『戦国の黒百合 ~ふたなり姫と敵国の姫君~』は2012年にWIN用として、言葉遊戯から発売されました。
戦国の黒百合シリーズ第2弾。
この年の作品の中では、シナリオに関しては最高峰の作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
作品紹介は以下の通り。
「戦国時代。謎の薬によってふたなりと化したお姫様が、強烈な性欲に抗えず欲望のままに少女を凌辱していく。
今回、ふたなり姫の餌食になってしまうのは、敵国から連れてこられた高貴なお姫様。そして・・・。
史実にオリジナルキャラクター等のアレンジを加えた独自のストーリー。
ふたなり姫が、敵国の姫君の誇りを踏みにじっていく様子を存分にお楽しみ下さい。
――さぁ、花を散らそうか。」
<感想>
まず前提として、本作は戦国の黒百合シリーズの第2章になります。
第1章である『戦国の黒百合 ~ふたなり姫と隷属の少女~』の続き物ですので、必ず第1章からプレイしてください。
1章をプレイ済みという前提で話をするならば、構造面での細かい部分は省略してみ構わないですかね。
ノベル系のADVで、分岐の構造とかも前作と同じですし。
さて、「百合」と「ふたなり」と、「戦国時代」が特徴となっているこのシリーズ。
主人公は女性でありながらも猛々しい性格をしていますので、主人公の朔姫に強く感情移入すると、あまり百合って感じはしないのかなと。
逆に主人公に犯されてしまうヒロインらの方に感情移入すると、百合っぽく感じられるのでしょう。
そうした傾向は1章同様ですね。
そのような内容なので、いずれにしろ百合としての恋愛描写がメインの作品ではありません。
核となるストーリーがあり、そこに女性同士の絡みがあるので、個人的にはストーリーを楽しみつつ、そこにレズ描写の混ざった作品という感じで把握しています。
今回はストーリーが大きく前半と後半の二つに分けることができ、前半では敵国から高貴なお姫様が預けられ、朔姫がその世話役を担うことになります。
流れとしては、気位の高いお姫様を屈服させようという展開になりますので、ノリは調教ゲーに近いものがあります。
この高貴なお姫様である「蕗」がまた、実に芯の強い女性でして、簡単に屈しないのですよ。
こういう芯が強く、中々折れない女性キャラは良いですね~
しかも聡明だから、終盤で自分が朔姫に惹かれ始めたことを意識しつつも、自分が反発するから玩具として朔姫に興味を持たれているにすぎないと理解し、最後まで表面上は屈しないのです。
素直になれず表面上は抗っているのに、実は内面的には少しずつ互いにつながっていく。
安易な、或いは必要性の感じない最近のツンデレには辟易しているところですが、本作のような関係性は良いですね~
途中の描写が良いものだから、更に良く感じられます。
タイトルからすると、この2人の関係の話で終わるのかと思ったのですが、蕗が登場しメインとなる話は、本作の前半部分になります。
後半はもっと大枠での全体のストーリーが動き始め、場面が変わります。
兄である信長のために暗躍し続けた朔姫。
しかしその信長の側には、信長の愛する側室・吉乃と、正妻の濃姫の姿が。
自分はもう用済みなのか・・・
朔姫は自身の存在意義について苦悩することになります。
そして最後は朔が旅立ったところで終わりましたので、これは3章の発売が待ち遠しいところですね。
3章へ向けて大きくストーリーが動きだしたのが今作であり、この後半部分の印象もあって、もちろん百合(レズ)やふたなり云々という個々のシーンも良かったのですが、それ以上にストーリー重視作品として、ストーリーが楽しかったという印象が強いです。
本作では、場面が変わったことで、新たなキャラも登場します。
しかも良いキャラばかり。
「濃姫」はロリになっていてビックリしましたが、凄く可愛いですね。
ちなみにHシーンもあります。
藤吉郎の妻である「ねね」も登場し、馬鹿夫婦っぷりが最高でした。
全体的に落ち着いたキャラが多いだけに、忍である「棘」の軽さもアクセントになっていて良かったですし。
ストーリー・キャラ共に満足でした。
グラフィックについては、基本CGは18枚になります。
価格が1365円ですので、価格からすればむしろ多い方かと。
単に私の好みと言えばそれまでですが、今回もCGは非常に綺麗ですし、良かったです。
まぁ、H以外のイベントシーンのCGの割合がやや少なく感じましたが、1枚1枚が満足する内容なので、十分といえるでしょう。
<評価>
同人のストーリー重視の長編ノベルにしては珍しくフルボイスだし、価格のわりにはボリュームもCGの量も多いので、コスパ的にはかなり優れた作品なんですよね。
魅力的なキャラは次々に出てきますし、ストーリーもかなり良かったですし。
全ての面で高水準であり、2章という枠組みの中では、不満点は全くないです。
当初は完結しないことを過度に気にしすぎた評価をしていたのですが、蕗にまつわる話など、エピソード単位では完結していますしね。
その終わった範囲で十分に満足できたわけですから、これは素直に評価しても良いだろということで、名作とします。
まぁ主観的には、傑作クラスの作品でもあり、この水準をキープしたまま最後まで行けば、完結編はまず傑作扱いするのでしょう。
先が気になる作品、これが完結するまでゲームは止められないって感じる作品も、最近はほとんどありませんので、そういう意味でも個人的に貴重ですし。
とりあえず、できるだけ早く3章を出して欲しいものですね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-11-25 by katan
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