『つまびっち!! ~ターゲットは村人全員ww 人妻達のあへエロ夏物語~』は、2013年にWIN用として、パンチラキックから発売されました。
やべぇ~ちょうたのしぃ~って思ってしまう、ビッチ最高な作品であり、同時に嘘屋作品の一つの完成形なのかもしれません。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・新妻ハンナは、夫ジャンの故郷「強水島」に嫁いできた。
二人の馴れ初めは「神待ち掲示板」だ。
ハンナは宿と食事の代わりに援交する家出少女で、ジャンとはそこで知り合いお世話になって、そしてプロポーズまでされてしまった。
ブサメンのジャンを最初は断ろうとしていたハンナだが、彼の故郷の話を聞いて翻意する。
そこは男ばかりの島で、彼の親族もそれ以外にも彼女の大好物「熟成童貞」がごろごろしているのだと。
かくしてビッチ新妻ハンナの童貞食べ放題Iターンが始まる。
<感想>
見るからに頭の悪そうな主人公。
話しだすと更に輪をかけて頭悪そうだし、それが軽~い、いかにも頭悪そうな声でしゃべるわけで。
加えてテキストに散りばめられた絵文字や強調された文字が、その頭の悪そうな雰囲気をより一層加速させます。
・・・が、やべぇ~何か妙に楽しいぞ、これ。
開始早々から心をガッチリ掴まれたわけで、こういう作品、何年ぶりだ~って感じ。
ライターは嘘屋佐々木酒人さん。
古くは『クローンドール 課外授業』(1995)も担当しているようだけれど、その作品はプレイしているものの、当時はまだ印象に残っていなかったわけで。
『魔法使いの♀弟子』(2000)を強烈に大絶賛している人がいて、それが気になりだした最初だったかな。
その頃から才能の片鱗は見せていたのだろうけれど、一般的にはおそらく、『逸脱』(2001)で有名になったのかなと。
「俺は、射精した。」はエロゲ史に残る名台詞として、当時は話題になりましたからね。
そういえば、『聖翼学園セラフィタ』(1997)も嘘屋さんだったっけか。
個人的に『逸脱』より後にプレイしたので、それで時系列が逆転してしまうのだけれど、異彩を放ち出したのは『セラフィタ』の頃からとなるでしょうか。
まぁ、主流の萌えゲユーザーにはうけにくいうえに、しかも売れそうな萌え絵の作品の時に時々やらかすこともあるので、それでメジャーになりきれない部分はあるものの、売れ線からずれた、ぶっ飛んだ設定で自由にやらせたら、業界最高峰のライターであり、天才という言葉で真っ先に浮かぶ現役ライターかもしれません。
そんな嘘屋佐々木酒人さんの作品の中でも、本作は内容面で代表作と呼べるくらいに良くできた作品でしたね。
すっごく馬鹿な雰囲気なのに、無駄を感じさせず、笑いながらじっくりテキストを堪能できました。
基本は馬鹿ゲーなのだけれど、ストーリー性もあり、最後は良い感じで終わりましたしね。
本作の魅力の大部分を担うのは、主人公のハンナ。
ハンナは、自他ともに認めるビッチです。
女性は皆で共有するという島の風習を知り、大好物の「熟成童貞」が一杯食べられると、ジャンとの結婚を決意し故郷である島に行きます。
なお、あらすじでは結婚となっているものの、正式には婚姻届はまだです。
理由は、法定の年齢に達していないから。
・・・ってことは、15歳のヒロインってことですねw
ハンナはビッチだし、島のジャンの家族たちもハイテンションな野郎ばっかで、妙に高いテンションでエロが繰り広げられます。
ちなみに、女性陣は他にも2人登場するけれど、皆ビッチですw
ビッチヒロインってのは、少し前までは好きでなかったのですけどね。
本作の主人公は、何て言うのかな。
エロのためには良くても、金を稼ぐための援交は嫌であるとか、そもそも一人でも生きていくためにビッチとして育てられたわけで、頭が悪いなりにも現状と将来を見据えていて、筋の通った非常に好感が持てるビッチなんですね。
小賢しさのない素直な性格であるとか、言葉で説明するのが難しいのだけれど、簡単には言い尽くせない魅力を持った女の子なのです。
男性陣も、童貞であるとか妻に逃げられたとか、つまりは女性と縁のない者ばかりであり、でも凄く良い人たちばかりでして。
「なに、この理想郷」って、プレイしていて思ったものです。
<グラフィック>
アダルトゲームの多くは主人公が表示されないのですが、本作は女性主人公で、他は多くが野郎ばっかなので、基本的にほとんど主人公ばかり表示されているような。
画面に表示される割合も高いので、ハンナに対する印象が作品全体への印象につながりやすいでしょうね。
本作は通常時は画面下部にテキスト欄がある普通のノベルゲーなのですが、主人公の心情描写がなされる時には、画面全体にテキストが表示されます。
このような基準で使い分ける手法は、あまり見かけない手法かもしれませんが、これは結構ありなのかなと。
主人公の内面が描写される場面は物語上の動きもないから、テキストを前面に出しても問題ないですからね。
本作は、このハンナの気持ちが描写される場面が多いので、それで丁寧に描かれた印象を受けたわけですし。
それと、本作は絵文字が多いです。
あまり意識してしてこなかった部分なのですが、絵文字を多用したエロゲってどれくらいあるんでしょうね。
とりあえず、フォントの強弱などテキスト欄内での工夫は、それこそ嘘屋作品では『セラフィタ』の頃からあるし、絵文字を用いた作品も過去の嘘屋作品で既にあります。
テキスト欄内での工夫というのも、嘘屋作品の一つの特徴なのでしょう。
もっとも、絵文字を使ったからと言って面白くなるとは限りませんし、過去作でもストーリーに合っていないこともありました。
しかし本作の場合は、頭の悪そうな雰囲気を強調させることに役立っており、非常に効果的だったように思います。
<評価>
主観的な楽しさだけで言えば、文句なしに傑作級です。
何でこんなに楽しいのに、マイナーなんだろ?
普段の基準で考えたとしても、ライターの文章的な持ち味と、絵文字等の視覚的特徴と、物語で扱う題材。
これらが過去作では一部ではマッチしていても、全てがマッチしたものはなかったように思いますし、それで自分も楽しみきれなかった作品もありました。
しかし、それがこの作品により全てがマッチし、ようやくピタッとはまったように思うわけでして。
多才な人なので、いろんな方向性の作品も作れるのでしょうが、その中の一つの方向性の集大成として、名作と呼べるように思いますね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-11-09 by katan
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