『カルメン サンディエゴ イン ジャパン~犯人探して日本全国~』は1989年にPC98用として、ブロードバンドジャパンから発売されました。
もともとはアメリカの地理教育用ゲームだったのを、日本向けにリメイクしたのがこのゲームでした。
<概要>
本作の姉妹作品として、90年にはPCエンジン用の、『カルメン・サンディエゴを追え! 世界編』が発売されています。
そちらは世界の30都市を舞台としています。
ハードの普及数から考えると、PCエンジン版の方が知られているかもですね。
内容としては、依頼を受けた主人公が、カルメンギャング団に奪われたお宝を取り戻すべく、日本全国を奔走することになります。
<感想>
本作は、端的に言えばコマンド選択式の推理ADVとなります。
そう書くとありきたりっぽいですが、中身はかなり個性的でした。
ジャパンというだけあって、舞台は日本全国です。
怪盗であるカルメンギャング団は、日本の名産品を求めて全国を飛び回ります。
各地で聞き込みをすると、その人をみかけたよ何々温泉に行くと言っていたとか、何々伝説に興味があるらしいといった情報が得られます。
その情報から次の行き先を推理するわけですが、それ以上の情報も得られないんですね。
つまり、得た情報がどこにあるのか、どこの伝承や名産品なのか、全てプレイヤーの知識次第となるわけです。
日本の地理に詳しい人には容易でしょうが、そうでない人には結構厳しいかもしれません。
これを教育ソフトとして置いていたところもあるそうですが、それも十分うなずけますね。
本作と『桃太郎電鉄』をやりこめば、日本の地理にはかなり強くなれそうな気がします。
情報を判断、推理して移動すると、ときに犯人に出くわすこともあります。
ゲームの目的は犯人を逮捕することなのですが、出くわしただけでは逮捕することはできません。
逮捕するためには逮捕状が必要なのです。
逮捕状を得るためには、犯人の性別や髪型、趣味等を埋めなければなりません。
これも、捜査をするにつれ次第にわかってきます。
ここら辺は推理ゲームらしいところでもあり、逮捕には逮捕状が必要という当たり前のことを、上手くゲーム性の向上に反映させていたかと思います。
また、本作には時間制限があり、のんびり聞き込みをしている余裕もありません。
限られた時間、限られた情報の中で、如何に効率よく捜査を進められるかが鍵なのです。
日本の地理に関する絶対的な知識、得た情報から推理する判断力、効率よく捜査する処理能力、さまざまな角度から頭をフル回転させる必要があり、かなりやり応えのあるゲームでしたね。
非常にオリジナリティの高いゲームだったと思います。
これだけで十分名作だと思うのですが、物足りなかった部分がないわけではありません。
というのも、本作は非常に淡々としていたわけでして。
グラフィック的に派手な演出があるわけでもないし、物語的に盛り上がる要素があるわけでもないのです。
もちろん、各県ごとに取り込み画像はあって、それは楽しめたのですが、言い換えると、それだけしかないとも言えます。
ストーリーに関しては同じような展開がずっと続き、ストーリーらしきストーリーはないとも言えるでしょう。
これでは、どうしても地味に感じてしまいますよね。
教育ソフトとしての性格も有していることから、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません。
でも、そこをもう一工夫してくれたら、面白い作品が、きっと更に素晴らしい作品へとなっていたでしょう。
そういう可能性を秘めていただけに、非常に惜しくもありましたね。
ランク:A-(名作)

Last Updated on 2025-05-11 by katan
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