『時計仕掛けのレイライン -残影の夜が明ける時-』は2013年にWIN用として、UNiSONSHIFT:Blossomから発売されました。
シリーズ全3作の中の2番目。
何か、ゆら~っとした作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・山奥にある全寮制学園『天秤瑠璃学園』。
大きな時計塔の立つその場所は、ただの学園ではなかった――。
主人公・満琉は転校生としてこの学園にやってきた後、『特殊事案調査分室』通称トクサと呼ばれる役目を背負うことに。
トクサの仲間である憂緒たちとともに、この不思議な学園で起こる様々なトラブルを解決する日々を送っていた。
そんなある日、学園に予想外な訪問者が現れる。
祖母の思い出の品を探し、はるばる異国からやって来た少女・アーデルハイト。
一筋縄ではいきそうにない客人は、トクサの面々に押し付けられる。
アーデルハイトの探し物を巡る日々のなか、それまで当たり前のように流れていた全ての時間が動き出す。
それは――学園の抱える秘密、黄昏時に交差する二つの世界。
一体彼らはどこから来ているのか?どこへ帰っていくのか?
そして夜と昼の境界線はいつか――交わることができるのか。
新たなる謎と秘密に、主人公たちの奔走が再び始まる!
<感想>
何か、ゆら~っとした作品でした。
背景が横にゆら~っと動いて、キャラも横からゆら~っと登場してきて、炎もゆらゆら~っと動いて、何だかよくわからないエフェクトもゆら~っと奥から出てきて、何かそんな感じ。
作品として効果的に機能しているのかとか、演出として優れているのかとかの議論はさておき、とりあえずしょっちゅうゆら~っとしているような、そんな印象がまっ先に浮かんでくる作品であり、是非はともかく、これも一つの特徴ではあるのでしょう。
本作は全3作の中の2番目の作品になります。
だから3部作とも言えるのだけれど、むしろ一つのストーリーを3分割して発売した作品ですね。
全体の話としては3作目を語る機会があれば、そこで語りたいとも思うし、今回は言いたいことだけ言うといった感じで、あっさりめにいきます。
後半からの怒涛の展開や伏線の回収など、後半に進むに従って盛り上がっていく作品であり、序盤を普通に楽しめた人ならどんどん楽しくなっていく作品です。
ライターの一人である西宮さんは、MPシリーズでも3部作で成功していますからね。
こういった構造に強い方とも言えるかもしれません。
後半に進むほどに面白くなるのも西宮さんらしいと言えますし、結末から逆算して配置していったような伏線などもそうですし。
まぁ伏線回収を意識しすぎて楽しさが薄れる場合もありますが、そういう部分もひっくるめて「らしい」のかなと。
もっとも「らしい」と思わせる作品ではあるものの、MPシリーズが作品を複数回に分ける必要性を感じられたのに対し、本作では感じられなかったわけでして。
その点で、どうしても不満は出やすいのかなと。
メイン以外の個別ルートをしっかりさせているのであれば、この作品はメイン以外の個別ルートを楽しむのが主であり、メインルートは次回へのお楽しみと割り切れたのですけどね。
本作はミドルプライスですし、価格を考慮すればボリュームも問題ないはずなのですが、メインルートが完結しないままに、それ以外の個別ルートがあっさりなので、それで消化不良のようなもの足りなさも感じてしまうのでしょう。
本作の構造や今のアダルトゲームの流行を考慮するならば、フルプライスでメインルートだけを扱った作品を発売し、個別ルートはファンディスクでという方法の方が良かったのではと思います。
3作の発売間隔も結構ありましたし、ちょっと構成の仕方に問題があったのかなと。
<評価>
何かゆら~っとした作品でした。
それが言いたくて今回扱っただけとも言えますしw
書き忘れていましたが、3作がつながっていますので、最初からプレイした方が良いでしょうね。
一応本作にも前作のおさらいはついていて簡単なあらすじは分るのですが、どちらかと言うと期間があいて忘れた人の記憶喚起用とも言えますし、やっぱり前作からプレイした方が良いのかなと。
今は3作のセット版もありますし、未プレイの人はそれが一番良いでしょう。
問題点もいろいろある作品ですが、キャラが好みということもあり全体では楽しかったです。
なので、総合でもギリギリ良作としておきます。
ランク:B-(良作)
時計仕掛けのレイライン Limited Trilogy Box
Last Updated on 2024-11-09 by katan