『エデンの香り』は1996年にPC98用として、JASTから発売されました。
老舗ブランドJASTが製作した、オッサンが主人公の探偵ものになります。
<ジャスト>
私は、80年代後半の作品は美少女ゲーム、90年代までの作品はアダルトゲーム、ゼロ年代以降の作品はエロゲと呼ぶことが多いのですが、呼び方はなんであれ、それらの作品の歴史に興味がある人ならば、一度は聞いたことがあるのが、ジャストというブランドなのでしょう。
ここを何度も訪れている人であれば、今更かもしれませんね。
そんなジャストですが、80年代こそ大手ブランドとして、名作や良作を輩出してきたものの、次第に存在感が薄れていきます。
『スーパーウルトラむっちんぷりぷりサイボーグマリリンDX』のように、94年頃には良作も作っていたのですが、作品の出来とかよりも、当時の流行に乗り遅れだしたことも大きかったのかなと思います。
そんなジャストが96年に発売したのが、本作になります。
<感想>
本作は探偵もののADVになります。
あらすじとしては、主人公である私立探偵のジョーが、旧家で起きる連続殺人事件に巻き込まれることから始まります。
主人公はオッサンです。
オッサンが主人公のマルチエンディングの本格的な探偵もの、こういうジャンルが好きな人は、一定数いると思いますし、好きな人であれば、本作もおそらく楽しめるでしょう。
また、本作には、登場人物の紹介も用意されていて、それだけ多くのキャラが登場し、複雑な人間関係が描かれています。
人間関係が複雑な推理ADVも、80年代には多くありましたし、きっと好きな人も一定数いると思います。
総じて、特別秀でているとまではいえないにしても、この手のジャンルが好きな人を満足させるだけの内容を持った、十分に面白い作品だったと思います。
たぶん、こういうのが好きな人はいるはずですし、雑誌とかでも高評価を得ていた作品なのですが、如何せん注目度が低かったですね。
発売された時代が悪かった、つまりちょっと遅かったのかもしれません。
96年は、恋愛ゲーブームで、萌えブームに入っていましたから、オッサンが中心のシリアスな探偵ものは興味を持たれなかったのでしょう。
余談ですが、そう考えると、『EVE burst error』なんかも、あと一年発売が遅ければ、知名度は下がっていたかもしれません。
面白い作品であることはかわらないとしても、GAOGAOシリーズのように、知る人ぞ知るという立ち位置で終わった可能性もあります。
<ゲームデザイン>
世の中の流行とかけ離れていても、場合によっては、もう少し本作の知名度はあったかもしれません。
本作の知名度が低いのは、そのゲームデザインにも原因があったように思います。
本作は、コマンド選択式のADVになります。
しかも、屋敷内の各部屋を移動するタイプの、コマンドの多いタイプの作品になります。
他方で、本作は、マルチエンディングの作品でもありました。
昔の作品なので、記憶が曖昧になっているのですが、確かストーリーにより犯人とかもかわっていたように思います。
コマンド選択式で面白い作品は幾つもありますし、マルチエンディングで面白い作品も幾つもあります。
ただ、マルチエンディングの場合、ほとんどがノベルゲーなのは、コマンド選択式で分岐やEDの多い作品を作ってしまうと、攻略が非常に難しくなってしまい、作品の面白さが、かえって損なわれてしまうからです。
本作は、そういう面倒な仕様になっているのです。
ましてや96年なんて、アダルトゲームの易化が進み始めた年です。
この時期にこのシステムで出すこと自体、流行とかけ離れすぎです。
こうしてみると、本作が埋もれてしまうのも、仕方ないのかもしれません。
<感想>
総合では佳作とします。
今はこういう雰囲気の作品は、ほぼ絶滅してしまいましたので、かえって新鮮な感じでプレイできるかもしれません。
そのため、この手のジャンルに興味があるならば、検討する価値があるのではないでしょうか。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-11-22 by katan
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