『フェルミオン ~未来からの訪問者~』は1995年にPC98用として、シルキーズから発売されました。
レズ好きのためのSFモノという、ピンポイントな作品でした。
<感想>
あらすじとしては、遺伝子を確保し世界を救うために、人間と獣のハーフである主人公が時を越えて過去に戻るというもの。
本作が発売された当時はSFモノが多かった時期ですが、タイムトラベルモノはいつの時代の人気ジャンルですので、好きな人も多いのかなと。
ただ、多方面で独自性を発揮することが多いエルフなのですが、SFはあまり得意でないのかなとも思ったりもするわけでして。
いや『ELLE』があるだろと言われればそうなのですが、『REIRA』とか本作を見るに、SF系のネタはストックがあまりなかったように感じてしまいます。
まぁ、端的に言えば、あまりストーリーには期待するなよと言うことです。
ただ、メッセージ性はある作品でしたので、いわゆるシナリオゲーとかが好きな人だと、刺さる人もいるかもしれません。
他方で、エルフの作品の場合、ゲームデザインで凝っている作品も多いですが、本作は、基本は普通のコマンド選択式のADVでした。
汎用のコマンドではなく、個別のコマンドであったので、その点は工夫がなされているのですが、エルフの同時期の他作品と比べると、少し物足りなく感じてしまいます。
途中でダンジョンもありましたが、どちらかというと邪魔に感じられる事が多いくらいの出来で、エルフにしては物足りないのかなと。
こう書いてしまうとあまり特徴がないように見えてしまいますが、主人公は女の子でしたので、Hシーンはレズばかりです。
いろんなタイプの女性が出てきますので、レズに限ってみれば良いゲームだったのではないでしょうか。
レズゲーというと、近年はそれだけってものも多いです。
それはそれでレズに特化したゲームとして、需要はあるのでしょう。
でも、皆が皆そういう人ばかりとは限りませんよね。
基本となる楽しませるストーリーがあって、要所要所でレズを楽しみたいって人もいるはずです。
SFモノとして楽しみつつレズを堪能する本作は、そういう人のためのゲームなのでしょう。
<評価>
総合では、ストーリーやゲーム部分の物足りなさはあるものの、メッセージ性はあるということも考慮し、総合では佳作とします。
また、上記のようなストーリー+レズを求めるのであれば、更に楽しめるのは間違いないという作品だと思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-10-26 by katan
コメント
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当時にしては珍しいゲームだと思います。
プレイしてつくづく思ったのは、ストーリーの中で問い掛けている事。
神崎博士が現地に行った際に母親に正体を見破られ、その時に言った言葉から、私は、コールドスリープも善し悪しだと感じました。
娘を助けたい親心は解りますが、目覚めたら近しい者達が全て死に絶えていると言うのは、どうかと考えさせられました。
下記はオリストで『フェルミオン』に触れた部分です。参考までに
『コールドスリープも良し悪しだと思うぞ。『何とか我が子を助けたい』親心は解るのだが、肝心の当の本人にとって、それが果たして幸せなのか?このゲームを例に取ると、その子は200年未来にそれを解除されたが、人間200年も生きられないだろ?目覚めた時には、友人・知人どころか、愛する家族も皆、居なくなっているんだ。眠る前にはみんな居たにも係わらずだぞ?
それを知った時の衝撃はどんな物だと思う?
成人したその子が時を越えて母親と再会した時、正体が母親に見破られて名前を呼ばれた。
そして『お母さん!』と呼んで母親の胸に飛び込んでいた。泣きながらね。
『二日後にコールドスリープをやる予定だった』と告げた母親にその子は『たとい死んでも、私はお母さんと、みんなと一緒に居たかった!』と泣きながら言っていた。
現実でもそれは変わらんと思うぞ。愛する者から永遠に切り離される事を軽く見てはならない』
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詳細なコメント、ありがとうございます。
テーマ自体は別媒体で既に経験していたということで、
それで当時の私は特別強い印象までは持てなかったのかもしれませんね。
もっとも、ご指摘のように、ゲームでこのようなメッセージ性のある作品は、
当時としては珍しかったように思いますし、
その点を重視すれば、また違った印象になるように思いますね。