『ドラゴンナイト4』は1994年にPC98用として、エルフから発売されました。
初期のエルフの看板シリーズの最終作であり、同時にシリーズ最高傑作でもありました。
<概要>
エルフを代表するドラゴンナイトシリーズの4作目になります。
もっとも、実質的には外伝のような作品であり、様々な点で過去の3作とは異なります。
まずストーリーに関しては、1~3ではヤマト・タケルが主人公でしたが、4ではタケルとヒロインだったルナとの子供である、カケルが主人公になります。
次にゲームジャンルに関しては、1~3がRPGだったのに対し、4はSRPGになります。
また、いつの時代も売れる作品と内容的に優れた作品とは、必ずしも一致するとは限りません。
1が前者に当たるとすれば、4は後者に当たるのでしょう。
確か、1作目は10万本以上売れたはずです。
アダルトゲームで10万本以上売れた最初の作品は、もしかしたら初代ドラゴンナイトかもしれませんね。
もし10万本に届いていなかったとしても、それくらい売れた作品ということは間違いないです。
今でも、それだけ売れる作品は非常に稀ですし、そもそもPC普及率の低かった当時ならば、尚更凄いと言えるのでしょう。
1作目に関しては、肝心のRPGとしては大雑把な出来なので、それで後世に内容面で語り継がれることは少ないのですが、可愛いヒロインを用意したRPGとしては先駆的な作品でしたし、そこにユーザーが関心を抱いたから爆発的に売れたのでしょう。
だから内容はともかくとして、売れた理由も納得できるのです。
それに対して4は、これはこれで売れたはずですが、プレイ前の観点からは、1作目ほどのインパクトはないのでしょう。
しかし、プレイして初めて、その内容の良さから名作と語られるタイプであり、その点で1作目と大きく立ち位置が異なるように思います。
<感想>
本作をPC98の最高傑作に推す声も当時は少なからずありましたが、その最たる要因はストーリーにありました。
本作は旅に出たカケルの物語ということで、基本的にはファンタジーものになります。
もっとも、高く評価されたのはファンタジー的な部分ではなく、むしろSF的な側面にあると言えるのでしょう。
あまり説明するとネタバレにつながるおそれが高いのですが、簡単に言ってしまうならば、本作はループものになります。
タイムパラドクスやループを扱った構造が支持を得たわけですね。
広義のループものに該当しそうな作品は、探せば80年代から存在します。
しかし存在することと、面白いかは別問題です。
ループものが人気を得ることで、ゼロ年代にも多数のループものが出てきました。
その中には新規ユーザーの支持を得た作品もありましたが、私には大半の作品がもの足りませんでした。
その程度なら80年代から似たような物を何度も見たという経験が先走り、全く驚かないのです。
だから新鮮味を感じないゼロ年代のループものの大半に否定的なんです。
でも、例えばアニメでいうところの『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の様な、本当に優れた作品が80年代のゲームにあったかというと、私は咄嗟には浮かんできません。
ゲームのループものは幾つかあったかもしれないけれど、心底驚かされ凄いと思えた最初の作品が、このドラゴンナイト4だったのです。
ラストの展開もジ~ンときて、とても良いものだったけれど、それ以上に、ループがプレイヤーに示される、中盤の折り返し地点の展開が神がかっていましたね。
まさかの大どんでん返しに、思わず鳥肌が立ちそうになった記憶がありますから。
また、本作のこの仕掛けによって、同じ物語を「多角的」に捉えることができました。
そういう意味では、同じ年に発売された『DESIRE』と共通するかもですね。
いや、本作品は全くザッピングを伴わない分、より純粋な「マルチサイト」と言えるのかもしれません。
ザッピングなしに物語を多角的に捉えるということについて、つまりザッピングなしのマルチサイトというものが想像できない人は、本作をやると良いかと思います。
それと、本作のヒロインの中では、確かジーナが一番人気だったはず。
後のエロゲ市場では、萌えキャラとしてロリ系のヒロインが高い人気を得るようになっていきますが、あまり本作より前の時点までは、ロリ系が人気を得ていた印象もなかったように思います。
