サイバーイリュージョン

1995

『サイバーイリュージョン』は1995年にPC98用として、パールソフトから発売されました。

今は少なくなったけれど、当時はわりと見かけた、仮想空間を扱ったSFものでした。

<概要>

本作には仮想空間の「サイバーネット」というのがあり、これはデータ化して実体を仮想空間に送るというものでした。

主人公はサイバーネットを管理する側の人物でして、ハッカーからの妨害に対処する国際サミットを成功させようと、現実とヴァーチャル世界を行き来することになります。

ゲームジャンルは、コマンド選択式とポイント&クリック式の中間っぽいですが、感覚的にはアイコン選択式のADVが一番近いでしょうか。

<感想>

PC98時代というか、WINDOWSになっても90年代はSFものも結構多かったですが、SFの範囲内における細かい流行とかは時代によって違っていました。
本作が発売された95年は、仮想空間であるとか、ヴァーチャルリアリティであるとか、何かそういう題材の作品が多かった年でしたね。
アダルトゲーム内だけでも何本もありましたし、一般ゲーでも幾つもあったわけでして。
何だか昔のことなので時代背景的なことは忘れてきたのだけれど、世間一般的にも関心が持たれていた時代だったのかな。
そういや一時期はヴァーチャルリアリティとか何度も耳にしたのに、最近はあまり聞かないですからね。
というわけで、題材的には今のアダルトゲームからすれば珍しいのだけれど、当時としてはSF作品の中では比較的オーソドックスな部類だったのかなと。

もっとも、何かずば抜けた名作があって、それを真似て群がった2番煎じなら辟易するところだけれど、世間的な関心もあり同時期に重なった結果とも言えますし、決定的な代表作というのもまだ出ていなかったこともあり、自分の関心も重なってネタの面でも普通に楽しめた感じですね。

問題があるとすれば、むしろゲームシステム部分なのかなと。
本作はコマンド選択式みたいにコマンドが表示され、そのコマンドを選んだ後に画面内をクリックするタイプであり、それで上ではアイコン選択式が一番近いと書いたわけです。

「調べる」、「どこを?」という場合には、コマンド後に別途画面内をクリックするのも理解できるのですが、一人しかいないキャラと会話するのにも2段階の過程を経るのは、単純に2度手間でしかないですからね。
純粋なコマンド選択式であるか、或いは直接画面クリックで進めるP&C式なら問題はないのだけれど、この手のアイコン方式には必要性を感じられず、個人的にはあまり好きではありません。

それでも90年代頭くらいまでなら珍しさも伴い許せたのですが、本作は95年発売ですからね。
ほんの数年の間にADV事情もいろいろ変わってくるわけで、特に90年代半ばにはMYST系ADVの台頭など、ダイレクトなクリックで進行する作品が増えただけに、もう少し工夫のしようもあったのかなと思ってしまいます。

<評価>

総合では佳作としておきますが、最近は見かけなくなってきた題材だけに、案外今でも楽しめるタイプの作品かもしれませんね。

CGも緻密で良かったですし、そのCGを囲む枠とかも迫力があって、しかも作品にも合っていて良かったですし、再プレイすれば評価も合がるかもしれません。
物語的には普通に楽しめただけに、システム面で少し煩わしく感じてしまうのが勿体なかったです。

ランク:C(佳作)


サイバーイリュージョン

Last Updated on 2024-11-01 by katan

コメント

タイトルとURLをコピーしました