『Amaranth IV (アマランス4)』は1995年にPC98用として、風雅システムから発売されました。
代表作であるアマランスシリーズの4作目であり、PC98及びナンバリングタイトルとしては最後の作品になります。
<概要>
アマランスシリーズはPC98用として発売されていた作品で、風雅システムの看板タイトルでした。
リメイク版を除くと、1~4及びKHの全5作が発売されました。
また、パッケージイラストに当時人気の高かった、うるし原智志氏を起用していました。
そもそも1995年というのは、インパクトの大きい出来事が多かった年のように思います。
それは一般的な話だけではなく、アニメやゲームにも当てはまったのではないでしょうか。
加えて細かい部分まで見てみると、この年の作品には、暗い作品や心理面に切り込んだ作品も多かったかなと思えるのです。
家庭用ゲームだと『タクティクスオウガ』くらいしかないので、あまり該当しないかもしれないですけどね。
それと同等或いはそれ以上にエグい作品が、PCゲーで何気に幾つか出ていたかと思うわけでして。
今回はその中の1つである、『アマランス4』についてです。
アマランスシリーズは、当初はイースやサークのようなアクションRPGだったのですが、作品によってジャンルが変更されることがあり、本作ではSRPGになっています。
シリーズのこれまでの作品はアクションRPGだったりしたことから、気にはなっていても私の守備範囲外でもありました。
本作は非アクション系なので、それで安心して購入できたのです。
<感想>
上記のようにアマランスシリーズも、外伝を挟んで本作で5作目になります。
もっとも、前作等からかなりゲーム内の年月が経っています。
具体的には、本作は2と3の間の話であり、2の190年後になります。
シリーズ全体をプレイした方が思い入れは強くなりますが、シリーズ他作品をプレイしなくとも、本作からのプレイでも特に問題はないでしょう。
本作のテーマは「愛」とでも言いましょうか。
愛にも様々な形がありますが、その考えられるパターンを一通り網羅している感じであり、それぞれを対比したり考えながらプレイを進めると、結構深く感じられるかもしれません。
そういうわけで大枠としても素晴らしい作品なのですが、おそらくプレイヤーの多くは、個々のイベントにショックを受けることが多かったのではないでしょうか。
例えば主人公(身分は皇子)の姉である皇女が、ヒロインの父親である盗賊団に拉致されてしまいます。
ここまでならよくあるのですが、皇女たる姉が犯されて孕まされて帰ってくるなんてのは、一般ゲーではこの作品くらいなものでしょう。
しかも自暴自棄になった皇女様は主人公に、あなた、まだ知らないでしょう、私が教えてあげるわよ~みたいなことを言い出すわけでして。
いや、なまじ一般作品なだけに思わぬカウンターと言いますかね、この衝撃は大きかったですね。
もっとも、単発イベントだけで鬱ならば、単に胸くそ悪い作品ってむしろ駄目出ししていたんでしょうけどね。
しっかりとテーマに則して各イベントにつながりがあるものだから、作品として高く評価できちゃうんですよね。
他にも暗いイベントはあるわけですし、このゲームってよく考えると結構鬱な作品なんですよ。
私は既に感覚が麻痺していたので、特に大きな影響はなかったですけどね。
あまり免疫のない人が何も知らず可愛い絵柄に惹かれて買っていたら、トラウマになりかねません。
だって、想像してみてくださいよ。
FF7のティファやFF10のユウナも一度拉致されますよね。
それでもし、ティファやユウナが孕んでお腹を大きくして帰ってきて、クラウドやティーダに向かって、手ほどきしてあげるわよなんて言い出したとしたら・・・
かなり鬱になると思いませんか?
今だったら間違いなく、ネット上では暴動が起きていたでしょうね。
まぁ、同人ならありそうですが・・・w
本作は18禁の作品ではないけれど、PCで出して正解なのでしょう。
よくユーザーが購入しやすいように、ハードを統一して欲しいとの意見があります。
何個もハードを買うのは億劫なので、その意見も一部では納得できる面もあります。
しかし本作のような作品は、当時のPC98でしか無理だったとも思えるわけでして。
家庭用ゲーム機では決して味わえない作品と言う意味でも、本作の意味合いは大きかったかと考えるのです。
<ゲームデザイン>
次にゲームジャンルですが、RPGないしSRPGとなるのでしょう。
クォータービューの街やダンジョンを移動させることで進行する辺りは、RPGと言えるでしょう。
戦闘はタクティカルコンバットシステムなので、いわゆるSRPGっぽいです。
したがって、タクティカルコンバットシステムのRPGとも言えるし、移動探索要素のあるSRPGとも、どちらとも言えるのでしょう。
ちなみに、戦闘は完全にイベントバトルだけです。
しかも戦闘は最大10人パーティーからなる、タクティカルコンバットシステムでした。
敵の行動パターンも多彩だったし、かなり本格的でしたね。
戦闘部分だけを切り取ってS・RPGとして発売しても、何ら違和感はなかったでしょうし。
そのため、戦闘に歯ごたえがありつつ雑魚敵のいないRPGとも言えるだろうし、イベント部分を充実させ自由度も増したS・RPGとも言えるのでしょう。
まぁRPGとS・RPGの垣根っていうのは、案外難しいものですからね。
典型的なRPGとファイアーエムブレムの様なSLGにかなり近いタイプとならば、RPGとSRPGの間の区別も簡単なのでしょう。
しかし、その中間に位置する作品ってのも案外多いわけでして。
後発の『FFタクティクス』なんかも中間タイプに該当するかと思いますが、本作もまた両者の中間的な位置にあると言えるでしょうね。
同じ中間的な作品でも『FFT』はややSLG寄りであり、『アマランス4』はややRPG寄りと言ったところでしょうか。
いずれにせよ、かなりやり応えのある戦闘でした。
戦術性の高い戦闘に豊富なイベント部分という作りは、私の好みの作りでしたしね。
こういう作りの作品って、ありそうでないだけに、新鮮でもありました。
<グラフィック>
本作はグラフィックも良かったです。
風雅システムは、従来からスクロール技術に定評があったブランドです。
それはこのゲームでも健在でした。
キャラデザも可愛く、CG枚数も豊富でした。
ドット絵の技術とちびキャラの動きだけなら、当時のPCゲーではファルコムが抜き出ていました。
しかし、ファルコム作品にはイベントCGとかがほとんどなかったですからね。
本作は随所にイベントCGがありますので、その点では本作の方が良かったです。
<評価>
名作ゲームというのも数多く見てきましたが、ここはこうすればって言うのが結構あるものです。
その点、本作は私の好みの要素を網羅しているって感じの作品で、本当にスキのない作りだったかと思います。
そう考えると、もう少し高い評価でも良かったと思うんですけどね。
主観的には大好きな作品ですし。
でも、しいて一つ言うならば、突き抜けた要素が少なかったのかなと。
スキもないけどここだけは何にも負けないって部分もあまりなく、アクの強い作品が多かった95年にあっては、どうしても厳しく見ざるを得なかったのかなと。
(まぁ、アクの強いイベントは多かったですけど・・・)
本作はPC98末期の一般PCゲーという立場も相まって、出来のわりに非常に不遇な作品でもあったと思います。
でも、知名度や評価などを度外視するならば、主観的には大好きな作品でしたね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-10-28 by katan
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