『アズラエル』は2002年にWIN用として、Surviveから発売されました。
オムニバスの『426』からのスピンアウトになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
元々フロントウイングの『426』という作品があり、3本の短編を集めたオムニバス作品でした。
その中の一つが『アズラエル』で、Surviveが『セパレイトブルー』でデビューするのに先駆けて、自己紹介代わりに本作を単独で発売したという経緯になります。
時代背景的なものを補足するならば、2002年の売上最多本数はアリスの『妻みぐい』でした。
アリスはこの『妻みぐい』をはじめとして、複数の定価2800円という低価格商品をリリースしました。
今では商業の低価格作品も当たり前になっていますが、当時は商業で新作の低価格商品は極めて稀でした。
この年にアリスが仕掛けたばかりでもあり、低価格商品自体に挑戦という印象が強かったと思います。
本作はフルプライス作品の中の一部を切り売りしたわけであり、完全なオリジナル作品ではありません。
そのため、アリスのオリジナル作品らと同列には扱えないかもしれませんが、本作単独で手に入れることはできなかったわけですし、形は何であれ低価格商品の波に乗ろうとした行為は、やっぱり挑戦の一つの形だったように思うのです。
<感想>
というわけで前置きが長くなりましたが、ストーリーは簡単に言ってしまうと、死神の代行をすることになってしまった主人公による、死について扱った作品となります。
ストーリーに関しては、掘り下げれば面白くなる可能性もあったのかもしれません。
決して悪くないのですが、とにかく短すぎたために、どうも消化不良って感じでした。
2倍、せめて1.5倍あれば、また違ったのでしょうが、ラノベを一冊読み終えたような感じで、全体的に浅いのですよ。
ミドルプライスないしフルプライスのリメイクという形で、新規に作り替えた方がブランドの力も示せたと思うのですけどね。
原画は八宝備仁さんでした。
八宝備仁さんは『無垢弐』(1997)からのファンとも言えますが、常に好きであり続けたというわけでもなく、正確には段々好きではなくなっていたんですよね。
それがまた好きになりだした、つまり下降から上昇に転じたのが、この作品辺りなのかなと。
平坂いずみがツボだったというか、絵だけで満足みたいな。
私個人の好みを抜きにしても、90年代から今でも人気のある原画家は非常に少ないので、その観点からも貴重と言えるかもしれません。
<評価>
『セパレイトブルー』の紹介も兼ねていたので、そっちも目的であれば満足度も高くなったのでしょうが、本作単独が目的の場合では少し割高だったでしょうか。
上記の様に本作が2002年であることも踏まえるならば、この価格で出したこと自体に一定の意味はあったと思いますけれど。
どうせなら大幅リメイクで深く掘り下げて欲しかった気もしますね。
Last Updated on 2025-04-01 by katan
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