『ファンタジアン』は1985年にPC-88用として、クリスタルソフトから発売されました。
本作は、『ウィザードリィ』みたいな3DRPG、つまりはプレイヤー視点で進行するタイプの作品になります。
<感想>
さて、一見すると『ウィザードリィ』みたいな本作ですが、最大の違いであり、同時に特徴ともなるのが戦闘部分でした。
具体的には、SRPGみたいなタクティカルコンバットシステムだったのです。
しかも、半リアルタイムといった構造で、この半リアルタイム制及びタクティカルコンバットにより戦術の幅が増え、戦闘は当時のRPGの中では極めて良くできていました。
またゲーム開始時にはキャラを自分で作り、5人パーティで出かけることになります。
この設定も結構細かく出来ましたので、この面でも良く出来ていたでしょうね。
まぁ、ジャンルとして分類されるものには、当然ながら共通点があるわけでして。
つまりは過去の名作の模倣とそこに少しのアレンジを加えることで、ゲームジャンルは発展してきたわけですよね。
RPGの場合では、『ウィザードリィ』タイプと『ウルティマ』タイプが最初期にあり、それが以後の基盤となったわけです。
そしてクリスタルソフトはウルティマの移動方式にWIZ風の戦闘を加えた、「夢幻の心臓」シリーズを作り出します(なお、それを真似たのがドラクエになりますね。)。
『ファンタジアン』は組み合わせ方が逆であり、WIZ風の移動方式にウルティマ風の戦闘を加えたのです。
同じRPGと呼ばれるジャンルであっても、組み合わせ方やアレンジ次第で全く別物のように感じられるということですね。
クリスタルソフトの一連のRPGは、もちろん単体でも面白いのですが、いろいろ比較しだしても面白ろそうですね。
そういうわけで本作は個性の際立った作品でしたし、RPGの一つの方向性として高く評価されても、或いはこれが最高だったという意見があっても納得はできます。
ただ、後は好みの問題でもあるのかもしれませんが、私は昔のWIZ風3Dタイプの移動方式は好きでなかったんですよね。
もちろん後には進化して好きなのも出てくるのですが、当初は黒で囲まれた画面がどうにも陰気臭くって。
それを言うとWIZファンの友達に怒られてしまうのですけど、あんまり見た目で楽しめるものではないですからね。
ウルティマ風の方が次に進めようって気にもなれますし、好きでした。
逆に戦闘ではチマチマした感じのウルティマ風よりも、WIZ風の方が迫力があったので好みでしたね。
まぁ、つまりは『夢幻の心臓2』でありドラクエのシステムなわけですよ。
こういうシステムがその後日本のRPGのメインになっていくわけですし、世間的にもそれだけ支持もされたと考えられるのでしょうね。
<評価>
以上のとおり、本作も十分に名作ではあるのですが、もう一つ個人的な評価が伸び悩んだのはその辺が理由になります。
アクセスは早いけどやり込みが物足りないとか、プラスも多いけどマイナスもそれなりにあるわけで、面白いのは間違いないけど『夢幻の心臓2』と比べるとちょっと…
って感じのゲームだったかもしれませんね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-05-14 by katan
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