『EVE ~new generation~』は2006年にPS2用として、角川書店から発売されました。
仕切り直しとして出された作品でしたが、設定だけを真似た、全然別物の作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
あらすじ・・・
私立探偵天城小次郎は、倉庫街にある事務所へと帰宅する途中、一人の少女と出逢う。
少女は小次郎が探偵だということを知り、依頼を持ちかけてきた。
「私の記憶を探して欲しい」
その直後、外車から下りてきた男によって連れ去られてしまう。
一方、日本の諜報機関である内閣情報調査室のエージェント法条まりなは、ある夜ビルの屋上から飛び降りようとする一人の青年を見つける。
必死の説得を試みたものの、青年は自ら命を絶つ。
「計画はすでに始まっている。もう誰にも止めることはできない。テロだよ」
そう言い残した青年の掌には”蜜蜂”のタトゥが刻まれていた…。
突如首都圏を襲う大停電、武装テロ、謎の製薬会社、蜜蜂のタトゥ、そして、謎の少女…。
果たして、二人は【真相】という名のパズルを解くことができるのか。
<感想>
いわゆるEVEシリーズは初代だけが菅野さんの作品であり、その後の作品は別の人の手による公式同人にすぎません。
とはいえ、オリジナル版が凄く好きだったことから、続編という名の公式同人もプレイしていましたが、それも『ADAM』を最後にプレイしなくなりました。
如何せん、今までの続編は酷かったからね。
もっとも、今作では全部仕切りなおしてやり直しますよって言われちゃうと、どうしても気になっちゃうわけでして。
酷かった続編たちをなかったことにし、それで新たな続編を作ってくれるのならば、それはそれで嬉しいことですからね。
まぁ、見た目が変わった時点で多少の抵抗はあったのですが、それぐらいなら大目に見るってものです。
さて、グラフィックについては、案の定、良くはないものの、そこは妥協してプレイし始めたので構いません。
問題は別の部分であり、プレイして思ったことは、キャラの性格が全然違うじゃんってことです。
ライターはこれまでの作品をプレイしたのでしょうか?
続編らが酷いから仕切り直しをしたのではなく、これでは今までの作品を全く知らないから、だから仕切りなおしという口実を使ったようにしか思えないわけでして。
見た目が少し変わり、中身が全然違ったものになっては、もはや別物です。
この時点で、続編ものとしては失格でしょう。
仮に単独の作品としてみた場合でも、あまり良くはなかったですね。
テキストは冗長でテンポが悪いですし、ストーリーも先が読めてしまい面白みがありません。
使われているトリックも一部ライターの過去作と被ってみえますし、楽しみようがない感じです。
全てが過去の遺産を食い潰して作られたようで、ライターの制作に対する姿勢に疑問を抱いたものです。
システムは簡易的なP&C式のADVとも言えるのでしょうが、システムの作り方や楽しみ方のベクトル的にも、語句によるコマンドではなく画面全体を用いた広い意味でのコマンド選択式ADVといった感じでした。
あとはこれに、EVEシリーズ伝統のマルチサイトとかがつくわけですね。
ADVはPCで発展してきたジャンルですので、ゲーム機でどのシステムが適しているのかは断言できません。
ノベル以外だとこうせざるを得ないのかなという意味では、比較的考えられていたようにも思います。
ただ、純粋にPCのP&C式やコマンド選択式とかと比べると物足りないのも確かなので、大きなポイントにはならない感じでしたね。
<評価>
う~ん、何ていうか、仕切り直しどころかとどめを刺したような作品でした。
私は『ADAM』より後の続編をプレイしていないので、それらとの比較はできません。
しかし、初代・lost one・ADAMとプレイしてきた中では、もっとも酷い内容でした。
まぁ、それでも本作が全くの新規の作品でしたら、凡作か或いはギリギリ佳作もありえたように思います。
本作はEVEシリーズを知らない人の方が楽しめるでしょう。
しかし続編を名乗って、従来のキャラをそのまま用いて出されているわけですからね、続編としての評価は避けられません。
よって、その分のマイナスと過去作との区別の観点から、厳しいかもしれませんが駄作としておきたいと思います。
ランク:E(駄作)
Last Updated on 2024-07-06 by katan
コメント
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「ZERO」「TFA」もプレイしてきた者としてはあまりに失望し過ぎて
今作が「若干」良くなったと思えてしまう程でした。
毎回「あれから何年後」とか余計な設定して縛るから
物語が広がらないと思っていたのでリセットは好感持てましたし
サイトチェンジのタイミングも出て詰まりにくくなっているので
この辺は初代よりストレスは感じないでしょうね。
ただあれではほぼ一本道と変わらないですが。特に後半。
でもやはりマイナス面の方が圧倒的に多い訳で仰る通り
キャラの性格も変わり、ライターさんが以前から練ってたネタを
EVEで強引に後付けされた感じがしましたね。
シナリオも説明部分にテキスト量を割いて
ヒューマンドラマの部分は希薄であまり印象の残りませんでした。
これはライターさんの個々の持ち味や
演出の仕方の問題でもあるのですが…。
そしてついにこの作品で毎回あったアニメーションも無くなってしまい、
代わりの演出も特に無くひたすら紙芝居を見せられる感じでした。
私はこの後に出るPSP版初代再リメイクで完全に見限りましたが
製作者はもう搾り取るだけ搾り取る
「金儲けの道具」としてしか見てないのでしょうね。
おそらく過去購入層は諦めて新規購入層に搾って
あれこれ改竄したようですが結局裏目に出て
「この程度なら他にいくらでもあるじゃん」
「ホントにこれが不朽の名作なの?」
とバッサリ切り捨てられたようです。
新たに抜擢された原画家さんや声優さんも実力はあるのに
このシリーズに関わったために叩かれてしまった
被害者と言えるのかもしれません。
新旧ユーザーに見捨てられたこのシリーズはもはや哀れに思います。
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こんばんは、コメントありがとうございます。
>「ZERO」「TFA」
この2つは、私は未プレイなんですよね。
ADAMでもういいやって思ったのと、それでも明らかに評判が良くなっていたらプレイしようと思ったのですが、そうでもなかったもので。
案の定駄目だったようですね。
>物語が広がらないと思っていたのでリセットは好感持てましたし
サイトチェンジのタイミングも出て詰まりにくくなっているので
ストーリー面でもシステム面でも変化をつけようとしたということで、だからこそプレイ意欲も沸いたんですけどね。
演出面も含めてよりノベル風になりノベルとの垣根が曖昧になったことで、おっしゃる様に「ひたすら紙芝居を見せられる感じ」になったわけで、個性が更に失われてしまったのが残念でした。
PSP版は絵で引いてしまいました。
いや、原画さんの画風そのものは嫌いではないのですが、これはEVEには合わないだろって思ったもので。
でも、見た目を変えるのは仕方ないとしても、中身も変わってしまったんですかね。
それではもう、別の作品になっているとしか思えないのですが…
まぁ、2作目からは作る人が違っていますからね。
2作目以降は金をかけた同人みたいな感覚で別物と考えるのが一番かもしれませんね。