そう考えると、ロリキャラ人気という点からも、この作品が与えた影響は大きいのかもしれませんね。
<ゲームデザイン>
本作はSRPGであり、SRPGとしてPC98時代のエルフ作品を代表する作品なのは、まず間違いないでしょう。
ただ、ちょっと変則的でもありまして。
大概のS・RPGって、ストーリー部分はボタン連打の文章垂れ流しですよね。
感覚的にはノベルゲーと同じと言えるかもしれません。
『サクラ大戦』がストーリーを楽しむ部分にゲーム性を加味して、ADV+SLGって感じで発売し、それを斬新だと評価する見方もありますが・・・
それならば、少なくとも本作の方が先でしょう。
というのも、本作は、S・RPG+ADV(RPGのような移動タイプ)という作りでしたから。
こうしたADVパートにおけるゲーム性を充実させる作りは、ADV好きとしては評価したい部分であります。
少なくとも他のSRPGのような、ボタン連打でシナリオを読むだけというよりは良いと思います。
もっとも、純粋にSLGだけが好きって人には、ADV部分の充実はかえって煩わしく見えたかもしれませんけどね。
むしろ本作の場合、問題はSRPGとしての戦闘部分なのでしょう。
これも難易度は非常に高いので、難易度をゲーム性と考える人ならば、本作も文句なしに楽しめるでしょう。
しかし私は、そうは考えないわけでして。
本作のシステム自体はかなりシンプルであり、独創的な面白さはありません。
しかもストーリーの関係上、同じマップを2回やらねばなりません。
キャラの成長とかにやり込み要素で変化を示せていれば話は別ですが、このシンプルさで同じマップ2周はダルいです。
ここは私にとって、大幅な減点ポイントでした。
仮にADVなら、プレイのほとんどの時間を文章を読むことに費やします。
そのため、ストーリーやテキストの面白い時間が、ゲームの楽しい時間とイコールの関係になります。
しかしSRPGの場合、どれだけストーリーが素晴らしくても、実際にプレイヤーが費やしている時間の多くは戦闘部分です。
このS・RPGとしての戦闘部分が面白くないと、ゲームを楽しんだ時間に繋がりません。
普段ADVばっかの人は、たまにSRPGをやると、それだけでゲーム性も十分って判断するかもしれません。
でも、SRPGにはSRPGのゲーム性ってものがあります。
当時のPC98、特に一般PCゲーではSRPGは一杯ありました。
本作はそれらと比べて、残念ながら劣ることはあっても、明らかに優ってる部分はありませんでした。
難易度は高いけれど、シンプルすぎるのです。
簡単に言えば、プレイ時間の大部分は他のゲームより楽しめたり優れていたとは言えない時間なわけです。
これを素直に絶賛ってわけにはいかないでしょうし、私が世間より本作を低く捉えているのも、多くはこの部分に起因します。
<グラフィック>
業界でもトップクラスだった、エルフのグラフィック。
その塗りのレベルの高さは本作でも健在であり、それはこの『ドラゴンナイト4』も同様です。
芸術の域に達しているとも言えるでしょう。
しかし私にはこの頃から、原画の竹井さんの絵が崩れかけて見えるのです。
『同級生2』程ではないにしろ、兆候が現れてきたって感じでしょうか。
まぁ、塗りも含めたトータルでは十分に長所と言えるのですが、全盛期の竹井さんの作品ほどのインパクトは感じられなかったと、そんなところでしょうね。
<評価>
驚愕の展開に、絶妙な構造。
そのストーリーの持つ魅力により98ゲーの最高傑作にすら挙げる人もいるほどの人気作品でした。
エルフ作品内だけでなく98時代のアダルトゲー全体を通じても、アンケートをとったら上位に入ってくるほど評価された作品です。
名作であることは、間違いありません。
ただ上述した理由により、世間の評判ほどには、私は評価していない方なのでしょうね。
まぁ、いろいろ書きましたが、あくまでも世間の評価ほどには~ってだけにすぎません。
かなり楽しんだのも事実だし、胸を張って名作と言える出来なのも間違いないでしょう。
あの中盤の展開は、ぜひ多くの人に体験してもらいたいものですね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-10-12 by katan



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