『堕落の国のアンジー ~狂界の牝奴隷達~』は、1996年にPC98用としてPILから発売されました。
長いこといろんなゲームをやってまいりました。
中には珍ゲーだの奇ゲーだの言われている作品もありました。
もっとも、そんな中にあっても更にぶっとんだゲームもあるわけでして。
<概要>
私がこれまでに遊んだ中でも、奇ゲーの最高峰に間違いなく入るであろう作品が、この『堕落の国のアンジー』だったりします。
一応題名から分かるように、不思議の国のアリスのパロディっちゃあパロディなのですが、微塵もそんなのは期待しないでください。
説明書には「変態系スカトロお笑いSMゲーム」って書いてあったはずですが、まさしくその通りです。
ゲームを構成している要素は変態とスカトロとSMであり、それをギャグで陽気に楽しく扱った作品です。
<総論>
とにかく、ゲーム内に出てくるのは変態ばかりです。
それだけでも頭がおかしくなりそうなのですが、特に力が入っているのがスカトロとSMですからね。
これはアダルトゲームをプレイする人のなかでも上級者向けというか、苦手とする人も多い分野でしょう。
ゲームをプレイしているとテンポ良くSMやスカトロが出てくるし、しっかりとグラフィックも用意されています。
ゲームとしては良く出来てるのでしょうが、普通の人はまず間違いなく引くでしょうね。
そんな変態ワールドが全快なので、一見するとプレイはきつそうにも思えます。
しかし、テンポ良く随所に笑える展開が用意されているものだから、気付くとズルズルとプレイしちゃうんですよね。
任天堂のあの兄弟をパロったマラオとイジールとか、思わず笑ってしまうキャラも満載でしたし。
そうやって次第に次はどんな展開が待っているのだろうと気になりだし、気付くと自分も変態ワールドにずっぷりと染まっているわけでして。
これはある意味、麻薬のようなゲームでしたね。
おそらく、このゲームが好みのど真ん中って人はほとんどいないでしょう。
私もノーマル(だと思う?)なので、うぇ~ってなる展開も多いです。
でも、せっかく年齢制限して作られたアダルトゲームなんだから、アダルト向けってのを存分に活かしたゲームがあっても良いじゃないですか。
2番煎じや3番煎じな似たようなゲームが氾濫する中にあって、ここまで存在感を見せ付けたわけですからね。
その個性は最大限に評価したいものです。
<感想>
ゲームジャンルは、一応RPGとなるでしょうか。
ADV扱いでも構わない気もしますが、敵と遭遇してコマンド選択式のバトルがあって、レベルや能力値の概念もありますからね。
一応ここはRPGとしておいた方が良いのでしょう。
もっとも、RPGとはいっても並のRPGとは全然異なります。
レベルではなく変態レベルだし、能力値は「サド進行度」だの「スカトロ耐久度」だの変なのばかりです。
戦闘も戦うと言うよりはむしろ相手との会話であり、具体的には相手の変態につきあうか否かってことなんですよね。
そのため、能力値やレベルさえなければ、RPGっぽいレイアウトのADVでも良いのかなとも思います。
一見するとふざけたようなシステムですが(実際ふざけてますが)、これがこの世界観にはピッタリあってましたね。
何よりゲーム展開が終始テンポ良く進むってのは大きいです。
テンポの悪いRPGはそれだけでやる気がなくなりますからね、そう考えると意外とゲームとしてよく出来ていたのではないでしょうか。
まぁ、そうは言っても明らかに普通のRPGとは違いますからね。
いわゆる普通のRPGを期待しちゃうと楽しめないおそれも大きいので、そこだけは気をつけておいてもらいたいですけれど。
サウンドも無駄に良く出来ていましたし、グラフィックもしっかりと出来ていたと思います。
欲しいところにCGはありましたし、好みの絵柄と違うとはいえ変態ワールドは上手く表現できていましたからね。
いくらテキストが良くても絵がないと半分も伝わらないでしょう。
本作のイメージは、このグラフィックなしにはありえなかったでしょうね。
もっとも、キャラデザはこれはこれで上手いのかもしれませんが、どうしても濃いがために人は選びそうです。
ましてや今の萌え絵全盛時代では、キャラデザだけで駄目って人も少なからずいるでしょうね。
