラフィックも優れた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式のADVになります。

内容的には、ファンタジー要素も取り入れた冒険ものであり、エニックス製ですが一応アダルトゲームでもありました。

<ストーリー>

物語は、親友からの1本の電話によって始まります。
電話が途中で切れたため、主人公が親友宅を訪れると、親友は既に息絶えていました。
そこで主人公は、電話の内容を手掛かりに、親友の妹であり同時に自分の恋人であるホシコを探すため、エルドラドへと旅立ちます。

・・・ということで、最初こそサスペンスっぽく始まるものの、エルドラドに到着してからは、ファンタジー要素のある冒険ものになります。
思うに、私は昔から冒険ものが好きなのでしょう。
秘境だの伝説の都市だの、そういうのが好きなんです。
本作は上記のように友人からの電話をきっかけとして、黄金郷エルドラドに冒険することになります。
もう、それだけでわくわくしてきます。

本作に関しては、ケモノ娘の出てくる作品の先駆けでもあります。
したがって、その手の属性がある人ならば、更に楽しめるのでしょう。
私は特に属性があるってわけでもないのですが、昔のこの手の作品には、実は結構ストーリーの優れた作品が多かったので、何だかんだでプレイしているような気がしますね。

<グラフィック>

この手のジャンルに欠かせないのは、次に何が待ち構えているんだろうっていうワクワク感です。
未知の世界は何が出てくるか分かりませんからね、その新鮮さが大事なのです。
そうなってくると、大事になってくるのがグラフィックです。
なぜならば、素晴らしいグラフィックは、新しい出会いを、より衝撃的に彩ってくれるからです。

実際、本作をプレイして率直に思ったことは、何て鮮やかなグラフィックなんだろうってことでした。
もちろん全く問題がないわけではなく、瞬間表示でないために画面表示に時間はかかりましたし、キャラデザもそんなに好きなわけでもありません。
でも、そんなことがとても瑣末な問題と感じるくらいに、色鮮やかなグラフィックに魅了されてしまいました。
ファンタジー作品として次の展開が気になるというのと、もっと新しいグラフィックが見たいという感情が絡み合い、どんどんゲーム内に引き込まれていったものです。
加えてボリュームもありましたしね、かなり満足できましたよ。

ところで、本作は漫画家の槙村ただしさんが作った作品になります。
そうしたこともあり、本作には、ちょっとしたサービスシーンもありました。
当時のPCゲーには、年齢制限という概念がなかったんですよね。
だから厳密には、アダルトゲームというものは存在しません。
しかし内容で考えるならば、本作はアダルトゲームに含まれると言えるでしょうね。

アダルト要素があるため、当時、一部のユーザーから逆に過小評価されたみたいです。
個人的には、サービスシーンはむしろプラスに考えるべきだと思いますけどね。
まぁ、ネコミミ娘ってのが私の属性にヒットしなかったので、個人的にはあまり恩恵はないのですけれど。
でも、そういうのが好きな人にはたまらなかったのではないでしょうか。

<ゲームデザイン>

さて、ここまでならとても優れた作品なのですが、問題があるとすれば操作性でしょうか。
本作はコマンド選択式のADVなのですが、ちょっと変則的なのです。
まず、画面右部分にシテイワクというのがあります。
そのシテイワクから選択しつつ、Fキーも用いたりで、微妙にやりにくかったのです。
『女子寮パニック』の時は操作性が優秀だっただけに、何か退化したような感じでしたね。

なお、本作では一部でルートが分岐したり、ラストも一応マルチエンディングでした。
簡単に言ってしまうと、エルドラドに残り女王様と一緒になるのか、それとも恋人のホシコを選ぶのかって選択を最後に迫られるのです。
こういう高貴な身分の女性と身近な理解者の二者択一は、ゲームの世界でも度々問題となる永遠の課題でもあります。
それだけに、場合によっては本作は、この題材を扱った最初期の作品として、後世に語り継がれていた可能性もあったのでしょう。
もし、この選択に公平性があったのなら、私も高く評価していたでしょうし。
しかし、本作の場合、片方は今でいうバッドエンドみたいな感じでしたので、結局正解は一つという印象の方が強くなってしまいました。
個人的には、その点は少し残念でしたね。

<評価>

総合では名作と言えるでしょう。

主に操作性の面で難点はあったものの、グラフィック・ストーリー・H要素と、多くの点で非常に楽しませてくれた作品でした。
私は、最近は好みの幅が広がっていろんなジャンルを楽しむようになりましたが、昔はそうでもなかったと思います。
本作には、初プレイ時から大好きだった要素もあれば、プレイ時は好きでもなかったけれど、後に好きになった要素もあります。
後に好きになったというのは、そのきっかけが芽生えていたとも言えるわけでして。
本作を思い出すと、何となく原点に立ち返った気になれるようでもあり、とても懐かしく思える作品でもありましたね。

ランク:A(名作)

エルドラド伝奇

Last Updated on 2024-05-05 by katan

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