『マリオネット ~傀儡~』は1999年にWIN用として、SAGA PLANETSから発売されました。
サガプラのゲームで初めて買ったのが、この作品でしたね。
<はじめに>
今ではすっかり有名になったサガプラですが、デビュー当時から人気ブランドだったわけでもないだけに、個人的には凄く不思議な感じがしてしまいます。
ゼロ年代後半から現在にかけては、多くの人が四季シリーズを連想するのでしょう。
ゼロ年代前半ですと、『恋愛CHU!』が代表作になるでしょうか。
『恋愛CHU!』はブランド5作目になる作品です。
それまでマイナーだったサガプラの注目度・認知度を一気に高めたのが、電波ソングで有名になった『恋愛CHU!』だったわけですね。
今では恋愛系作品を作るブランドというイメージなものの、ゼロ年代前半はわりといろいろ出していましたし、更に『恋愛CHU!』以前の90年代後半のデビュー当時は、ダーク系であるとか凌辱系であるとか、そういう系統の作品ばかりでした。
恋愛ゲーというイメージは全然なかったです。
デビュー作の『骸 ~メスを狙う顎~』もインパクトのあるタイトルで、それで非常に印象に残っていたのですが、個人的に初めてプレイしたのが2作目の『マリオネット ~傀儡~』でした。
<ストーリー>
主人公は実体を有しない幽霊のような存在で、双子の兄の中に意識だけ存在するという設定です。
兄の体を乗っ取ることに成功したことから、兄が管理人を務める女子寮の生徒らに手をだし、次々に凌辱していくという内容になります。
女の子と会話をし、弱みを見つけて凌辱を繰り返す。
凌辱系としてはありふれた設定ですかね。
それでも、じわじわ追いつめる過程がしっかり描かれていれば、十分楽しめる作品になるはずです。
それが王道ってものですから。
しかし本作の場合、ヒロインは主人公の精液を飲むことで、一時的に記憶が失われてしまうのです。
そして、次に凌辱する時に全部思い出すと。
そのため、凌辱されたヒロインも普段は普通に生活をしていますので、追いつめられる光景であるとか、陵辱された後の恐怖感であるとか、まだ凌辱されていないヒロインとの対比とかが描かれないのです。
フラグ管理のしやすい制作側に都合の良い設定かもしれませんが、このご都合設定により面白味は大幅に失われたように思います。
<ゲームデザイン>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
具体的には移動場所を選択し、移動した先にヒロインがいれば会話をするというタイプですね。
今は移動場所を選ぶタイプは減りましたが、当時は多く見かけられたタイプになります。
<グラフィック・サウンド>
たぶん、この作品は発売日買いだったはずですが、その理由はグラフィックでした。
まぁ、塗りとかは当時から既にチープさが漂っていますし、決して上手いと言える絵ではないのかもしれませんけどね。
それでも可愛い絵柄で凌辱系というのは、まだまだ貴重でしたから。
99年は可愛い萌え系の絵で凌辱、それでいて内容も伴っている作品も幾つか登場します。
代表作が『夜勤病棟』になるでしょうか。
ただ『夜勤病棟』は99年末の発売ですし、年間単位では萌え絵の凌辱系が飛躍した年とは言えるものの、99年前半の時点ではまだ寂しい状況でしたからね。
本作のように少しでも可愛いと思えれば、つい手を出したくなるってものなのです。
だから今の観点で見るとショボイと思われるかもしれませんが、当時の私には例え地雷でも特攻する以外の選択肢はなかったし、何だかんだでヘタウマ絵的な感覚でグラフィック面は満足できたように思います。
それと、サウンド方面ですね。
本作は女性キャラには音声がありました。
凌辱系は音声のある作品が多かったですが、大作恋愛ノベルには音声がなかったりする過渡期でもありまして。
音声があるからプラスという時期は過ぎたものの、それでもあると嬉しかったものです。
大作ノベルは音声はないけれど、サウンドは優れている。
抜きゲーは音声はあるけれど、サウンドはショボイ。
大雑把には、そんな傾向があったでしょうか。
本作は上記のように音声があり、それでいてサウンドは当時勢いの凄かったI’veが担当したことで、凌辱系の中では飛びぬけて良かったように思います。
だからでしょうか、シナリオ自体はいろいろ問題がありそうなのに、プレイ中の雰囲気は結構良いんですよね。
本作に関しては、凌辱系の「雰囲気ゲー」とイメージしてもらえれば、たぶん間違いはないでしょう。
何やそれ、って言われそうですけどね。
<評価>
いろいろ足りない部分もありますので、決して褒められた作品ではないのかもしれません。
結構期待していたこともあり、プレイ直後はガッカリ感の方が大きかったですし。
ただ、プレイしたことすら忘れそうになる作品も多数ある中で、本作は漠然とではあるものの結構印象に残っているのですよ。
それはおそらく、絵や音による雰囲気の良さからくるのでしょう。
客観的には問題の無い作品とは言えませんが、主観的には実は結構好きな作品でもあったというところでしょうね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2025-01-14 by katan
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