北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ

1984

『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』は1984年にログインソフトから、PC6001版とPC8801版が発売されました。

なお、翌年以降にはファミコンやMSX、PC98にも移植されています。
機種によって微妙に内容が違っていたりするので、全部試して比較するのも面白そうですね。

<概要>

詳細は後述しますが、ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

東京湾、晴海埠頭で男の死体が発見されたところから物語は始まります。
警部である主人公は、部下と共に被害者の身元を調査したところ、この事件に北海道が関係している事を知ります。
そこで、主人公は北海道に渡り、釧路署の刑事である猿渡俊介と共に捜査を始めます。
その一方で、第2、第3の殺人事件が発生していくといくことから、本作は、いわゆる連続殺人ものでした。

<ゲームデザイン>

本作は、個人的に凄く思い入れが強い作品でしたね。
10年以上に渡り、私の中で最高得点を維持していましたから。

まず語るべきは、事実上のコマンド選択式ADVの元祖って事でしょうか。
「事実上の」という前置きが必要になるのは、「コマンド選択式」という字面だけから言えば、実は本作は元祖ではないからです。
というのも、既に『ミコとアケミのジャングルアドベンチャー』なんかにおいて、画面上のコマンドから行動を選ぶという概念は存在していましたからね。

もっとも、本作以前のコマンド選択式というのは、画面上に考えうる全てのコマンドが羅列されており、その膨大な数の中から選ぶというものでした。
確かに、字面からはコマンド選択式にはなるのかもしれないけれど、やっぱり何か違和感があります。

本作が素晴らしかった点、そして従前の作品と異なる点は、頻繁に使うであろう必要なコマンドを厳選し、纏めた所にあります。
ここで整理された構造が、その後に続くコマンド選択式ADVの基礎となった事は、誰も疑う余地がないでしょう。
だから実質的には本作こそが、いわゆる「コマンド選択式ADV」の元祖に当たると言って良いのだと思うのです。

また、単に、現在に繋がるコマンド選択式の構造を構築しただけでなく、作品内で十分に使いこなしていたと思います。
つまり、狭義のゲーム性が卓越していたということなんでしょうね。
コマンド選択式の良し悪しの基準に関しては、語りだすと長くなるのでここでは割愛します。
いずれにせよ、堀井さんは本当にこういうところが上手いんですよね。
ADVをゲームとして楽しませてくれる作品って、今でも少ないですからね。
本作の価値は余計にも増すってものです。

<感想>

加えて本作は、システムだけでなくストーリーも抜群でした。
80年代のミステリー小説は、いわゆる社会派が結構流行っていましたが、ゲームでは社会派の推理作品って少ないのですよ。

本作は、その社会派に分類されうる作品でして。
単純な出来の良さに希少性も加わって、更に魅力的に感じたものです。
そもそも、当時群を抜いていたのは間違いないとしても、今でもこのレベルの社会派ミステリーADVって、そうはないのではないでしょうか。
まぁ、社会派ミステリーを作ろうって人もいないでしょうから、何年経っても本作の持つ個性は色褪せないように思います。

ちなみに、題名にあるように、本作では北海道を舞台とします。
このゲームを何度もクリアすることがキッカケで、北海道の地名に詳しくなったようなものです。
摩周湖に一度は行ってみたいとか、いろいろ考えながらプレイしましたからね。
実際に北海道に行けたのは、それから10年以上経ってからですが、一つ望みは適ったってことですね。
余談ですが、当然の如くニポポ人形も買ってきましたよ。

それと、本作は連続殺人事件で計4件の殺人事件があります。
その内の3つは同一犯による連続殺人事件ですが、1つだけ全く関係ない別事件だったりします。
当然全部関連すると思い込んだプレーヤーの裏をかいた、実に上手い方法でしたね。
こういう方法って、小説やドラマでは無理だと思うんですよ。
メインと離れた要素が多いのは駄目という烙印を押されるだけですからね。
ゲームだからこそ取りえた構造なのであって、こういう点は、私は非常に高く評価したいと思います。

<グラフィック>

オリジナルのグラフィックは劇画調でした。
これはこれでいかにも社会派な感じがして良かったのかもしれないけれど、発売時期の問題もあってあまり綺麗ではないですからね。
正直、私はあまり好きって程ではなかったですかね。

その点では、87年に発売されたファミコン版の絵柄の方が好みでした。
なお、FC版の作画は『べーしっ君』の荒井清和さんとのことです。
オリジナルを優先する私にしては珍しいですけどね、やっぱり可愛いキャラが好きですからw
特に、真紀子が可愛くってね。
今風に言えば、萌えに該当するのかな?
めぐみのバスタオルも衝撃的でしたね。

<ボリューム他>

また初期のコマンド選択式ADVは、とかくボリューム不足な作品が多かったのですが、本作はそういう心配もなかったですね。

ストーリー自体のボリュームもあったし、画面クリックの要素や炭鉱のダンジョンや、ブラックジャックというミニゲーム要素とかもあることで、プレイヤーがだれることなく長時間楽しめる配慮がなされていました。

私は普段狭義のゲーム性に関しては細かく言わないのだけれど、堀井作品はここが本当に優れてますからね。
適度に謎解きに悩まされることで、ボリュームに対する問題は皆無でした。

<評価>

システムは斬新かつ充実、ストーリーも完璧。
本当に最高のADVでした。
もしこのゲームがなかったとしたら、私がADVにはまることもなかったかもしれないですね。
したがって、文句なしに名作といえるでしょう。

最古のコマンド選択式ADVですが、本当に欠点のないADVでした。
温故知新とは言いますが、ADVを作る人には絶対にこの作品はやってもらいたいですね。
ADVの面白さの本質は、この作品に全部詰まっているのですから。

ランク:AAA(傑作)

オホーツクに消ゆ

Last Updated on 2026-01-31 by katan

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