『ショコラ ~maid cafe “curio”~』は2003年にWIN用として、戯画から発売されました。
今にしてみれば、2003年らしい作品といえるのでしょうね。
<概要>
ゲームジャンルは、大枠としてはノベルゲーなのでしょうが、細かくみると、マップ選択式ADVになります。
あらすじ・・・
父子家庭で育った主人公に、父の再婚で新たな家族が出来た。
いきなりその事実を知らされた主人公。
おまけに父と母は新婚旅行で3ヶ月かけて世界を一周してくるという。
父が経営していたアンティーク喫茶店の代理店長まで任され、会ったばかりの義理の妹すずとの同居生活も始めることになった。
いきなり始まった新生活に、主人公は困惑しきり。世間知らずの少女、美里と運命的な出会いを果たすわ、すずは寂しいと言ってベッドに忍び込んでくるわ・・・
その他、元同級生や、幼なじみ、喫茶店のスタッフなど、3ヶ月の間に、主人公は様々な女性と知り合い、恋に、仕事に楽しい生活を送ることに。
<総論>
自分のエロゲ歴も長くなったよなとか思いつつも、その歴史の中で記事を書いている時点で最も酷い時期が2003年でした。
それは必ずしも個人的な印象だけではなく、客観的な数字としてもハッキリ出ています。
まぁ、エロゲ売上の上位100本くらいまでを細かく分析すれば、実際には2002年にエロゲバブルは崩壊していたのでしょう。
(2002年の総売上は多かったけれど、それはDVD移植版とかが出た時期も重なったことで、前年までの作品が売れていたのであり、実は2002年の新作の売上は既に前年より減っているのです。)
でも、そこに気付けた人はまだ少なくて、よりハッキリと分かるようになった、すなわち、これまで上昇し続けていたエロゲの売上が明確に下降に向かい、エロゲバブルが崩壊したのが2003年なんですよね。
(なお、そもそも2000年頃から2002年にかけて、上昇したということを前提にした意見は見るものの、肝心のデータを私は見たことがないのですが、一応好意的に解釈し上昇した前提で書いてます。)
そんな中、男性向けエロゲでの数少ない収穫が、個人的には丸戸さんの名前を覚えたこととなるのでしょうか。
(もっとも、あくまでも、読みやすい楽しい日常パートを書ける人だなとの認識であり、ストーリーは80年代とかの作品の模倣ばかりで独自性がないことから、才能的に凄いという印象は一度も抱いたことがなく、そういう意味では一部の人との温度差は激しいのですが・・・)
また、2003年は何故かお店ものが増えた時期でもありました。
これは別に新しい流れでもなくて、だから個人的には、何で今頃またお店ものが増えてんの?という印象でしたが。
とりあえず私の印象を抜きにすれば、お店ものが再流行の兆しを見せた年だったのでしょう。
というわけで、今になって振り返ってみれば、丸戸さんの書いたお店ものということで、本作は2003年らしい作品と言えるように思うのです。
<感想>
さて、肝心の中身なのですが、お店を舞台にした作品で、ストーリー自体に特に目立ったところはないのかなと。
ただ、さすがに丸戸さんというか、テキストは楽しかったですね。
今はそんなに好きなライターでもないので、この頃が一番純粋に楽しめていたように思います。
問題があるとすれば、システム部分になるのでしょう。
細かい部分で不便な作りであり、私はあまり気にしないですが、システム周りに煩い人だと楽しめないおそれはあります。
また、本作はマップ上から移動先を選ぶタイプの作品であり、お店の店長代理という立場から、単にヒロインを追いかけるだけではなく、店内の業務もこなさなければなりません。
つまり、ここでちょっとしたゲーム性を出そうとしたのでしょうし、ここが上手く機能していれば私は絶賛していたのでしょうが、実際にはあまり上手く機能しておらず、単に面倒な作業が増えただけに感じてしまいました。
<評価>
システム面などで弱い部分もありますが、全体としては何も考えずに普通に楽しめる作品ですね。
個人的には同年の丸戸作品ならば、『FOLKLORE JAM』の方が圧倒的に好きなのですが、一般的かつ多数派の萌えゲユーザーには、こっちの方が合いやすいのかなとも思いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2025-08-25 by katan



コメント
>2000年頃から2002年にかけて、上昇したということを前提にした意見は見るものの、肝心のデータ
よく貼られるソフ倫の審査実績では?