それに加えてスカトロやSMの絵だらけですから、おそらく普通の人には駄目な気もします。
少なくとも、食事しながらのプレイは避けたいものです。
ストーリーはあってないようなものですが、この変な世界を見事に構築したわけですし、テキストもパロディを混ぜつつもプレイヤーをひきつけてたわけですしね。
ファンタジー作品としては、総合的に見てみると結構良く出来ていたのではないでしょうか。
<評価>
総じて、題材が題材だけに間違いなく絶対に人を選びます。
ただ、偏見を無くして挑めば、出来自体は非常に秀逸な作品だったのではないでしょうか。
萌えゲーの存在は否定しませんし、主流であることも一向に構いません。
しかしそれだけでは、それに興味のない人は近付かないでしょう。
全然毛色の異なるゲームが登場すれば、仮にその作品自体の売上は少なくとも、新規のプレイヤーを獲得することにもつながります。
業界の幅を広げるためにも、もっともっとこういうゲームが出て欲しいものですね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-11-17 by katan
コメント
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やりました、やりました、私も。
SEEK以来、PILが気になるメーカーだったこともありますが、怖い物見たさで買いましたね。
いやもう中身は想像以上に凄まじい出来で、私もそういう趣味はないものの、ゲラゲラ笑いながらやってた記憶があります。
恐らくPILとしても「売れる」と思って出したソフトではないと思うんですよ。
といって、ニッチを意識して狙ったものでもなかったように思います。
もっと野心的というか「こういうゲーム(テーマ)もあるんだぜ」という意思表示だったと思うんです。
そういう意味で革新的だったし男気を感じたゲームでした(ゲイという意味ではない(^^;))。
どうでしょうかね、今はこういうの出せないでしょうね。
売れないのを承知でこういうのを出すようなメーカーもないでしょうし、ある意味凌辱ものよりも激しいですから、何かの拍子でマスコミに取り上げられたら総攻撃受けそうですしね。
どっかで見たようなキャラやシナリオばかりの今のゲーム業界では、もうこういうのは期待できないのだろうなあ。
思えばこの90年代からいちばんPCゲームをプレイした時代だったなあ…。
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名前がなかったけど、こちらもsawamuraさんであっているのかな?
> 恐らくPILとしても「売れる」と思って出したソフトではないと思うんですよ。
> といって、ニッチを意識して狙ったものでもなかったように思います。
> もっと野心的というか「こういうゲーム(テーマ)もあるんだぜ」という意思表示だったと思うんです。
> そういう意味で革新的だったし男気を感じたゲームでした(ゲイという意味ではない(^^;))。
まさにこれにつきますね。
売れる主流路線以外と言うと、すぐにニッチを意識した特定属性と結びつけて考える人が多いのですが、私が常に求めているのはそういうものではなく、こういうのもあるのだという既存の枠に収まらない、想定の範囲外のゲームなんですよ。
それが、若い人には判ってもらえない。そして安易にもう出尽くしたなんて言うわけで。
異分子を混ぜると叩かれるから出しにくいというメーカー側の事情もありますが、ユーザーの方も思考停止状態に陥っているので、ますますこんなゲームは出てこないのでしょうね。
> そういう意味で革新的だったし男気を感じたゲームでした(ゲイという意味ではない(^^;))。
全くもって同意見ですね。
作り込みとかネタの関係でエルフとかより知名度は劣っていましたが、常に新しいことをしてやろうって姿勢が見て取れたので、非常に好きなメーカーでしたね。
PILのゲームも、同じ会社のJAMのゲームとかもよくプレイしました。
アイデス時代を含めれば、田所さんのゲームは結構やったように思います。
もっといろんなゲームを作って欲しかったのですが、恋愛ノベルを求める後の時代とはそぐわないのも確かなのでしょうね。個人的にはとても残念です。