『美少女写真館番外編 アウトサイドストーリー』は1990年にPC88用として、HARDから発売されました。
美少女写真館シリーズの4作目。
今作は番外編であり、これまでと違った作品になりました。
<概要>
美少女写真館シリーズはその名のとおり、プレイヤーが美少女の写真を撮るという内容の作品でした。
2作目までは単純に写真撮影をするゲームであり、というかゲームとしての面白さはともかくとして、とにかく設定することが多く細かかったものですから、いわば簡易的なシミュレーターのような作品でした。
少し路線が変更されたのが3作目で、コマンド選択式のADVになりました。
そして、この4作目は番外編とあるように、3のキャラによる別物語であり、また、写真を撮るという従来の特徴は一切なくなりました。
<ストーリー>
主人公の優子は婦人警官。
有能で事件も解決するけれど、周りに及ぼす被害も大きいということで、イメージ的には漫画の「逮捕しちゃうぞ」とかあの類を想像してもらえば、比較的分かりやすいのかなと思います。
その優子の下に、署長から電話がかかってきます。
内容は署長の姪っ子を無事に署まで届けて欲しいとのこと。
44マグナムが使えると釣られた優子は、翌日迎えに行くのですが・・・って感じで始まる、婦人警官のとある1日を描いた作品になります。
これは好みの問題でもあるのですが、私は『逮捕しちゃうぞ』の主人公らのように破天荒で滅茶苦茶な女性キャラって、かなり好きなんですよね。
本作の主人公もその系統なので、基本的に好きな路線でした。
また、登場キャラの大半も女性ですし、昔は何とも思わなかったのですが、百合に目覚めた今の私にとっては、その辺も好みになりますね。
もっとも、ストーリーそのものに関しては、途中でいろいろ騒動はあるものの、言い換えれば婦人警官のドタバタした日常を描いているだけでもあります。
したがって、もっと濃厚なストーリーとかを期待する人だと、あまり楽しめないだろうなっていうのも確かなのでしょう。
<感想>
これまでのシリーズ過去作とは異なり、本作のゲームジャンルはノベル系のADVになります。
全流通などはノベルゲーを既に何作も作っていましたが、それ以外の他社のノベルゲーとなると比較的タイトル数自体が少ない時代でもありました。
ノベルゲーなのでコマンドとかは一切なく、基本はクリック読み進めるだけです。
ときどき選択するポイントが出てくるのですが、「~しますか」って感じで質問形式で出てくるので、プレイヤーはイエスかノーの何れかで答えることになります。
その選択に応じて東京ドームに行ったりプールに行ったり、事件に遭遇したり何か回想モードに入ったりと展開や結末が変わることから、マルチエンドだけでなくマルチストーリーとも言えるのでしょう。
それにしても、こういうのは売りにくいよなと思うわけでして。
ノベルゲーゆえにコマンド選択式のようにつまることもなく、サクサクと進行していきます。
だからコマンドの総当りとかが嫌って人でも問題なく楽しめるのですが、その分時間稼ぎとなるものがないために、プレイ時間も短くなってしまうのです。
HARDと言えば『はっちゃけあやよさん』が有名ですが、あやよさんはエロが濃かったですからね。
クリアまでの時間が異常に短いことから叩かれることも多かったものの、Hシーンだけ何度も見るってこともありますから、たとえクリア時間が短くても、費やした時間はそれなりに増えたりもします。
他方で本作は、基本が女性ばかりですからね。
女性同士の入浴シーンとか脱いでいるシーンはあるのですが、男が出てこないので濃厚なエロはありません。
そうなるとHシーン目当てに何度も起動ってこともなくなりますので、やっぱり大半の人にとってコスパは悪くなってしまうのです。
まぁ人は人、自分は自分ということで、自分が満足できればそれで十分ではあるのですけどね。
あまり万人向けでないことも確かではあるのでしょう。
<評価>
この作品が何をしたかったのかを、今更ながらに考えてみました。
昔はHなCGを見るのがエロゲの目的だったみたいな言われ方をたまに見かけますが、本作にはそれは当てはまらないでしょう。
※本作のような存在が他にもあるから、80年代のゲームはCGを見るだけとの見解には賛成しかねるのです。
かと言って、ノベルウェアのように濃厚なストーリーを重視したわけでもない。
となると、たぶん一番の特徴は、マルチストーリー・マルチエンドなのかなと思うわけでして。
その選択による分岐を楽しませることを目的にした作品と考えるのが、最も相応しいのかなと。
もちろん、全体の分量が少ないこともあり、名作と呼べるほどには至っていません。
しかし、当時のADVの中では相対的に分岐の幅もあったと思いますので、これはこれで良かったのかなと。
昔の私は、ノベルゲーに偏見があり過小評価していたのですが、今振り返ってみれば良作扱いで構わないように思います。
初プレイ時はそんなでもなかったけれど、何となく今の方が好きな作品ってところでしょうね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2025-02-06 by katan
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