パラゴンセクサドール DOLL

1989

『パラゴンセクサドール DOLL』は1989年にPC88用として、ハート電子から発売されました。

このブランドにしては珍しく、ストーリーの良くできた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

ストーリー上のジャンルは、SFものになるでしょうか。

簡単なあらすじを書きますと、ファルディーアとザイカーンという二つの星があり、当初は協定を結んで対立を避けていたものの、やがて全面戦争へと突入していきます。

この世界には慰安用として作られたセクサドールというアンドロイドがいて、戦争の進行に伴い武装改造が施されて戦場に送られたり、諜報員として潜入するようになります。

主人公のティナも改造されたセクサドールであり、友人のバーバラがスパイ容疑で捕まり処刑されたことから、復讐のために諜報員として潜入することになるのです。

<感想>

ハート電子のゲームって斬新なシステムが含まれていたり、着眼点に優れている作品が多いものの、ストーリーに関しては非常に弱いという印象が強いです。
その印象からするならば、本作は同ブランドにとり、かなり異端な作品となるのでしょう。

慰安用セクサドールという設定で、製作したのがハート電子なので、アダルトゲームかと思いがちなのですが、確か違ったように思います。
まぁソフ倫の発足前の作品ですから、そもそもこの時期の作品には、厳密にはアダルトも一般もないわけで、どうしても論者の主観で語らざるをえないのですけどね。
加えてハート電子はアダルトゲームも作れば、逆に完全な一般ものも作っていたので、ブランド名だけでは判断できませんし。
ただ、本作にはHシーンとかなかったと思うので、今風な表現をするならば、アダルトゲームメーカーの作る一般作となるのでしょう。

ストーリーはシリアスで重い内容であり、アダルトゲームを作るブランドの作品で、この時期にこんな作品があったのかと驚く人もいるんじゃないかなって、それくらい良くできた作品でした。
ハート電子の作品群の中でも最上級だっただけでなく、この時期のADV全般という枠組みの中でも、上位にあったのではないでしょうか。
まぁ本作自体一般ゲーになるので少しややこしいですが、アダルトゲームを作るブランドのADVのストーリーが、一般向け専門のそれよりも劣るというイメージは、少なくともこの作品では完全に払拭されるのかなと。
89年にも多数のADVを名作扱いしましたが、ストーリー・シナリオに限定するならば、本作はそれら名作に勝るとも劣りませんでしたしね。
これでゲーム部分も普通ならば、おそらく名作扱いだったでしょう。

問題はそのゲームデザインでして。
上記のように本作は、コマンド選択式のADVになります。
斬新なシステムとか工夫されたシステムが多い同ブランドの中にあって、本作は極めて普通のコマンド選択式でした。
しかもコマンド数が多くて、同じ画面が長く続きますからね。
変化に欠けるというか、単調に感じてしまうのです。
それが本作の最大の弱点なのでしょう。

グラフィックは、キャラは可愛くないものの、アニメーションもあり演出は良かったです。
またサウンドも妙に印象深いものでした。

<評価>

ストーリーは名作級だと思うのですが、SFというジャンル自体は、この当時は数が多かったこともあり、総合では良作とします。

ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-05-18 by katan

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