『二重影』は2000年にWIN用として、ケロQから発売されました。
アダルトゲームでは珍しい時代劇ものですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
具体的には、場所移動も伴ったタイプになります。
あらすじ・・・時は寛永17年、戦国の余韻も未だに消えず、ちまたにあるじと食を求める浪人が溢れ、旗本の辻斬りが横行する時代。
そんな死臭漂う、闇の世を一人の異形の剣士が彷徨する。
その名、二つ影双厳。二つの影を持つ剣士。二つに引き裂かれた影は呪われし者の印。
一つの影は人間の、もう一つの影を人間以外のものの、その両義性故に、表からも裏からも狙われ、彼が歩んだ道は肉塊と血反吐で埋め尽くされる。
その呪われた血故か、あるいは偶然か、双厳は自分の呪いに類似した恐るべき島に赴く事となる。その名、淡炎島。
この古事記に出てくるという、形を持たない面妖な島と同名の島で、双厳達を襲う奇々怪々な現象!
生まれる子供がすべて双子であるという島。双子の片方はかならず間引かれるという島。
その子供の数だけの鳥居に埋め尽くされている島。そこで行われる呪われた儀式とは?
<感想>
古事記なども扱った伝奇ものですね。
こういう設定の作品は、それ以前にあったかな・・・
なんちゃって時代劇みたいな舞台だけそれっぽいのとか、キャラだけ歴史上の人物を用いたってのはあったけれど、ストーリー重視としては非常に珍しいと思います。
格別に優れているというのではないだけれど、普通に読んでて楽しかったですし、こういうのが好きならまず楽しめるのかなと。
ただ、エロが薄い上に、ヒロインとの個別ルートが似たような展開なので、ぶっちゃけこれアダルトゲームの意味はあるのかなと。
その点は少し気になってしまいますね。
<ゲームデザイン>
ブランド側の説明を見てみると、何だかいろいろシステムも書いてあります。
それで私も最初は興味を持ったわけだし。
しかし結局のところ、画面下部にテキスト欄を置く形式と、全体をテキストで覆う形式を併用したものでしかなく、普通のノベルゲームと言えるでしょう。
「~システム」って立派そうに書かれると、何だ~ってガッカリしてしまうのだけれど、場面に応じて適した表示に変更するということなので、この姿勢自体は良かったと思います。
まぁ効果的に使用することができていたかとなると、少し疑問も残りますけどね。
表示形式に関しては人によりプラスにこそなれ、マイナスに感じられることはないと思うのですが、問題があるとすればゲームシステムなのでしょう。
大雑把に言えば上記のようにノベルゲームになるのでしょうが、本作は場所移動を伴いますし、しかも数が多い上に総当たりに近いわけでして。
それでいてコマンド選択式の良さ面白さは削られているので、つまりはコマンド選択式とノベルゲーの、悪い部分を掛け合わせたような作品なのです。
そこに既読スキップがないなど、細かいシステム周りの弱さが加わるものだから、人によってはかなりストレスを感じてしまうおそれも出てくるのかなと。
<グラフィック>
絵と物語があまり合っていないように感じてしまうのは、これはこれでケロQ作品の特徴と言えるでしょうか。
どうもヒロインが浮いているんですよね。
萌え絵ばかりになり始めたゼロ年代前半にこれだったら、おそらく酷評していたのでしょう。
本作の出た2000年時はまだ絵柄の幅もあった関係で、たまにはこんな変化球みたいなのも、これはこれでありかもと思ってプレイした記憶があります。
まぁ、今だったら逆に仕方ないかと割り切っているので、受ける印象にも時期的なものがあるのでしょうが、でもやっぱりイメージは統一された方が良いかな。。。
<評価>
今でもあまり他と被らない作品ですので、こういうジャンルが好きなら楽しめる作品だと思います。
ただ発売時の段階で既に遅れていると感じられるシステム周りであるとか、ホモな展開が混ざっているとか、ヒロインとの恋愛やエロは期待できないとかがありますので、その辺が気になる人は注意した方が良いかもしれません。
むしろこういう作品は、女性プレイヤーの方が合うかもしれませんね。
題材的には面白い作品ではあると思うのですが、ちょっといろんな部分で引っかかった作品でもあり、少しもったいなく感じてしまいました。
いっそのこと一般ものの純粋ノベルにして、美少女要素を廃してしまった方が、エロゲユーザーにはそっぽを向かれるかもしれませんが、作品としては面白くなったように思いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2025-01-27 by katan