『マリアに捧げるバラード』は1995年にPC98用として、ハードカバーから発売されました。
『ネクロノミコン』に続くハードカバーレーベルの第2弾となるゲームでした。
<概要>
F&Cの前身たるアイデスには、フェアリーテールというブランドがありました。
そのフェアリーテールが硬派な作風のシナリオ重視の新レーベルを作り、それがハードカバーだったのです。
本作はそのハードカバーの第2弾となる作品でした。
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
今回の舞台は現代のアメリカ。
冒頭から両手首切断という痛いCGから始まるのですが、華やかな映画界を舞台としながら、エグイ連続殺人が次々と起こるという内容でした。
本作の主人公はニューヨークの探偵で、大女優から生き別れの娘を探して欲しいと依頼されることから始まります。
そして、それが次第に連続殺人に絡んでいくわけですね。
<感想>
何と言うか好き嫌いは分かれそうですけどね、エグイ殺人シーンが結構ありますし、要所要所でのインパクトは大きかったです。
・・・いや、違うかな。
確かにインパクトはあったのだけれど、それだけなら当時は他のゲームにもあったわけで。
それ以上に説明しにくい嫌な空気、鬱な雰囲気が、ある意味最大の特徴だったのかなと思ったり。
そこら辺を敏感に感じ取った人は、好きか嫌いかは別として、何年経っても忘れられないような印象を抱いたのではないでしょうか。
むしろ問題があるとすれば、それはシステム面になるのでしょうか。
『マリアに捧げるバラード』はコマンド選択式のADVです。
このフラグ立てがやや面倒で、特に開始時などキャラが大勢いる場面では本当に面倒でした。
まるで80年代中頃までの、リバーヒルとかの一般PCゲーの推理モノをやっているような、そんな気分になってきましたからね。
もちろん、その頃のADVの形式が好きならプラスになるでしょうから、ここも好み次第なのでしょうけどね。
その反面、高速にテキストを進められたりするので、細かなシステム周りは良かったのでしょう。
その辺の兼ね合いで苦痛に感じる人とそうでない人が分かれそうですが、いずれにしろ良くも悪くもやや古臭さは否めなかったですかね。
<評価>
総合ではギリギリ良作ってところでしょうか。
部分的には良い面もありましたし、面白い作品ではありました。
ただ、もう1つ突き抜けていなかったのかなと思うわけでして。
それと同じ良作でも前作のネクロノミコンより劣る感じは否めないですし。
まぁ、個人的な感想はそんなところですが、とにかくエグいというか、鬱な作品ですからね。
あの独特の雰囲気は得がたいものですし、結構忘れられない人もいるかと思います。
好き嫌いがはっきり分かれるタイプの作品かもしれませんが、その類の作品が好きな人ならばおそらく楽しめるのではないでしょうか。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-10-29 by katan
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