ttps://www.sofurin.org/htm/about/results.htm
そのデータは、新作以外も含まれているのでは。
特にゼロ年代前半は、旧作のDVD版が多数発売され、ファンが保存用にDVD版を購入というケースが多数ありました。
そのため、そのデータの数字から、市場の特に新作の勢いを読み取ることは無理があるように思います。
すれ違いに気づきました
私は「2002年は再販に近いDVD版と完全新作を合わせた数字になっている」という指摘はこのブログを見て初めて知り、実際プロップ通販の売上だけを見ても2002年にDVDの実質的な再販タイトルがいくつか含まれています。
ttps://www.prop.gr.jp/main2.asp?ino=23&r_all=2002
「2000年頃から2002年にかけて、上昇した」は再販的なタイトルが含まれていることを無視して語られており
「ソフ倫売上だけを見るなら2002年がピークだが、実質的な再販タイトルも内訳に含まれているため、新作が一番売れていた年とは限らない」というのが実際ですね。
そもそも、デジクロ等により、エロゲの売上数がおそらく一番正確に把握できるのが、2000年~2006年になると思います。
その各年の上位100本の販売本数を比較すると、多い方から順に下記になります。
2001年>2002年>2000年>2004年>2005年>2006年>2003年
また、上位20本に限定しますと、下記になります。
2000年>2002年>2001年>2004年>2005年>2003年>2006年
上位100本の中で上位20作品が占める割合は、37%~46%であることから、対象を200本等に増やしたとしても、大勢はかわらないでしょう。
50位以下の各順位の販売本数を見比べると、2001年の方が2002年を上回っており、101位以下を含めたとしても、2002年が2001年を上回っているとは思えません。
ソフ倫の審査実績が多いということであれば、出荷本数は2002年の方が多いのかもしれませんが、あくまでも旧作の再販を含めた出荷本数であり、新作の実売数となると、2002年は2001年を下回っていると思われます。
この時点で、少なくとも2002年は一番とはいえません。
しかも、2002年は、上位20本の中に『妻みぐい』『DALK外伝』『ランス5D』の3本の低価格ソフトが含まれており(トップ10には2本)、これを他のフルプライス作品と同列に論じて良いかは疑問が残ります。
また、2002年の上位20本の中には、旧作のDVD版も2本入っており、それが前年等との違いでもあります。
そのため、2002年の数字は額面通りに捉えて良いか疑問ですし、実際の数字以上に、2001年からの落ち込みは大きいと思います。
ちなみに、2003年で下がったあと、2004年は回復しているように見えますが、上記には一般作の『クラナド』も含んでいますので、『クラナド』を除外すると、2004年も2003年と同水準くらいになります。
他方、99年のデータはないですが、2000年の上位の中に多くの99年の作品が含まれていることからすると、2000年は99年よりかなり減ったのでしょうね。
ありがとうございます。
一次ソースも探してみたいですが、
『デジクロニクル』は国会図書館にもなく、
『デジタルメディアインサイダー』は一部だけあるようで「どきどきへあばんらんど」に情報も転載されていましたが、今から一次情報を得るのは難しそうですね。
昔は簡単に入手できたデータ等も、年々見るのが難しくなってきていますね。
「どきどきへあばんらんど」も有益な情報がいくつもあったのですが、若干注意すべき点もあり、その辺はコラムの「96年頃のアダルトゲームの売上の話」の記事を読んでいただければと思います。