アカイイト - ADVGAMER

『アカイイト』は2004年にPS2用として、サクセスから発売されました。

伝奇ノベルでありつつも、それ以上に優れた百合ゲーであり、雰囲気が最高でしたね。

＜概要＞

ゲームジャンルはノベル系ＡＤＶになります。

あらすじ・・・
この夏、わたしはたったひとりの家族だったお母さんを亡くして――
――遺産として残されたお父さんの実家を見るために、長い道を行く電車に乗り――
とても不思議な夢を見た
思い出せない赤い記憶
群れ飛ぶ蒼い光りの蝶
そして、悲しい目をした懐かしいあのひと――
わたしの生まれ故郷でもある経観塚
そこでわたしは誰かと出会い、そこでわたしは誰かと別れる
過去と現在（いま）、夢と現（うつつ）、わたしの記憶とわたしの血――
縁（えにし）の糸が絡まりあい、寄り合わさってひとつの絵を成し――
運命の輪が廻りだす

＜感想＞

私は百合作品が大好きです。
そのため、百合系の小説や漫画もよく読みます。
マリみて以降の百合ブームもあって、今では百合系の小説や漫画は結構増えましたよね。
でも、これがゲームとなると極端に少ないのではないでしょうか？

もちろん、2004年以前にも百合系のゲームは決してなかったわけではありません。
しかし、ゲームのメインは違う部分にあって、百合要素は比重が少なくオマケっぽかったり、逆に百合の比重が大きくてもゲーム自体が駄目だったりする作品が多かったわけでして。
したがって、百合の部分がメインとしてしっかり描かれつつも、ストーリー・キャラなど全体において秀でた名作ってのは、本作以前にはなかったように思います。
そういう意味で『アカイイト』というのは、百合好きでゲーム好きな人にとっては、待ちに待った作品だったとのではないでしょうか。

このゲームは、実に丁寧に作られていました。
本作はノベルゲーですが、この時期に多くなっていた分岐少なめの作品ではなく、ＥＮＤの数が30種以上あって、結構分岐するタイプの作品でした。
もっとも、チャートが完備されていましたので、誰でも最後まで攻略しようって気になれたと思います。
セーブ・ロード画面でもキャラの一言があったりして、楽しませてくれましたね。
こういうちょっとした気配りは、些細なことではあっても嬉しいものですし、ノベルゲー初心者であっても、最後までプレイしやすかったのではないでしょうか。

また、本作は、グラフィックもサウンドも雰囲気にピッタリとあってました。
CGは250枚でしたか、結構あったはずですよ。
オマケで付属していた漫画も、ページ数が結構あって読み応え十分。
制作陣が如何に愛情を持って本作を完成させたかが、ひしひしと伝わってくる作品でした。

本作で最も印象に残るものとなると、やっぱり音に関するものですかね。
皆口裕子さんをはじめ、声優さんたちがとても良く頑張ってました。

加えて、OPとENDも最高でした。
ゲームのOPの出来とゲーム本編の出来は決して繋がりませんよね。
でも珍しく『アカイイト』の場合、 OPで持った印象そのままな気がしました。
まさに、百聞は一見にしかずってやつですよ。
なので、一度OPを見てみることをオススメします。
それで何か感じるものがあるのなら、きっと買っても楽しめると思いますね。

一つ残念なことがあるとすれば、伝奇系作品としてのストーリーの完成度はそれ程でもない点でしょうか。
濃い伝奇作品を期待した人は、少しもの足りないかもしれません。
メインはあくまでも百合で、伝奇はオマケ的なものと考えて丁度良いのではないかと思います。

＜評価＞

総じて、非常に丁寧に作られた雰囲気の良い作品でした。
もっとも、突き抜けた特徴があるとも言い切れないわけで、私の評価は伸びにくい作品ともいえるでしょう。
当初は良作かなと思いましたが、考えてみると、ノベルゲーはテキストとグラフィックとサウンドが融合することで、相乗効果が生まれると言われつつも、実際にそれを実現できている作品は少ないように思います。
本作は、その融合が上手く実現できており、その完成度の高さから、総合でも名作とします。

私の評価は以上になりますが、本作に対する印象は、どれだけ百合が好きかで大きくかわってくると思います。
もし、百合に少しでも興味があるのならば、ぜひともやってみてもらいたい作品ですね。

ランク：Ａ－（名作）